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【帰ってきたストライカー。道脇豊と徳田誉が見据える世界のゴールネット FIFA U-17 ワールドカップ インドネシア2023 日本×ポーランドマッチプレビュー】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史道脇豊選手
今大会が実に4年ぶりの開催となるFIFA U-17ワールドカップ。2021年の開催が予定されていた前回大会は、世界的なコロナ禍の影響で中止となり、その際の開催予定地だったペルーで今回もそのまま行われるはずだったが、そのペルーが今年4月に開催を返上。舞台をインドネシアに移して、11月10日に開幕を迎えることになった。
U-17ワールドカップはFIFA主催の国際大会で最も若い年代のコンペティションであり、U-17日本代表のメンバーにとっては、全員が初めて臨む世界大会。チームの10番を背負う佐藤龍之介が「U-13の時から森山(佳郎)さんや廣山(望)さんたちがナショトレとかでU-17のワールドカップについてレクチャーしてくださったのをよく覚えているので、常にそういう人たちから聞いていて、憧れの舞台ではありましたね」と話しているように、彼らはもう何年もこの世界と戦う機会を心待ちにしてきたのだ。
日本が出場した過去9度の結果を振り返ると、1993年大会と2011年大会で進出したベスト8が最高成績。前者からは宮本恒靖、中田英寿、松田直樹、戸田和幸が、後者からは中村航輔、植田直通、南野拓実が世界8強を経て、のちにFIFAワールドカップのメンバーへ名を連ねている。
4チーム総当たりで行われるグループステージ。抽選会ではポット1に入りながら、なかなかシビアな組分けとなった印象もある日本がグループDの初戦で激突するのは、ヨーロッパを3位で勝ち抜き、11大会ぶりの本大会出場を手繰り寄せたポーランドだ。
予選ではやや対戦相手に恵まれた印象だが、それでも伝統国の実力は侮れない。ただ、今月6日にはポーランドサッカー連盟(PZPN)が、U-17ポーランド代表のワールドカップメンバー4選手を「スポーツマンシップに反する行為と規則違反」で追放することを発表。大会開幕を目前に控え、チームに激震が走っている。
そんなポーランドと対峙する1戦目のキーマンには、2人の『帰ってきたストライカー』を指名したい。1人はチームの9番を託されている道脇豊だ。既に所属しているロアッソ熊本とプロ契約を締結している高校2年生は、今シーズンのJ2開幕戦・栃木SC戦でクラブ最年少となる16歳10か月でのJリーグデビューを飾ると、7月の天皇杯3回戦ではサガン鳥栖から2ゴールを奪い、J1クラブ撃破の主役を鮮やかにさらってしまう。
ロアッソを率いる大木武監督も「彼は点を獲る星の下に生まれている」と認める、その際立った得点感覚は、世界の出場権を巡るU17アジアカップでもしっかりと発揮された。5試合に出場して4得点をマーク。ワールドカップの懸かった準々決勝のオーストラリア戦と決勝の韓国戦でもゴールを叩き出し、チームのアジア制覇に堂々と貢献してみせる。
8月30日の天皇杯準々決勝・ヴィッセル神戸戦で右鎖骨を骨折し、そこから2か月近く戦線離脱。その間の代表活動には参加できず、実戦からは遠ざかった状況で今大会へ挑むことになったが、離日直前のトレーニングマッチではゴールも決めており、コンディションは悪くない様子。186センチという体躯を誇る日本のエースの躍動は、勝ち点3獲得への絶対条件だ。
徳田誉選手
もう1人の注目したいストライカーは、鹿島アントラーズユースに所属する徳田誉。アジアカップは腰痛の影響で欠場を余儀なくされたが、「アジアカップは“1人マイナス”で行ったので」とあえて言及するほど森山佳郎監督からの信頼も厚く、9月のフランス遠征も再び腰痛で活動辞退したものの、今大会に臨む21人のメンバーに滑り込んだ。
10月に鹿児島で開催された国体では、茨城県選抜の一員として7ゴールを記録し、日本一に大きく貢献。185センチ、82キロという圧倒的なフィジカルを生かした力強いプレーはもちろん、相手ディフェンダーとの駆け引きからゴール前へのクロスに点で合わせるような、ストライカーらしい嗅覚も持ち合わせている。
アジアカップでMVPと得点王をダブル受賞した名和田我空が1.5列目的なポジションを得意とするため、道脇と徳田のツインタワーがスタメンで並び立つかどうかはわからないが、磨き上げてきたゴールへの意欲に絶対的な自信を持つこの2人が、大会の主役を狙っていないはずがない。
見据えるのは揺らすべきゴールネットだけ。2人の『帰ってきたストライカー』が、とうとう世界の扉の前に立った若き日本代表の躍進を、逞しく担う。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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