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サッカー フットサル コラム 2024年5月17日

U-17女子日本代表が素晴らしいパフォーマンスで快進撃。次戦は北朝鮮との「頂上決戦」

後藤健生コラム by 後藤 健生
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U-17女子日本代表がAFC U-17女子アジアカップ準決勝で韓国に完勝して決勝進出を決めるとともに、今年の10月にドミニカ共和国で開催されるFIFA U-17女子ワールドカップ出場権を獲得した。

韓国戦では、前半からポゼッションで圧倒的に上回った日本は右サイドで形を作った。

右サイドハーフの木下日菜子と、サイドバックの福島望愛が右サイドで攻撃の形を作る。福島は左サイドハーフでプレーすることもある選手だけに攻撃センスも高い。そして、この試合ではトップ下を任された辻あみるが、相手の最終ラインの前に位置を取って後方からのパスを引き出した。

そして、何といっても、日本チームの強みは中盤での守備。攻撃から守備への切り替えの速さにある。ボールを失っても、すぐに回収して波状攻撃を仕掛けた。

ただし、4−4−2の韓国もこうした展開は織り込み済み。中央の守備を固めてきた。

この韓国の堅守に対して、日本はいくつか決定機を作ったが、なかなか得点には結びつかずに重苦しい展開となった。

ようやく韓国ゴールをこじ開けたのは時計の針が40分を指そうとする頃だった。左サイドに流れた古田麻子のクロスを辻がワンタッチで落とし、このボールに反応した根津里莉香が狙いすましてゴール右下隅に決めたのだ。

相手が守りを固める中で、前半終了間際での1点先取。非常に大きな得点だった。

ただし、前半のアディショナルタイムには日本は決定的なピンチを迎えてしまった。ロングボールがケイシー・フェアーにつながったのだ。アメリカ人の父親と韓国人の母親の間に生まれた選手で、ロサンゼルスのエンゼルシティーでプロ契約を済ませている16歳。昨年には女子ワールドカップにも出場し、グループリーグで韓国がドイツを破った試合でも活躍した。

日本はウォン・ジュウンのシュートをGKの福田真央がセーブしてCKとしたが、そのCKからのこぼれを再びウォン・ジュウンがに狙われ、ゴールライン上でDFの牧口優花がなんとかかき出す大ピンチがあった。

後半65分には、日本の守備の乱れから韓国に同点のチャンスを与えたが、フェアーのシュートを再び牧口が戻ってカバーして事なきを得た。

そんなピンチの直後。GK福田からのロングボールを右サイドで福島が収めてクロス。韓国DFのクリアが小さくなり、逆サイドに上がってきた眞城美晴が右足でコントロールしてから、左足で冷静に決めた。

そして、さらに88分には眞城が起点となった右サイドに展開してから古田がシュート。GKが弾いたボールを眞城が決めて勝利を決定づけた。先制ゴールを奪うまで時間がかかったものの、終わってみればシュート数で27本対6本という圧勝だった。

日本はグループリーグの3試合ではタイ、オーストラリア、中国を相手にいずれも4点を奪って全勝で準決勝に進出した。

準決勝の韓国戦は3点差に終わったものの(!)、準決勝までの4試合で得点が15点。失点はオーストラリア戦のPKによる1点だけだった。

準決勝の韓国戦は、圧倒的に攻め込みながらなかなか先制ゴールが生まれなかったし、これまでの4得点に比べて3得点とちょっと大人しかったU-17女子日本代表だが、韓国に対する「3対0」というスコアは、両国の代表チーム同士の試合で、この数年何度も見てきた“マジカルな”スコアだった。

今回のU-17女子日本代表。グループリーグから、素晴らしいパフォーマンスを披露し、12ゴールを奪って快進撃を続けていた。

5月13日のタイ戦は、開幕戦独特の緊張からか堅い試合となり、前半は無得点に終わり、ようやく眞城がコースを狙ったシュートを決めたのは51分になったところだった。その後、61分にはボランチの榊のミドルシュートで2点目。そして、69分には交代出場した171センチの長身の津田愛之音がペナルティーエリアに入ったところから反転して強烈なシュートを決め、さらに87分には右からのクロスを津田が長身を生かしてヘディングで決めた。

津田の豪快な2ゴールは、これまでの日本サッカーのイメージを覆すようなダイナミックなゴールだった。

次のオーストラリア戦では、トップで起用された佐藤ももサロワンウエキが10分までに2ゴールを決めた。とくに2分の先制ゴールはロングボールを胸でコントロールして、反転しながら落ち際をコントロールして決めるというスケール感のある得点。

こうした国際試合で、日本チームはいつもそうするのだが、今回のU-17女子日本代表もターンオーバーを繰り返し、様々なメンバーが出場してバリエーションの豊富さを見せつけた(準決勝までにはGK3人も含めて23人全員がピッチに立った)。

固定しているのはセンターバックとボランチだけだ。

センターバックは太田美月、牧口、朝生珠実の3人で回し、ボランチはキャプテンの眞城と榊愛花の2人がほとんどフル出場。中盤で奪い返したボールをこの2人のボランチが正確に裁くことで、スムースに攻撃に移れているのだ。そして、眞城は準決勝までに4ゴールも決めている。

攻撃陣はまさに日替わり。素晴らしいゴールを決めた津田や佐藤もけっしてレギュラーというわけでもないのだ。
 気温が30度を超える環境で、中2日で5試合……。スケジュール的に苦しい日程だけに、ターンオーバーを使える日本は優位に立つことができる。

5月19日に予定される決勝戦の相手は北朝鮮と決まった。

北朝鮮は初戦でいきなり韓国に7対0というスコアで大勝し、グループリーグ3試合で得点22、失点0という圧勝だった。

日本は得点12だから、北朝鮮の戦績は日本を大きく上回っているが、これは気にする必要はない。「格下相手に何点取るか」ということと、自分たちと同等のチームと戦って勝つことは、まったく別のことだからだ。しかも、北朝鮮は準決勝では日本が4点を取った中国を相手に1対0という辛勝だった。

現在のアジアの女子サッカー界で「日本の最大のライバル」と言えば、それは北朝鮮のことだ。まさに“頂上決戦”である。

2月のパリ・オリンピックでは両国のフル代表同士が2試合を戦って、日本が1勝1分で予選突破。3月に行われたU-20アジアカップでは、日本は北朝鮮と決勝で対戦。北朝鮮が2対1で逆転勝利して優勝(U-20ワールドカップ出除権は両国ともゲット)。している。

そして、今回のU-17アジアカップでも決勝戦で対決。今や「アジア最大のライバル」となった北朝鮮との4度目の対決(オリンピック予選は2戦制)はどうなるのだろうか……。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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