サッカーインターハイ2025 最注目プレーヤーはこの6人！

昌平高校・長璃喜

全国高等学校総合体育大会、通称“インターハイ”のサッカー競技が、福島県で7月26日に開幕する。各都道府県の予選を勝ち抜いた51の高校が、真夏の日本一を目指して真剣勝負に挑むこのインターハイから、J SPORTSでは準決勝と決勝を放送、配信することが決まっているが、今回は注目すべき大会の主役候補をご紹介していきたい。

悲願の日本一に輝いた昨年度の大会でも主力として活躍。今シーズンもその圧倒的な突破力でプレミアリーグEASTを席巻しているのが、昌平高校の左ウイングを務める長璃喜だ。ひとたびスピードに乗って加速してしまうと、そのドリブルを止めるのは相手ディフェンダーにとって困難極まりない。加えてパンチ力十分の強烈かつ正確なシュートを有しており、ここまでリーグ戦でもチームトップの5ゴールをマーク。スペシャルなドリブラーというだけではなく、得点を奪う能力も兼備しているだけに、より高いステージへの飛躍が期待される。「今年は高校最後の年ですし、（FC）LAVIDAからやっていた仲間も多いので、去年とは懸ける想いも全然違うかなと思います」という高校ラストイヤーの真夏の祭典で、昌平が連覇を達成するには、この人の爆発が必要不可欠だ。

大津高校・村上慶

インターハイ初制覇を狙う大津高校の中でも、Jクラブからの注目を集めている村上慶の存在は語り落とせない。プレミアリーグ制覇を成し遂げた昨季のチームでは、唯一の2年生レギュラーとしてセンターバックで奮闘。今シーズンのリーグ序盤は、1トップ下に入って得点を量産しつつ、以降は右サイドバックを主戦場に攻撃でも守備でも高いクオリティを誇っており、セットプレーでのゴールやクロスからのアシストなど、試合を決める働きも際立っている。昨年は年代別代表にも招集され、「自分的には大津の中でも結構声を出している印象はあったんですけど、全然足りないなと思ったので、もっと声を出していって、チームを引っ張っていきたいなと思いました」と新たな気づきも。絶対的な中心選手としての自覚も一層高まっている。

帝京長岡高校・水澤那月

1年前のインターハイでは初のベスト4進出。全国制覇を明確に見据えている帝京長岡高校の左サイドで、“質”と“量”を担保している水澤那月が面白い。昨年度の大会も全5試合に先発出場を果たし、準決勝の昌平戦ではゴールも記録。今シーズンも持ち前のスピードと、体格のハンデを苦にしない空中戦の強さも武器に、5人制キャプテンの1人という責任感も携えながら、左ウイングバックの位置からチームに大きなエネルギーをもたらしている。好きな選手は「自分もそっち系かなと思います（笑）」と認めるウェイン・ルーニーとマリオ・バロテッリに加え、小中高の先輩に当たり、帝京長岡進学のきっかけになった田中克幸（北海道コンサドーレ札幌）。偉大な憧れのレフティも届かなかった日本一に、この夏も堂々と挑む。

神村学園高等部・福島和毅

大迫塁（SC相模原）、名和田我空（ガンバ大阪）からチーム伝統の14番を引き継ぎ、今シーズンの神村学園高等部を牽引する役割を託されているのが、U-18日本代表にも選出されている福島和毅だ。アンドレス・イニエスタを参考にしているというだけあって、中盤での狭いスペースでも巧みにターンし、決定的な仕事をやり切るあたりに、確かな才能が垣間見える。昨年度のインターハイはケガの影響で出場機会も限られ、決勝でもゴールを決めた直後に無念の負傷交代となり、チームも準優勝。「去年は自分もほとんどゲームに関わっていないので、嬉しさは一切なかったです。今年は全部の試合に出て、自分も活躍して、決勝で勝ちたいです」。同校にとって宿願とも言うべき、全国の頂点のみを目指して、福島がピッチ全体をしなやかにコントロールする。

前橋育英高校・柴野快仁

昨年度の高校選手権王者・前橋育英高校で2年生からボランチのレギュラーに指名され、今シーズンもプレミアリーグで実力を披露し続けている柴野快仁も、真夏のJヴィレッジの主役になる可能性を十分に秘めている。最大の特徴は3列目から、柔と剛を合わせ持ったドリブルでグングンと前進し、チャンスを演出できる部分。今年に入ってからはJクラブの練習にも参加したことで、サッカーに対する意識も今まで以上に高くなっているという。「インターハイの活躍でプロの道に行けるのかが決まる、本当に自分の人生の山場だと思うので、オファーが来るように頑張りつつ、チームとしてもしっかり優勝したいです」。選手権決勝では得点を決め、PK戦でもラストキッカーを任されたように、大舞台で輝く柴野はチームを冬夏連覇に導く準備を、着々と整えている。

流通経済大柏高校・大藤颯太

プレミアリーグEASTで得点ランキングトップに立っている、流通経済大柏高校のハイタワー・大藤颯太の成長が止まらない。189センチという恵まれた体躯を生かした空中戦でも、豊かなスピードと狡猾なポジショニングを生かした地上戦でも、ハイレベルなディフェンダーたちを出し抜いてゴールを連発。とりわけ青森山田高校戦で奪った得点は、浮き球を胸トラップで収め、そのままボレーに持ち込んだ超高校級の一撃だった。「前よりいろいろなことができるようになっているので、サッカーが楽しくなっています」と言い切るストライカーには、チームを率いる榎本雅大監督も「数字もさることながら、プレミアで一番いいフォワードなんじゃないかって思いますよね」と高評価を口に。今大会でも得点王の有力候補であることに疑いの余地はない。

煌めく才能が集まる真夏の祭典・インターハイは、35分ハーフというレギュレーションも相まって、どの試合も激戦必至。8月の福島の空へ、優勝カップを掲げるチームは、果たしていかに。

文：土屋雅史