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逆転優勝へのリスタート!4位と5位の激突、カシマ夏の陣!鹿島アントラーズユース×柏レイソルU-18マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第12節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史U-18日本代表としてSBSカップを戦った鹿島アントラーズユース・大川佑梧
8月22日から25日まで静岡県内で『2024 SBSカップ国際ユースサッカー』が開催された。1977年にスタートした同大会は、今回で48回目を数える国内有数の歴史を誇る国際大会であり、過去にはパトリック・クライファートやロナウジーニョも参戦。鹿島アントラーズユースを率いる柳沢敦監督も高校時代にプレーするなど、多くのタレントがSBSカップから世界へと羽ばたいた。
今年の大会にはU-18日本代表、静岡ユース(静岡県選抜)、U-18アルゼンチン代表、U-18韓国代表の4チームが参加。中でもU-18日本代表にはプレミアリーグ所属チームでプレーしている選手が11人も選出されており、普段は同じリーグでしのぎを削っているライバルの共闘には興味深いものがあった。
優勝を飾ったのはU-18アルゼンチン代表。U-18日本代表は3試合ともスコアレスドロー(大会のレギュレーションで行われたPK戦では2度の勝利を収めた)という結果になり、2位で大会を終えている。普段はなかなか経験できない国際試合を戦った彼らが、ここからどういう形で成長や進化を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
さて、プレミアリーグもいよいよ今週末から再開。この試合から後半戦に突入することもあって、各チームとも夏の中断期間で積み上げてきたものの真価が問われていくことになる。今節は茨城県立カシマサッカースタジアムを舞台に、鹿島アントラーズユースと柏レイソルU-18が対峙する一戦をフィーチャーしたい。
今季は5年ぶりにプレミアリーグへと帰ってきた鹿島ユース。序盤戦こそ少し勝ち点も伸び悩んでいたものの、第6節からは4連勝を達成し、ここまでの11試合は6勝2分け3敗と大きく白星が先行。首位の横浜FCユースとは2ポイント差の4位に付けている。
特筆すべきは、上位陣相手にも互角以上の戦いを繰り広げていること。首位の横浜FCユースには2-1で、2位の川崎フロンターレU-18には4-3で、それぞれ勝利を収めている上に、3位の流通経済大柏高校との試合も2-2のドロー。選手たちも着実にプレミアのレベルにアジャストしてきたことで、さらなる躍進の可能性も十分だ。
鹿島ユースでは“飛び級”でU-18日本代表に選出され、SBSカップのピッチに立った2年生センターバックの大川佑梧をキーマンに推す。スタメン起用された2試合は、ともに川崎フロンターレU-18のキャプテンを務める土屋櫂大とコンビを組み、最終ラインで奮闘。「特にフィジカルの差を感じられましたし、スタッフの方からもいろいろポジショニングのことを教えてもらったりして、楽しかったというか、いろいろなサッカーの見方があることもわかりました」と口にした通り、大会を通じて小さくない刺激を得たようだ。
ここまでのリーグ戦でも、退場処分で出場停止となった1試合を除き、10試合にスタメンで登場して、シーズンを通じてハイパフォーマンスを継続。本人も「1年生の頃に比べれば自分が引っ張っていかないと、という気持ちが大きいですね。自分が崩れたらチームも崩れると思っていて、チームが悪い状況でも声を掛け続けることも含めて、もっとやらないといけないなと思いますし、チームとしてはプレミアで優勝するという目標があるので、そこに自分の力を還元できるようにやっていきたいです」と主力の自覚も高まっている様子。『鹿島の壁』として存在感を高めている大川には、この試合でも是非注目してほしい。
柏U-18の9番を背負うストライカー、ワッド・モハメッド・サディキもSBSカップに臨んだU-18日本代表の中で、好プレーを披露した選手の1人だ。実に2年半ぶりとなる代表招集だったが、全3試合でスタメンに指名されると、最前線で身体を張って基点を創出。ゴールこそなかったものの、「もう1回代表に入ろうという気持ちでやってきました」という想いを、ピッチでしっかりと表現してみせた。
今シーズンのプレミアでは現在5得点を挙げており、得点ランキングでも上位をキープ。夏のクラブユース選手権では惜しくもグループステージ敗退を突き付けられた一方で、ワッドはベガルタ仙台ユース戦でハットトリックを記録し、3試合で4ゴールをマーク。その得点感覚は去年以上に研ぎ澄まされている。もともと秘めているポテンシャルは特大。久々に味わった代表活動も糧にしながら、さらなるゴール量産に期待が懸かる。
SBSカップ最終日の試合後。大川にワッドの印象を尋ねると、「前期で対戦した時はヘディングで全然勝てなくて、フィジカルも強くて、凄くやりにくい相手だなと感じました。でも、あそこを自分が止めないとチームも勝てないと思うので、そこは激しくバチバチやっていきたいと思います」ときっぱり言い切りながら、続けた言葉も印象深い。
「モハとは結構いろいろ話しました。今回で仲良くなったので、より絶対に負けられないですね」。昨日の友は、今日の敵。1週間前には同じ日の丸の付いたユニフォームに袖を通し、同じ勝利を目指しながら、再び敵味方に分かれた2人はポジション的にもマッチアップ不可避。大川とワッドが繰り広げるであろう“バチバチ”のデュエルから、目が離せない。
2年半ぶりの年代別代表で躍動した柏レイソルU-18・ワッド・モハメッド・サディキ
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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