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サッカー フットサル コラム 2023年10月17日

疲労困憊の久保建英、プレー強度と移動距離と時差はラ・リーガ随一

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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グリーズマンと対峙する久保建英

グリーズマンと対峙する久保建英

代表招集中の久保建英が「疲労困憊」を訴えたそうだ。

確かに直近のアトレティコ・マドリー戦では、5バックでスパースがなく必ず2人にマークに付かれてうまく守られたこともあるがプレーにいつもの鋭さがなく、今季最短の65分で交代していた。その前のバスクダービー、アスレティック・ビルバオ戦では66分に3-0となった時点で久保を温存せず、90分間プレーさせたイマノル・アルグアシル監督の采配に疑問を持った。

実際、久保の“勤続疲労”ぶりはいかほどだろう?

ラ・リーガの出場時間でランクすると、久保の641分は93位に過ぎない(総プレー時間は9節810分)。総試合時間の79%でプレーというのは絶対的なレギュラーの数字だが、上には上がいるわけだ。とはいえ、ポジションによって疲労度は違う。ランキング上位はGK、DF、守備的MFに独占されており、アタッカー(攻撃的MF+FW)だけに限れば久保の順位は27位にまで上がる。

ここからさらに絞り込む。

27人のうちCL、ELの欧州カップ戦にも出場している選手に限ると、久保を含めて11人いる。アジョセ(ベティス)、ギュンドアン(バルセロナ)、ブライス・メンデス(レアル・ソシエダ)、バルベルデ(レアル・マドリー)、セルロート(ビジャレアル)、イスコ(ベティス)、ベリンガム(レアル・マドリー)、ガビ(バルセロナ)、グリーズマン(アトレティコ・マドリー)、レバンドフスキ(バルセロナ)そして久保(ソシエダ)。彼らは週末はラ・リーガで週中はCLまたはELで大忙しの面々である。

この11人のうちアジョセ、イスコ、ブライス・メンデスは代表招集外なのでインターナショナルマッチウィークで休養が取れるので除くと、残るは8人、ギュンドアン、バルベルデ、セルロート、ベリンガム、ガビ、グリーズマン、レバンドフスキ、久保。彼らこそがラ・リーガでも欧州カップ戦でも代表戦でもコンスタントにプレーを続ける、酷使のリスクが大きい面々である。

そして、この8人のうち欧州外出身で代表戦のための長旅を我慢しなければならないのが、ウルグアイのバルベルデと日本の久保ということになる。

スペインからの距離で日本の方がウルグアイより1000kmほど遠く、飛行時間で3時間ほど長く、時差も2時間大きい。ちなみにマドリッド=東京の飛行時間は16時間、マドリッド=モンテビデオは13時間で、欧州出身者のせいぜい2~4時間とは比べるのも馬鹿らしいほどの差がある。

久保の得意技、抜くドリブルは疲れる。バルベルデのボールを運ぶドリブルも疲れる。「アタッカー」と一括りにしたが、ドリブラーとパサーとセンターFWでは同じ出場時間でも疲労度は違うのだろうが、今回は考慮しなかった。

いずれにせよ、まとめると「久保はラ・リーガに所属する選手の中で最も疲労している」。が言い過ぎなら、「疲労困憊であって当然」とは言えるだろう。フィジカルモンスターのバルベルデはともかく、昨季目覚ましくフィジカルが向上したとはいえ久保の方は休養を与えていくべきだろう。その責任分担が、アルグアシル監督と森保一監督のどちらにどれだけあるのかはわからないが……。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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