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サッカー フットサル コラム 2025年12月2日

激動の1年の総決算はまだまだここから。流通経済大柏高校・増田大空がピッチに描く勝利へのアーチ 高円宮杯プレミアリーグEAST流通経済大柏高校×柏レイソルU-18マッチレビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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流通経済大柏高校のダブルキャプテンを務める増田大空

今までの自分からは信じられないぐらいに、さまざまな経験を重ねてきた2025年。その締めくくりに待ち受けている最後の晴れ舞台は、何が何でも一番高いところへとたどり着かなくてはならない。そのためだったら、もうできることは全部やり切ってやる。

「選手権は自分が目立つというよりは、チームを勝たせないといけないですし、ジュビロのファン・サポーターの方だったり、全国に自分の名前を知ってもらえるいい機会だと思うので、チームの勝利が最優先で、それにプラスして自分も爪痕を残せればなと思います」

流通経済大柏高校のダブルキャプテンの一角を占める、とにかくアグレッシブな左サイドバック。増田大空はこの1年で味わってきた多くのポジティブな刺激を糧に、1月の国立競技場を目指して、このまま全速力で駆け抜ける。

今シーズンは激動の1年だった。昨季はBチームが戦うプリンスリーグ関東2部が主戦場。最高学年になり、島谷義進とのダブルキャプテンに任命されると、確かなリーダーシップを発揮しつつ、レギュラーをがっちり確保。好調を続けるチームの中で、存在感を高めてきた。

そのパフォーマンスが高く評価され、6月にはスペイン遠征に臨むU-17日本代表にも初選出。加えて複数のJクラブの練習にも参加したことで、さらに上のレベルを目指す気持ちも今まで以上に強くなっていく。

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ただ、シーズン終盤に向けてアクセルを踏み込みたかった9月中旬からは、2か月弱の負傷離脱を強いられる。「ちょうどチームが連敗していた時期だったので、そういう時こそ自分がチームを立て直す役割を担って、勝利に導けるような活躍をしないといけなかったんですけど、その中での離脱だったので、個人的にも悔しかったです」

とはいえ、この人がそんな時間を無為に過ごすはずもない。自分の中でやるべきことを定め、少し客観的な視点でチームを眺めていく。「自分が離脱している時に、チームに対して何ができるか、何で貢献できるかはずっと考えていた中で、チームを俯瞰して見ることによって、チームに足りないものだったり、これをもう1つ付け加えるとより一層良くなるなというのは自分なりに考えていて、それを自分ができればなと思っていましたし、チーム全体に外から見た意見を伝え続けられたので、それは良かったのかなと思います」

戦線復帰した高校選手権予選では、準決勝で市立船橋高校相手にゴラッソを沈めるなど、千葉制覇にもきっちり貢献。再び市立船橋と激突した前節では、リーグ戦6試合ぶりのスタメンを飾り、90分間フル出場を果たして、完全復活をアピールすると、柏レイソルU-18と対峙した今節の柏ダービーでも、流通経済大柏の左サイドバックには、背番号6が解き放たれる。

「入りは少し自分たちがボールを持てなかったり、守備で背後を突かれる場面も結構多かったんですけど、前半の途中から徐々に自分たちのペースが作れていったので、内容だけで言ったらそこまで悪いゲームではなかったのかなと思いますね」

積極的に前へと出ていく姿勢は健在。縦への鋭い突破と、中央にボールを差し込みながら、そのサポートへ加わっていくプレーを織り交ぜながら、左サイドバックの位置でチームの攻撃にアクセントと彩りを加えていく。

だが、本人はそのパフォーマンスに納得が行っていなかったようだ。「今日の自分はあまりいいとは言えなかったですね。後半の2失点目のところで、自分が入れ替わってしまったのもあって、あの失点のシーンを見てみれば、チームに迷惑を掛けたのかなと思います」。流通経済大柏は52分と81分に失点を喫し、0-2で敗戦。2失点目に絡んでしまった増田は、しっかりと自身に結果のベクトルを向けていた。

 

10月20日。ジュビロ磐田は来シーズンから増田がチームの一員に加わることを発表した。いくつかの選択肢の中からサックスブルーを選んだ理由を、本人はこのように語っている。

「ジュビロは他のクラブと比べて良い意味でピリピリしていたんです。個人的には緊張感のある中でのプレーの方が成長に繋がると思っていますし、自分としてはそっちの方がやりやすかったというのが1つで、あとはスタッフ陣や先輩方からアドバイスももらいましたし、自分に声を掛けてくれる選手が多かったので、『ここなら自分がより一層成長できるな』と思いました。特に松原后選手は僕と同じ左サイドバックで、常に見ていたんですけど、本当に上手かったですね」

内定リリースから1か月が経ち、もうクラブの看板を背負っていることは、十分すぎるぐらい自覚しているようだ。「やっぱりジュビロから内定をもらったからには、1つ1つのプレーに重みもありますし、責任も伴ってくるので、安いプレーなんてできないですし、プロ内定選手にふさわしいプレーは心がけています」

高校生活の最後に挑む選手権は、もうすぐそこまで迫っている。「代表に入った時も、プロ内定の知らせをもらった時も、信じられないというか、今まではそんな選手ではなかったので、そう考えると濃い1年ですね」と今年を振り返る増田も、憧れのビッグトーナメントに気合を入れている。

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「自分の武器である左足のキックだったり、攻撃の組み立ての部分を選手権では存分に出して、ジュビロのファン・サポーターの方々に認めてもらうというか、『こういう選手が入ってくるんだぞ』ということを見せ付けられたらいいなと思います」

努力を怠らなかった自信はある。成長を求め続けてきた自信もある。気の置けない仲間たちと、真摯に積み重ねてきた3年間の集大成。流通経済大柏を束ねる、強気で、優しい、しなやかなリーダー。増田大空はその得意の左足で、勝利を引き寄せるアーチを、選手権のピッチにも鮮やかに描いてみせる。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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