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サッカー フットサル コラム 2024年9月20日

止まらない大津!11連勝を懸けて挑むのは前年王者と対峙するキーゲーム! 大津高校×サンフレッチェ広島ユースマッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第15節】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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大津高校・畑拓海

大津高校の勢いが止まらない。上位に付ける名古屋グランパスU-18と対峙した前節は、33分に溝口晃史がプレミア初ゴールとなる先制点を叩き出すと、58分にはエースの山下景司が豪快な追加点。さらに71分には嶋本悠大が6戦連発となるダメ押しゴールを奪い、アウェイで3-0と快勝。これで連勝は10まで伸びた。

プレミアでの連勝記録は、2019年に名古屋グランパスU-18が達成した11連勝。今節で勝利を収めれば、その記録に並ぶことになる。ここまでの数字を見ても45得点はリーグ最多で、12失点はリーグ最少。今季の大津は、攻守揃って首位に立つにふさわしいパフォーマンスを発揮し続けている。

昨シーズンは堂々とプレミアリーグWESTを制したサンフレッチェ広島ユースは、ここまで7勝1分け4敗の4位。開幕4連勝と最高のスタートを切ったものの、6月以降の結果に目を向けると、ややブレ―キが掛かった格好で1勝3敗。勝ち星を伸ばし切れていないのが現状だ。

前節のファジアーノ岡山U-18戦は雷で試合延期を余儀なくされたため、直近のゲームとなる第13節のヴィッセル神戸U-18戦は、前半のうちに井上愛簾のゴールで先制したが、後半に2失点を喫して今季初の逆転負け。漂い出した停滞感を払拭する意味でも、今回は勝利だけが求められる一戦となる。

なお、広島ユースはここまで9得点を挙げているエースの井上と、トップチームでのベンチ入りも増えてきた中島洋太朗が『AFC U20 アジアカップ中国2025 予選』に臨むU-19日本代表に選出されたため、このゲームを欠場することも付け加えておきたい。

高円宮杯プレミアリーグ特集サイト

プレミアWESTの得点ランキングトップに立っているのが、大津のストライカーを任されている山下景司だ。前節の名古屋U-18戦では、3試合ぶりとなる今季14ゴール目をマーク。その得点シーンにも現れたように、シュートを打てる位置へ丁寧に置くボールコントロールが抜群に上手く、“2タッチゴール”が多いのもこの人の特徴だろう。

昨季から背負っている9番は、このチームの中でも特別な番号だ。「自分の前が(小林)俊瑛さんで、その前が半代(将都)さんで、どちらも2年生から9番を付けて活躍していたので、自分も活躍しないといけないなと意識はしていますし、9番が仕事をすることはチームにとっても大事なことだと思います」。悲願のプレミア制覇を成し遂げるためにも、山下にはさらなるゴール量産が求められている。

大津からはもう1人の注目選手として、今季の中盤を支えている畑拓海をご紹介したい。本人も「パスに関しては自分の武器でもあるので、そこは自信を持ってやっています」と言い切るように、俯瞰の目でパスコースを探し出し、そこに届ける技術までをセットにした一連のプレーを見れば、イニエスタを参考にしているというのも頷ける。

中学時代は鹿児島のFC KAJITSUでプレーしていた畑は、並行して熊本のJFAアカデミー宇城に在籍していた縁もあって、県外の名門校への進学を決意。「チームで一番ハードワークして、守備でも攻撃でも常に顔を出せる選手になって、苦しい時にチームを救えるような選手を目指しています」。才能だけに頼らず、献身的なプレーも印象的な戦える司令塔は、好調をキープする大津にとって絶対に欠かせない。

首位相手の重要な90分間に意欲を燃やすのは、サンフレッチェ広島ユースのキャプテンマークを巻く木吹翔太だ。203センチという規格外のサイズを誇る唯一無二のタレントは、昨シーズンの途中からコンバートされたセンターバックで着実に進化を遂げ、来シーズンのトップチーム昇格を勝ち獲っている。

キャプテンに指名されたことは意外だったようだが、「日常から気を配って、自分が見本となってやることをまず意識して生活しています。やるからには自分も責任を持ってやりたいですし、成長できるチャンスだと思っているので、1年間しっかりキャプテンとしてチームを引っ張って、優勝に導きたいです」ときっぱり。確たる自信を纏い始めながら、チームを逞しく牽引している超長身センターバックが、爆発的な攻撃力を誇る大津の前に立ちはだかる。

決して派手さはないものの、そのサッカーIQの高さで広島ユースの中核を占めている橋本日向の存在も語り落とせない。とりわけ左サイドバックを務めた昨季は野田知監督がトライした、両サイドバックがボランチの位置に並ぶ独特なビルドアップに難なく対応。リーグ制覇の一翼をしなやかに担ってみせた。

中学時代は木吹と同じJFAアカデミー福島でプレーしていたが、「自分が中3の時のチームはWESTで優勝した強い代で、チームスタイルがアグレッシブで、なおかつボール回しもちゃんとやっていて、良いチームだなと思って来ました。あとは地元が岡山で近かったというところもあります(笑)」という理由で加わった広島ユースで、2年時から定位置を確保してきた実力は折り紙付き。橋本が放つ“いぶし銀”の輝きにも是非注目してほしい。

なお、前回対戦となる4月21日に開催された第3節では、木吹がコーナーキックから2ゴールを叩き込み、ホームの広島ユースが2-0で快勝。大津にとっては今シーズン唯一の黒星を突き付けられた一戦だった。首位を独走するホームチームに、背水の陣で挑むアウェイチームがどこまで食い下がれるか。激闘必至。高校年代最高峰の90分間が、キックオフの時を静かに待っている。


サンフレッチェ広島ユース・橋本日向

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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