4つの椅子を巡る『広島デスマッチ』の行方やいかに　高円宮杯プレミアリーグプレーオフ プレビュー

帝京高校・宮本周征

高校年代最高峰のリーグ戦、『高円宮杯 JFA U-18プレミアリーグ』。近年はよりその舞台で戦うことのステータスが上がった感のある、ハイレベルなコンペティションへ
参入する権利を手にするためのプレミアリーグプレーオフが、今年も広島で12日より開催される。

各地域のプリンスリーグで上位に入った16チームが、わずかに4つだけ用意された昇格の椅子を巡って、激戦を繰り広げる天下分け目の“180分間”。J SPORTSでは昇格の決まるプレーオフ決勝戦をオンデマンドで配信する。ここではそれぞれ各チームの注目選手を挙げながら、4つのブロックをプレビューしていきたい。

Aブロックは帝京高校（関東1/東京）、東山高校（関西2/京都）、尚志高校（東北1/福島）、岡山学芸館高校（中国2/岡山）と、すべて高体連勢が集結することになった。

最終節でプリンスリーグ関東制覇を決めた帝京は、今治内定の久保恵音やプリンス得点王の宮本周征を、4年連続のプレーオフ進出となった岡山学芸館も、山田悠斗や万代大和と注目アタッカーをそれぞれ擁し、どちらも初めての昇格にチャレンジ。激戦のプリンスリーグ関西を潜り抜けた東山が、キャプテンの上山泰智を中心に12年ぶりとなるプレミアのステージを見据えれば、インターハイ4強の尚志は、ゴールを計算できるストライカーの根木翔大の爆発に期待が懸かる。

Bブロックは日章学園高校（九州1/宮崎）、RB大宮アルディージャU18（関東3/埼玉）、札幌大谷高校（北海道）、ジュビロ磐田U-18（東海2/静岡）と、初昇格を狙う高体連勢と返り咲きを期すJユース勢が同居している。

RB大宮U18はトップ内定の酒井舜哉や神田泰斗、U-17W杯を経験した小林柚希など豊富なタレントをそろえ、1年でのプレミア復帰へ余念なし。磐田U-18もキャプテンの石塚蓮歩、ディフェンスリーダーの甲斐佑蒼とトップ昇格者を軸に、2023年以来のプレミア帰還が至上命題。昨年もプレーオフで涙を飲んだ日章学園は2年生MFの吉崎太珠が、プリンスリーグ北海道を制した札幌大谷は年代別代表経験者の大石蓮斗が、悲願達成のカギを握る。

RB大宮アルディージャU18・酒井舜哉

Cブロックは清水エスパルスユース（東海1/静岡）、愛媛FC U-18（四国/愛媛）、阪南大学高校（関西1/大阪）、ベガルタ仙台ユース（東北2/宮城）と、地力のあるJユース勢に関西王者が挑む構図となった。

プリンスリーグ東海を無敗で駆け抜けた清水ユースには、土居佑至と針生涼太のトップ昇格コンビを筆頭に確かな実力者がズラリ。今季限りでの退任が発表された澤登正朗監督は有終の美を飾れるか。夏のクラブユース選手権で準優勝に輝いた仙台ユースは、古屋歩夢と永井大義という攻守の二枚看板に要注目。四国王者の愛媛U-18は背番号10の青木壱清を、関西チャンピオンの阪南大高はインターハイでも活躍が際立った瀬尾優斗を主軸に据え、それぞれ7年ぶりと8年ぶりのプレミア復帰に燃えている。

ベガルタ仙台ユース・古屋歩夢

Dブロックは米子北高校（中国1/鳥取）、鹿児島城西高校（九州2/鹿児島）、アルビレックス新潟U-18（北信越/新潟）、桐生第一高校（関東2/群馬）と、すべてプレミア経験者が居並ぶ激戦区だ。

お互いに昨季のプレミア降格を味わった米子北対鹿児島城西は、プレーオフ屈指の好カード。米子北が浜梶優大や湯月哲大などプレミアの雰囲気を知る選手をそろえれば、鹿児島城西も高体連ナンバーワンストライカーの呼び声も高い大石脩斗と、U-18日本代表候補のセンターバック・浮邉泰士が攻守を束ねる。シビアなプリンスリーグ北信越を勝ち抜いた新潟U-18は竹ノ谷颯優、4年ぶりのプレミア帰還を掲げる桐生第一は長尾弥裕、両キャプテンをキーマンに挙げたい。

アルビレックス新潟U-18・竹ノ谷颯優

大注目のプレミアリーグプレーオフは1回戦が12月12日、決勝が14日に開催される。自分たちの未来を明るく彩るための、天国と地獄を分かつ『広島デスマッチ』。とにかく意地と意地がぶつかり合う12試合は、今年も絶対に面白い。

文：土屋雅史