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サッカー フットサル コラム 2024年11月22日

3連勝 VS 4連勝の首位攻防戦!鹿虎相打つ北関東ダービーセカンドラウンド! 鹿島アントラーズユース×前橋育英高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第20節】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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鹿島アントラーズユース・玉木亜門

残り3節という最終盤に差し掛かっても、プレミアリーグEASTは近年稀に見る大混戦の様相を呈している。首位の鹿島アントラーズユースと2位の横浜FCユースは、勝点35も得失点差プラス7も一緒で、総得点が順位を分けている。また、3位の柏レイソルU-18、4位の昌平高校、5位の前橋育英高校も勝点32で並んでおり、優勝争いの行方はまだまだまったくわからない。

前半戦を4位で折り返した鹿島ユースは、後半戦に入って柏レイソルU-18と市立船橋高校相手に連勝を飾ったことで首位に浮上したものの、14節からはまさかの3連敗で足踏みしてしまう。ただ、この窮地でもしっかりリバウンドメンタリティを発揮。第17節から怒涛の3連勝を達成し、横浜FCユースから首位の座を奪い返した。

直近のリーグ戦となった第19節・川崎フロンターレU-18戦でも、56分に先制ゴールを献上しながら、64分には途中出場の正木裕翔が同点弾を挙げると、終盤の82分に玉木亜門が決勝点をゲット。アウェイの地で逆転勝ちを収め、勝点3をきっちりと積み上げている。

高円宮杯プレミアリーグ特集サイト

現時点でリーグトップクラスの好調を維持しているのが前橋育英だ。前半戦終了時の順位は8位。後半戦も一時は降格圏が迫る10位にまで下降した時期もあったが、第17節・尚志高校戦に2-1、第18節・青森山田高校戦に1-0、第19節・大宮アルディージャU18戦に3-2、そして第12節延期分・FC東京U-18戦に2-1と、すべて1点差勝利で圧巻の4連勝。一気に優勝争いへ食い込んできた。

前橋育英にとってさらに追い風となったのは、第19節と第12節延期分の間にあった高校選手権予選。準々決勝の前橋商業高校戦と、決勝の共愛学園高校戦はどちらも延長戦までもつれ込む激闘を制して、県4連覇を掴み取る。インターハイ予選では準決勝敗退を突き付けられていただけに、全国大会の出場権を得たことがチームの小さくない自信になったことは言うまでもない。

ホームゲームを戦う鹿島ユースのキーマンとしては、2年生レフティの中川天蒼を推したい。フィールドプレーヤーの中ではここまでのリーグ戦でただ1人全試合スタメン出場を続けており、チーム最多の5アシストをマーク。なお、中川がゴールかアシストを記録した試合は5戦5勝といまだに負けなし。まさに『鹿島を勝利に導く男』と言ったところだろうか。

左利きの右サイドハーフということで、カットインからシュートを狙う形が1つの武器ではあるものの、この人の特徴はドリブルでゴールライン際まで運び切り、右足でも正確なクロスを上げられること。中にも縦にも行ける鋭い突破力は、この試合でもチームにビッグチャンスをもたらすはずだ。

鹿島ユースの最終ラインで存在感を高めている1人として、玉木亜門を忘れるわけにはいかない。リーグ戦では全19試合に出場。基本的にはセンターバックを主戦場に置きつつ、試合によっては右サイドバックでスタメン起用されることも。ポリバレントさと堅実なプレーでディフェンス陣に1本の軸を通している。

前節の川崎U-18戦ではセンターバックながら2ゴールに絡み、攻撃面でも勝利に貢献。3連勝の主役を堂々と担ってみせた。一際大きな26番という背番号は「2年の時の番号のままで、だいぶ愛着が湧いてきています」とのこと。対角に蹴り分けられるフィードと対人の強さも武器に、玉木の攻守に渡る躍動は今節の白星に絶対欠かせない。

なお、中川と玉木はともに遠方からジュニアユースの門を叩いている。中川は大分出身。クラブOBの増田忠俊氏が代表を務めるMSSに所属していた小6時には、全国大会も経験している。一方の玉木は鳥取出身。こちらも鳥取KFC U-12在籍時に全国出場を果たしており、そこで現在のチームメイトでもある松本遥翔と対戦していた記録も残っている。

かたや大分から、かたや鳥取から伝統あるクラブのアカデミーに身を投じた2人は、1年を通じて戦ってきたプレミアリーグで、着実に成長を遂げてきた。今シーズンの集大成となる、勝負の懸かったラスト3試合。覚悟を定めた中川と玉木のパフォーマンスからも目が離せない。

首位相手の白星奪取と5連勝を同時に狙う前橋育英では、右サイドバックに入る瀧口眞大の得点感覚が覚醒しつつある。19節の大宮U18戦で今季の公式戦初ゴールを決めると、選手権予選決勝では延長前半に先制点をゲットし、優勝の主役を鮮やかにさらう。加えて先週末のFC東京U-18戦でも、チーム2点目となるゴラッソを叩き込んでおり、「ゴールも狙える位置だったら、右足もどんどん振っていきたい」という得点への意欲を、確かな結果に結び付けている。

もともと高1までのポジションはボランチだったが、新チームでは少しずつサイドバックで起用され始め、リーグ戦が開幕すると定位置を確保。「最初は『何で自分がサイドバックなんだろう?』と思ったんですけど、割とサイドバックだと人がプレッシャーに来ないというか、360度の視界から180度の視界になったので、そこで余裕が出てきたことで、『今は何をしよう』と考えられるようになってきたと思いますし、かなり楽しくやれています」とポジティブにコンバートを受け入れてきた。

シーズンを通して世代有数のアタッカーと対峙してきた経験は、自らの目線を確実に引き上げてくれている。「やっぱりプレミアだと相手のサイドハーフはみんなびっくりするぐらい凄いので、今では対人の部分でも自信を持ってできているなと思います」。攻守に進化を続けている右サイドバックの瀧口が、今節も前線まで駆け上がってきたならば、勝敗を左右するような何かを起こす可能性は、決して低くない。

前橋育英はこの試合に勝利すれば、勝点で並ぶ鹿島ユースを得失点差で上回り、順位を入れ替えることができるが、もちろんホームチームも易々とそんな状況を許すはずもない。3連勝中の若鹿と、4連勝中のタイガー軍団が激突するビッグマッチ。好ゲーム必至の90分間、要注目。


前橋育英高校・瀧口眞大

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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