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大津は流通経済大柏とのプレミア対決をPK戦で制して決勝進出!
令和7年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技もいよいよ最後の1試合を残すのみとなった。栄えあるファイナリストとなったのは、熊本県代表の大津高校と鹿児島県代表の神村学園高等部。奇しくも同じ九州勢であり、プレミアリーグWESTに所属しているチーム同士が、日本一を懸けて戦う決勝は、福島県のJヴィレッジスタジアムで8月2日の12時半よりキックオフされる。
昨年のプレミア王者でもある大津は、ここまで圧倒的な攻撃力を前面に打ち出しながら、逞しく勝ち上がってきた。初戦は丸岡高校(福井)に4-1、2回戦は県大会で青森山田高校を撃破した八戸学院野辺地西高校(青森)に3-0、3回戦では高知中央高校(高知)に7-0と大量得点での勝利を重ね、準々決勝でも昨年王者であり、サイドアタックに特徴を持つ昌平高校(埼玉)も、5-0という衝撃的なスコアで撃破してしまう。
迎えた準決勝の流通経済大柏高校(千葉)戦は、昨年の高校選手権3回戦のリターンマッチとしても注目が集まったが、大津は相手のクオリティの前にやや苦しい展開に。「押される時間が長かったですし、改めて流経柏さんの強さを体感しました」とは山城朋大監督だが、それでも最後は9人目までもつれ込んだPK戦を制し、実に11年ぶりとなる決勝進出を手繰り寄せた。
一方、昨年度の大会は決勝で敗退し、準優勝という悔しい結果を突き付けられた神村学園は、今大会も個人と組織が融合した素晴らしいサッカーと結果を両立させている。初戦となった2回戦では帝京高校(東京1)に3-0で快勝を収め、3回戦は岡山学芸館高校(岡山)に2-0で競り勝つと、準々決勝では山梨学院高校(山梨)の鋭い攻撃に苦しみながらも、PK戦で何とか勝ち切ってみせる。
準決勝では地元開催に燃える尚志高校(福島1)と対戦。前半のうちに先制されたものの、後半に入ってMF佐々木悠太の強烈なミドルで追い付くと、最後はほとんどラストプレーという70+8分に、佐々木がこの日2点目となる直接FKを叩き込んで、熱戦に終止符。「今年のチームは、去年の悔しい想いをした場所に帰るという目標があったので、それがモチベーションになったのかなと思います」(有村圭一郎監督)。2年連続となるファイナル進出を堂々と決めている。
大津高校の攻撃は、とにかくスムーズに、ストレスなくボールが回る。センターバックコンビのDF今井獅温とDF松野秀亮からボールを繋ぎ、丁寧に前進。キャプテンを務めるMF福島京次とMF福島悠士の“W福島”で構成されるドイスボランチは、長短織り交ぜたパスを配球し続ける。
そこからのサイドアタックも強烈の一言。右はサイドハーフのMF岩崎天利がとにかく仕掛け、サイドバックのDF村上慶も気付けばシュートエリアまで侵入。左はやはりサイドハーフのMF有村颯太が推進力を発揮し、サイドバックのDF渡部友翔が内側と外側を自在に泳げば、1.5列目に位置するMF山本翼も積極的にボールへ関わってくる。
そんなチームの攻撃を仕留めるのが、ストライカーのFW山下虎太郎。ここまでの5試合で、2度のハットトリックを含む9得点をマーク。小柄な身体に詰め込んだ得点感覚を存分に披露してきた。
一方で、守備面でもここまで1失点と堅守を誇っており、前線からのハイプレスも印象的。ともに185センチを超える今井と松野の空中戦は迫力十分で、最後尾には負傷から帰ってきた守護神の村上葵が、4戦連続完封中とゴールに鍵をかける。攻守のバランスの良さも大会トップレベルであることは間違いない。
神村学園は相手によって3バックと4バックを使い分けてきたが、準決勝は後者を採用。センターバックに入るキャプテンのDF中野陽斗とDF今村太樹は、守備強度の高さはもちろん、時にはドリブルも交えて攻撃の起点を創出。サイドバックにも右のDF竹野楓太、左のDF荒木仁翔と、縦突破もクロスも兼備しているタレントが揃う。
中盤ではセンターバックとボランチを高次元でこなすMF堀ノ口瑛太が全体のバランスを整えれば、チーム伝統の14番を背負ったMF福島和毅が攻撃のテンポを作り、佐々木は積極的に前へと飛び出しながら、準決勝のようなゴールに直結する仕事を繰り出していく。
前線に構える顔ぶれも多士済々だ。FW倉中悠駕は最前線で身体を張って基点を作り、その周囲を衛星のように動くFW日高元も常にゴールの香りを漂わせる。なお、準々決勝までは突破力と得点力を合わせ持つ徳村楓大がスタメン起用されていたが、準決勝ではFW樹本琉空が先発に抜擢。後半開始からはその樹本に代えて、ジョーカーのMF花城瑛太が投入されており、この位置に誰が起用されるかも、決勝の勝敗の鍵を握ってくるだろう。
加えて、ゴールマウスを任されているGK寺田健太郎も、2回戦と3回戦でクリーンシートを達成すると、準々決勝のPK戦では相手の1人目のキックを完璧にセーブ。昨年の全国準優勝をレギュラーで経験したGK江田優大と切磋琢磨しながら、神村学園の守護神としての存在感を高めている。
なお、この両チームは5月17日にプレミアリーグWEST第8節で対戦。試合は26分に山下のゴールで大津が先制。神村学園も40分に中野のゴールで追い付いたものの、58分に有村が決勝点を叩き出し、アウェイの大津が2-1で勝利を収めている。
双方が志すスタイルを考えても、おそらくピッチ上で展開されるのは、ボールを大事に支配しにいくうえでの、主導権の奪い合い。「相手もボールを繋いでくるチームなので、やり合って勝てたらなと思います」(神村学園・福島和毅)「明日優勝して、熊本に良い報告ができるように頑張りたいと思います」(大津・村上慶)。どちらが勝ってもインターハイ初優勝。激戦必至。高校年代最高峰のファイナルを存分に楽しみたい。
神村学園は70+8分の決勝点で劇的勝利を収めてファイナルへ!
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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