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サッカー フットサル コラム 2024年4月5日

高校年代最高峰の戦い 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024シーズン展望

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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青森山田高校・小沼蒼珠

高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024は4月6日に開幕。EASTの12チーム、WESTの12チーム、計24チームの猛者たちが、年末に埼玉スタジアム2002で行われるファイナルを目指して、高校年代最高峰の戦いへ身を投じることになる。ここでは昨シーズンの成績も鑑みながら、今季のプレミアリーグを展望したいと思う。

2年ぶりにEASTを制し、ファイナルでも劇的な逆転勝利。高校選手権と合わせて、昨年度の高校年代二冠を達成した青森山田高校。今シーズンはレギュラーの大半が卒業した中で、就任2年目の正木昌宣監督は「例年はある程度メンバーを固定してきていたけれど、今年はちょっと競わせてやれればなという気もしています」と明言。DF小沼蒼珠やMF谷川勇獅など経験豊富な主軸に加え、DF伊藤柊やMF山口元幹といった新戦力も台頭し、プレミア連覇へ堂々と挑む。

一昨シーズンのEAST王者、川崎フロンターレU-18もタイトル奪還を虎視眈々と狙っている。U-17ワールドカップにも出場したDF土屋櫂大、DF柴田翔太郎を筆頭に、昨季からレギュラーを張るMF矢越幹都やMF加治佐海といった実力者も揃い、攻守に高いインテンシティを誇るスタイルは継続。2年ぶりの戴冠は十分に実現可能な目標だ。

好チームを作り上げ、昨シーズン2位と大躍進を遂げた尚志高校は主力が大きく入れ替わったものの、MF大内完介やFW矢崎レイスなどプリンスリーグ東北で研鑽を積んだ選手たちが、モチベーション高くプレミアでの飛躍を期す。また、元日本代表の玉田圭司監督が就任した昌平高校も、MF大谷湊斗、GK佐々木智太郎、DF上原悠都、FW鄭志錫と下級生からの主力組を擁し、新指揮官の下で上位進出を窺う。

高円宮杯プレミアリーグ特集サイト

千葉の高体連勢も興味深い。市立船橋高校は昨年度の高校選手権で全国4強を経験し、「ある程度の“基準”が見えて、目指すべきところが明確になっている」とは波多秀吾監督。GKギマラエス・ニコラスにFW久保原心優と攻守のキーマンを中心に、グループの一体感で勝負する構え。流通経済大学付属柏高校もDF富樫龍暉、MF堀川由幹、FW柚木創など各ポジションにタレントを並べ、11年ぶりのEAST制覇へとチーム力を着実に高めている。

昇格3年目となる前橋育英高校はDF山田佳、MF石井陽、FW佐藤耕太とプレミアで実戦経験を重ねた軸がセンターラインを貫き、MF白井誠也、MF平林尊琉など活きのいい2年生も成長中。「ハードワーク、声、トランジション、ファーストとセカンドの徹底、デュエル」の5原則を掲げ、頂点を目指している。

2年ぶりにWESTからEASTへ帰ってきた横浜FCユースは和田拓三新監督の下、キャプテンのDF小漉康太やFW庄司啓太郎を中心に見据えるのは上位進出。3年ぶりに丹野友輔監督が指揮を執る大宮アルディージャU18も、MF菊浪涼生やMF登丸楓吾、MF山中大智など中盤に昨季からの経験者を配し、積み上げてきた攻撃的スタイルで戦う。5年ぶりのプレミアリーグ帰還となる鹿島アントラーズユースは、トップ昇格が決まったFW徳田誉、DF松本遥翔はもちろん、DF佐藤海宏、DF大川佑梧、期待のルーキーFW吉田湊海と注目の逸材を抱え、優勝争いに加わってもおかしくない実力を備えている。

クラブのレジェンド・佐藤由紀彦新監督を迎えたFC東京U-18は、GK後藤亘、DF永野修都、DF金子俊輔、FW山口太陽と年代別代表経験者がズラリと居並び、プレシーズンから激しいレギュラー争いを展開。柏レイソルU-18もGK栗栖汰志、MF福島大雅、MF黒沢偲道、FW吉原楓人をはじめ、昨季のプレミアで成長した好素材が中核を占め、「3年生の自覚が見えるので、どこまでやれるか楽しみ」とは熱血漢・藤田優人監督。10年ぶりとなるリーグタイトルを真剣に獲りに行く。

