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サッカー フットサル コラム 2023年11月24日

FIFA U-17 ワールドカップ現地レポート「7試合を戦う」ことを目標として掲げていたU-17日本代表の冒険は、4試合で幕を閉じることとなった。

サッカーニュース by 川端暁彦
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スペインと激突したラウンド16、結果は1-2の敗戦。勝機のまったくない試合ではなかったが、内容面で振り返ればスペインが一枚上手だったのも明らか。この結果は、受け入れるしかない。

ただ、収穫のなかった大会だったわけではない。

試合を振り返って「ノックアウトステージの試合は紙一重のところで勝負が決まってしまう」と噛みしめるように話していたのは主将としてチームを支えてきたDF小杉啓太。ワンプレーの怖さ、わずかな隙を逃さず、決め切ってくる世界レベルの選手たちの凄味を肌で感じたことは、あらためて彼らの財産になるだろう。

フル稼働して戦い抜いた選手たちはもちろんだが、エースとして期待されながら「何の結果も残せなかった」と肩を落としたFW道脇豊のような選手にとっても、世界大会が残した刺激は小さなものではない。

「自分のストロングポイントも世界では全然武器でなかった。すべてに関してまだまだです。どの国を観ていてもFWに凄い選手がいて、スペイン代表のバルサのFW(マルク・ギウ)も本当に良い選手だなと思ったし、全部が自分よりも上だった」(道脇)

特にハイレベルでタフな試合になったアルゼンチンとの第2戦、スペインとのラウンド16は選手たちに衝撃にも近い感覚を与えている。「日本の試合では感じられない」というコメントは、多くの選手の口から聞こえてきたものだが、逆に言えば、それを真剣勝負の中で体感できた意味は大きい。

本気で勝ちにいって本気の試合で敗れたからこそ心にも頭にも残るものができた。あとは試合後に流した涙を未来へのエネルギーに置換できる選手が、ここから本当の意味での成長を見せてくれるだろう。

森山監督は特にFW陣を意識して、こんな言葉を残している。

FIFA U-17 ワールドカップ

「とんでもなく悔しい想いをしていると思うので、『基準をここに置くなら俺はまだまだ足りないんだ』というのを身に染みて感じたと思う。そこから誰がどうアクションして、大きな成長に向けた大きな一歩を誰が踏み出していけるか」

今大会4得点を記録し、チームを引っ張る存在だったFWの高岡伶颯(日章学園高校)は、「スペイン相手に大事な場面で決められないのは努力不足だと思います」と断言。「やれなくはないと思った」としながらも、こう語った。

「自分がしていた練習は、大きな相手を想定してチームの中にいる大きな選手とマッチアップするとかでしたが、ここにいる選手たちはみんなデカくてアグレッシブでボール回しもうまくて、ビルドアップもできる選手たちだった」(高岡)

足りない部分を痛感させられた選手は多かったが、彼らが揃って新たなモチベーションを得た様子だったのも印象的だ。

「A代表でワールカップにもう1回きて、『このU-17ワールドカップがあったから今がある』と言えるようになりたい。もっと自分を高めてA代表に入って、もう一度世界の相手と対面したいと思っています」(高岡)

「同年代の世界のFWを色々見られたことは間違いなく大きな刺激になったので、これからも世界を見つめてやっていきたいなと思います」(道脇)

「(2年後の)U-20ワールドカップでも、この世代が引っ張っていくくらいの気持ちでやっていかないといけない。この経験は絶対に無駄にしたくないと思っています」(佐藤龍之介=FC東京U-18)

「チーム全員が前を向いてここから成長しないといけない。自分はまだまだこれからがあるので、前を向いて、本当にこの経験を無駄にしないようにしたい。スペインと次やったら、倒せるように頑張りたい」(FW名和田我空=神村学園高等部)

U-17ワールドカップの戦いはまだまだ続くが、U-17日本代表は先に大会を後にすることになった。ただ、選手たちの戦いは、これからが本番。「彼らはここから大海原へ出て行くことになる」(森山監督)からだ。

文:川端暁彦

写真:J SPORTS取材班

川端暁彦

フリーランスの物書き。主にサッカーの育成年代の取材を継続的に行っており、各種媒体に寄稿している。

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