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チームを率いるリーダーとしての覚悟。浦和レッズユース・和田直哉が見据えるプレミアリーグ残留への確かな道筋 【NEXT TEENS FILE.】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史浦和レッズユース・和田直哉
チームとしては4年ぶりに帰ってきたプレミアリーグの舞台だが、3年生にとっては今年が最初で最後となる、高校年代最高峰の真剣勝負を繰り広げられる日常。小さくない刺激を受け、確かな成長の手応えも得ているものの、このバトンを後輩たちへと受け継いでいく使命も、同時にはっきりと感じている。
「自分は去年のプリンスリーグでもずっと試合に出ていましたし、代表にも行かせてもらっていて、他の人とは違う経験をしている分、そういうところで得た経験を生かして、このチームを自分が引っ張っていかないといけないと思っているので、それは常に意識してプレーしています」
浦和レッズユースを中盤で逞しく支えるプレーメイカー。和田直哉はこの伝統のエンブレムがあしらわれた、赤いユニフォームに袖を通して戦う意味を噛み締めつつ、残されたアカデミーの時間を全速力で駆け抜ける決意を固めている。
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【先行】高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 EAST 第20節-2 FC東京U-18 vs. 鹿島アントラーズユース
配信期間 : 2025年11月30日午前10:50 ~
「メチャクチャ楽しみです。どれぐらいできるかは全然わからないですけど、みんなも楽しみにしていると思います」。桜が少しずつ咲き始めた3月下旬。和田は開幕が目前に迫った“未知の世界”に向けて、あふれる希望を抑え切れないような笑顔を浮かべていた。
自身も2試合にスタメン出場を果たした昨年末のプレーオフを勝ち抜き、2021年シーズン以来となるプレミアリーグにチャレンジする1年。自分の力を、チームの力を試すうえでも、これ以上ないようなステージで戦えることが、とにかく楽しみで仕方なかったという。
個人としては2025年に入ってから、貴重な経験を積み重ねていた。1月にはトップチームの沖縄キャンプに帯同。「安居(海渡)選手は守備の緩急が凄かったですし、渡邊凌磨選手は普通にメチャメチャ上手くて、マテウス・サヴィオ選手は別格という感じでした」。ハイレベルなプロの選手たちから、ポジティブな学びを与えられる。
さらに2月には『NEXT GENERATION MATCH』に臨むU-18 Jリーグ選抜にも選出され、国立競技場のピッチでプレー。3月にもU-18日本代表として『J-VILLAGE CUP』に参戦するなど、同世代のライバルたちと切磋琢磨する時間を過ごす。
「代表に行った時には、『ここで結果を残したらもっとステップアップしていけるな』といつも考えながらやっているので、1回1回自分が変われるチャンスだと思ってやっていますし、もう1回自分のスイッチが入るというか、もっとレッズで練習しないといけないなとも思わせてもらっています」
ただ、リーグ戦が開幕すると、なかなか思い描いていたような結果は引き寄せられない。開幕戦では流通経済大柏高校に0-2で敗れ、黒星スタート。第2節の柏レイソルU-18戦で初勝利は掴んだものの、第3節からはまさかの5連敗を喫するなど、プレミアの洗礼を浴びてしまう。
「自分もそんなに調子が上がらなくて、チームとしてもあまり良い結果が出ていなくて、それは自分の責任だということは感じていました」と和田も厳しい現実を突き付けられる中、7戦未勝利で迎えた第10節の前橋育英高校戦。浦和ユースは後半早々に先制したが、終盤に入った76分に同点弾を献上。嫌な空気が漂い始めたタイミングで、背番号7が渾身の“一刺し”を繰り出す。
79分。田中一信、から自陣でパスを受けた和田は、視界の先に捉えた深田京吾へ40メートル近いロングパスを正確に届けると、GKをかわした深田のシュートはゴールネットへと転がり込む。結果的にこの1点が決勝点に。チームは実に8試合ぶりの勝利を手繰り寄せる。
「嬉しすぎて、何も考えられなかったですね。『勝ったのかな……?』って。実感がなかったです。チームがバラバラにならないようにしようということは、シーズンの最初からずっと言っていて、全員で守備して、全員で攻撃して、全員で勝ちに行く姿勢は、今日の試合を見ていても全員で出せたと思います」
久々の白星の感慨をそう話した和田は、翌節でも大仕事を成し遂げる。アウェイに乗り込んだ市立船橋高校戦は、終盤まで1点をリードされていたが、89分に田中義峯のゴールで同点に追い付くと、その1分後に木下侑也が右サイドから上げたクロスがエリア内にこぼれ、和田が執念で押し込んだボールはゴールネットへ到達する。
4-3という激闘を制して、今季初の連勝。前半戦のラスト2試合で積み重ねた勝点6が、シーズン全体で考えてもとにかく大きなポイントだったことは言うまでもないが、チームを支え続けてきた背番号7が、勝敗を左右する結果をきっちり叩き出したことも語り落とせない。
後半戦もシビアな戦いは続いている。第19節が終了した時点で、浦和ユースの順位は降格圏内の11位。だが、直近の第19節では東京ヴェルディユース相手に、後半アディショナルタイムの90+3分に中村虎太郎が劇的な決勝点を沈め、5試合ぶりの白星をゲット。改めて上昇気流に乗るための機運は、間違いなく高まっている。
小学生年代のジュニアから浦和レッズでプレーしてきた和田にとっても、アカデミーの仲間と同じピッチで戦うことができるのは、もうあと3試合のみ。みんなで笑ってシーズンを締めくくるため、最後の270分間にすべてを懸ける決意を定めていることは、想像に難くない。
シーズン開幕前に、力強く話していた言葉を思い出す。「プレミアでも『オレらはできるんだぞ』というところを見せていきたいと思います」。浦和ユースをしなやかに、力強く束ねてきた、100パーセントで闘える上質なファイター。和田直哉は最後の最後まで持てる力を出し尽くし、プレミアリーグ残留をその手で、その足で、掴み取る。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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