WESTは昨シーズン王者に輝いたサンフレッチェ広島ユースの前評判が、今季も変わらず高い。トップチームへの昇格が発表されたDF木吹翔太とFW井上愛簾を攻守の軸に、ファイナルのピッチに立ったMF橋本日向、MF小林志紋、FW宗田椛生と実力派が脇を固める。智将・野田知監督の敷く緻密な戦術もベースに、届かなかったプレミア日本一を奪い取るための1年へ向かう。

得失点差に泣いた2022年、勝ち点1差が立ちはだかった2023年と、2年連続でWEST2位と悔しい結果を突き付けられたヴィッセル神戸U-18は、今年度も有力な優勝候補。GK亀田大河、DF山田海斗、MF濱崎健斗、FW渡辺隼斗などセンターラインを強力なタレントが担い、蓄えてきたチーム力も昨年以上。「圧倒してプレミアを優勝したい」という濱崎の言葉は、間違いなくグループの共通認識だ。

昨シーズンは終盤まで優勝争いを繰り広げた静岡学園高校も、例年通り高い技術に自信。DF野田裕人、新10番のMF山縣優翔、MF天野太陽とポイントになる選手を擁し、“ガクエンスタイル”でタイトルへチャレンジする。伝統的な守備の粘り強さを誇る米子北高校は、今シーズンもソリッドなチームを志向。DF樋渡蓮音、MF柴野惺、FW鈴木颯人と戦える主力を揃え、台風の目を演じる力を有す。

昇格組の3チームはいずれも初のプレミアを戦う。6度目のプレーオフ進出で悲願の昇格を手繰り寄せた帝京長岡高校は、DF山本圭晋、MF水川昌志、FW安野匠らを中心に「小さいスペースと大きいスペースを使いながら、何よりも一生懸命ハードワークする」(古沢徹監督)スタイルで勝負。初のプレーオフを逞しく勝ち抜いた鹿児島城西高校も、FW大石脩斗やMF中村玲音など好アタッカーを抱え、「最後まで粘って闘う鹿児島城西高校のサッカーを観てほしい」(新田祐輔監督)とリーグに新風を吹き込む準備も万端。プリンス中国王者としてプレーオフをしなやかに制したファジアーノ岡山U-18は、「アグレッシブにゴールを目指すし、ボールを奪いに行くチーム」(梁圭史監督)を標榜。キャプテンのMF藤田成充、DF川上航生、FW石井秀幸と面白い素材も集い、新たな舞台へ堂々と乗り込む。

三木隆司監督の就任1年目となる名古屋グランパスU-18は、DF伊澤翔登、DF池間叶、FW杉浦駿吾と実戦経験を積んだ3年生を軸に、トップチームを意識したチームビルディングを徹底。昨季は残留争いに喘いだサガン鳥栖U-18は、キャプテンのMF森夲勢那を中心に危機感と緊張感を煽りながら、DF黒木雄也やFW鈴木大馳といった実力派の選手たちが復権を期す。

九州の高体連勢も個性派が揃う。平岡道浩監督を新指揮官に頂く東福岡は伝統のサイドアタックを生命線に、DF柴田陽仁、MF大谷圭史、MF児玉愁都などさらなる飛躍に期待が懸かる選手も多々。絶対的エースのMF名和田我空がそびえる神村学園高校も、DF鈴木悠仁、MF新垣陽盛、MF福島和毅を筆頭に、プレミアを席巻し得る才能たちが開幕を待ち侘びている。

各方面からの評価を得ているのは大津高校。昨年も定位置を確保していた新キャプテンのDF五嶋夏生、MF嶋本悠大、MF兼松将が存在感を示せば、FW山下景司やMF畑拓海、MF舛井悠悟をはじめ、レギュラー候補が急成長。「自分たちは残留しようという目標でやっているわけではなく、優勝を目指してやっている」(五嶋)。火の国の強豪校はWEST制覇を視界に捉えつつ、新シーズンへ挑んでいく。

12月15日のファイナルまで、約8か月に渡って激闘が繰り広げられるプレミアリーグ。今シーズンも高校生のいまが輝く最高のステージから、目が離せない。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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