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苦しんできた1年間の集大成。FC東京U-18・佐々木将英は今度こそ巡ってきたチャンスを絶対に掴み取る 【NEXT TEENS FILE.】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史FC東京U-18・佐々木将英
思い描いていたような1年を過ごせたわけではない。もっとできることがあったんじゃないかと、もっとやるべきことがあったんじゃないかと、今になって考えることも増えてきた。だから、最後は意地を見せたい。この青赤のユニフォームを纏って積み重ねてきた時間の意味を、ちゃんとピッチの上で示したい。
「今年は悔しいシーズンになりましたし、思うように行かないシーズンだったんですけど、このタイミングでプロになれなかった自分の立ち位置をちゃんと見つめつつ、プロになれた4人からの刺激もちゃんと消化して、最後まで自分の良さを出せたらなと思います」
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【先行】高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 EAST 第20節-2 FC東京U-18 vs. 鹿島アントラーズユース
配信期間 : 2025年11月30日午前10:50 ~
184センチの左利きというスペックに恵まれた、FC東京U-18の背番号4。佐々木将英は今の自分が置かれた立ち位置としっかり向き合いながら、ポジティブに、アグレッシブに、このアカデミーで戦うことのできる最後の3試合に、全力で取り組んでいく。
前橋育英高校とアウェイで対峙したプレミアリーグEAST第19節。FC東京U-18がこの試合に引き分けるか、負けてしまうと、首位に立つ鹿島アントラーズユースの優勝が決まるという一戦。もちろん佐々木も並々ならぬ覚悟を持って、ピッチに足を踏み入れる。
7分に先制弾を許すも、それから4分後に青赤の左サイドバックが仕事を果たす。サイドを果敢に仕掛け、ペナルティエリア内まで侵入した流れから、そのまま高い位置に残っていた佐々木は、田中希和からのパスを受けると、素早く左足でグラウンダークロス。飛び込んだ尾谷ディヴァインチネドゥのダイレクトシュートは、確実にゴールネットを揺らす。
「アップの時はあまり合わなかったんですけど、自分を信じて走ってくれたらと思いながら、『あそこに蹴り込めば入ってくるでしょ』というボールを蹴り込んだら、ディヴァが入ってきてくれたので、良いクロスだったんじゃないかなと思っています」。得意の左足で同点弾をきっちり演出してみせる。
以降も攻守に積極的なプレーを披露していたものの、実は前半から足に違和感を覚えていた。ピッチサイドに4番の交代ボードが掲示されたのは56分。「『もうちょっとやりたい』とは思いつつ、前半でモモカンが入ってしまって、思うようにプレーできなかったので、自分が出るよりもフレッシュな人が出て、もう1つ新しい風を入れた方が、チームとしても行けるんじゃないかなと」
「でも、そこまでも自分らしさは正直あまり出せなかったので、イレギュラーなことがあっても、自分を出せるようにならないとなという想いはあります」。試合は結局1-2で敗戦。鹿島ユースの優勝を“アシスト”する形になってしまった状況に、佐々木は自身のプレーにも、チームのパフォーマンスにも、ただただ悔しさを募らせた。
アカデミーラストイヤーを迎えた2025年。佐々木は率直に言って、充実したシーズンを送ってきたとは言い難い。プレミア開幕直後は自ら志願したゲームキャプテンを務め、チームを束ねる意欲をみなぎらせていたが、5節以降はスタメンリストからその名前が消えていく。
「1年、2年と結構使ってもらえることが多くて、3年生になって出られないという状況は、正直最初の方はあまり消化し切れなかったです。でも、オフ・ザ・ボールのところでは他のチームメイトに負けているところもありますし、自分のところに来てから頑張るだけでは、センターバックやサイドバックとして足りないところもあるので、そこに気付かせてもらったかなと」
2年生だった昨シーズンはプレミア18試合に出場し、主力として活躍。年代別代表にもコンスタントに招集されてきた中で、この1年に懸ける想いが小さかったはずがない。所属チームで陥った苦境の日々。だが、佐々木は今の自分に必要なものを懸命に探しながら、同時に身に付けるべきものを痛感したという。
「外から客観的に見て、出ている選手と出ていない自分のプレーを比べて、感じられるものも多かったですし、自分に対して監督やコーチも寄り添いながら、課題を話し合ってくれた中で、自分はクラブユースでもチャンスをもらったのに結果を残せなかったので、やっぱり自分にチャンスが来た時に、しっかり掴める選手にならないといけないなと思います」
9月にはかけがえのない経験を手に入れる機会に恵まれた。FIFA U-20ワールドカップに出場するU-20日本代表のトレーニングパートナーに追加招集され、開催地のチリに帯同。世界との真剣勝負に挑む年上の先輩たちから、強い刺激を突き付けられる。
「トレーニングパートナーは想像以上に大きな経験や大きな財産になったので、本当に行って良かったなと思います。特に小杉(啓太)選手だったり、市原(吏音)選手はレベルが違いましたし、(佐藤)龍之介もメチャメチャ上手くて、1個上の先輩ですけど、もう雲の上の存在なので、本当に尊敬できる先輩たちからいろいろなものを得られたかなと思います」
毎日のように切磋琢磨してきたこの仲間たちと、勝利を目指して戦えるのも、もう3試合のみ。FC東京U-18で過ごした3年間の、アカデミーで積み上げた6年間の、まさに集大成。まずは次節の鹿島ユース戦に向けて、佐々木は言葉に力を込める。
「もう優勝もないですし、降格もない状況ですけど、ここからの3試合はチームもそうですし、個人としての成長に欠かせない3試合だと思います。次はアントラーズ戦ですけど、今シーズンの自分はまだアントラーズ戦に1分も出られていないので、今度はより気合を入れて臨んで、自分の価値を高めるとともに、チームの勝利に貢献したいです」
まだ青赤のユニフォームに袖を通して、やれることは必ずある。ここから先はチームと自分のプライドを、改めて示す270分間。グループにポジティブな軸を通せる、FC東京U-18の高性能レフティ。佐々木将英はまだ巡ってくるはずのチャンスを、今度こそ自らの左足で、絶対に掴み取る。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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