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鈴木が、国際経験を積んで成長していけば、GKというポジションは日本の弱点どころか、ストロングポイントにすらなりうるのだ。
その鈴木が本格的に日本代表にデビューした。
ところが、チュニジアは防戦一方でシュートは後半のアディショナルタイムまで1本も飛んでこなかった。前半は、27分に(日本側から見て)右サイドからのハイクロスをジャンプしてキャッチしただけ。あとは、鈴木の仕事はバックパスされたボールの処理だけだった。後半も同じような展開だったが、試合の最終盤にヒヤッとする場面が生まれ、アディショナルタイムにはハイセム・ジュイニにヘディングシュートを許し、シュートがゴールポストに当たる場面もあった。一方的な試合におけるGKの難しさだ。
しかし、それでもゴール前での鈴木のプレーのスケールの大きさは十分にみることができた。将来が、とても楽しみなGKである。
一段と“凄み”を増した遠藤航
もう一つ、目についたのが遠藤航の進化だった。
もちろん、遠藤は素晴らしい守備能力を誇るボランチで、カタール・ワールドカップ終了後、森保監督からキャプテンを任されてきた。だが、10月の2試合でのプレーを見ると、一段と“凄み”を増していた。
つまり、ボールを奪ってからの展開が速くなったのだ。奪って、前を向いて、前線の味方に正確なパスを付ける一連の動きである。
ブンデスリーガで毎年のように残留争いに巻き込まれていた遠藤は、今や世界最強クラブの一つのリバプールに移籍して、厳しいポジション争いの渦中に身を置いている。それが、彼をさらに一段と飛躍させたのだろう。
守田と組んだボランチは非常にハイレベルなものだった。ただ、遠藤が“替えのきかない”選手になってしまった。遠藤のバックアップ探しも、これからの課題の一つになるだろう。
相手がどんなスタイルであっても、あるいはどんな戦い方を選択してきても、しっかりと対応できる日本代表。アジア予選に向けて、死角はないように見える。唯一の懸念は長距離移動などピッチ外での問題をどう克服するか、だ。森保監督のマネージメント能力が試される。
伊東純也の追加点で 2-0 の完封勝利
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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