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繰り返される“4‐3”の歴史!撃ち合い上等!やり合え両雄! FC東京U-18×前橋育英高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第18節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史逆転勝利の歓喜をサポーターと”シャー”で共有するFC東京U-18・岡崎大智
シビアな残留争いを繰り広げているFC東京U-18にとって、ターニングポイントとなり得るゲームは第15節だった。その前の節で昌平高校に0‐6と完敗。大きな危機感を抱いて迎えた横浜F・マリノスユースとのホームゲームも、前半のうちに先制を許してしまう。
だが、72分に山口太陽のゴールで追い付くと、試合終盤の89分に岡崎大智が決勝点を叩き出し、2-1と逆転勝利。10試合ぶりの白星を劇的に奪ったチームは、翌節も旭川実業高校に競り勝って、今季2度目の連勝を達成。勝ち点6を積み上げることで、降格圏を脱出することに成功した。
前橋育英も後半戦はやや苦しい時間が続いている。第13節の旭川実業戦でリーグ5試合ぶりの勝利を挙げたものの、そこからは川崎フロンターレU-18、柏レイソルU-18、尚志高校に3連敗。しかもその3試合は無得点で11失点と、厳しい現実を突きつけられる。
そんな中で必勝を期して臨んだ前節の市立船橋高校戦は、攻撃陣が躍動。まずは17分にプレミア初スタメンの1年生・大岡航未が先制点を奪えば、33分にも大岡のアシストから佐藤耕太が追加点をゲット。さらに途中出場の斎藤陽太も豪快なミドルを沈めた前橋育英は、ホームで3‐1と快勝。この結果を浮上のきっかけにしたいところだろう。
FC東京U-18はここに来て頼れる主将が帰ってきた。新チームが立ち上がったばかりの1月にヒザの大ケガに見舞われ、7か月近い戦線離脱を余儀なくされた岡崎は、前述したように横浜FMユース戦で途中投入から決勝ゴールを記録。チームに大きな勝ち点3をもたらした。
「自分はゴールを獲る選手というよりは、クロスでアシストをする方が多いイメージなので、点を獲らせたいタイプですけど、ラッキーが来ちゃいました(笑)」とその得点を振り返る岡崎だが、復帰後は本職の右サイドバックではなく、右ウイングでの起用がメイン。その攻撃力を発揮する局面が目立っている。
「自分も含めてチーム全員が1人ずつ成長しているので、チームの目標である残留をみんなで意識して、協力しながらやっていきたいと思います」と言い切る姿勢は主将のそれ。帰ってきた岡崎の躍動が、チームに大きなエネルギーを与えていることに疑いの余地はない。
もう1人の青赤のキーマンは田邊幸大だ。今シーズンの序盤戦は右ウイングで先発出場することが多かったが、第7節の柏レイソルU-18戦で逆三角形で構成された中盤のインサイドを任されると、そこからはそのポジションが定位置に。“2.25列目”気味の位置取りで、攻守のコネクト役として存在感を高めている。
昨シーズンもプレミアには21試合に出場するなど経験も十分。『チームの監督が奥原(崇)さんになってから、『強いFC東京を取り戻そう』という話をずっとしているので、今年の3年生は本当に強い想いを持ってやっていますし、どんなことにも積極的に取り組んで、勝つためには手段を選ばずに勝ちたいと思います』という言葉も頼もしい限り。“FC東京愛”にあふれた田邊が、攻守に繰り出す効果的なプレーにも是非注目してほしい。
前橋育英では前節のパフォーマンスが際立っていた、センターフォワードを務める佐藤耕太の成長ぶりが著しい。身体の強さを生かしたポストプレーも威力を発揮し、攻撃の基点を力強く創出すれば、2トップを組んだ大岡とのスムーズな連携から、きっちりゴールまで奪ってみせる活躍を披露。相手の脅威になり続けていた。
ここまでのリーグ戦でも全17試合にスタメン出場し、4ゴールをマーク。もともと新チームの立ち上げ時には本人曰く「一番下のチームにいた」そうだが、そこからのアピールが実った格好で、リーグ開幕戦のスタメンに抜擢される。その川崎フロンターレU-18戦では、プレミアデビュー戦ということもあってか、不安そうな表情を浮かべていたが、常に試合に出続けてきたことで、纏いつつある自信の一端は最近の立ち姿からも窺える。
市立船橋戦では後半に相手との接触で左ひざを痛め、そのまま交代。試合後はアイシングもしていたため、やや今節のゲームの出場は不透明ではあるものの、今やタイガー軍団に欠かせない前線の軸になり始めている佐藤が、どれだけ攻撃を活性化できるかは、そのままチームの勝敗を左右する大事なポイントだ。
なお、両者の前回対戦は第8節。前半で前橋育英が3点をリードしたものの、後半はFC東京も盛り返して1点差まで迫る。結果は4‐3で何とか前橋育英が逃げ切ったが、見どころの多いハイスコアの撃ち合いが繰り広げられた。
実は昨シーズンの前半戦で対戦した時にも、この2チームはまったく同じスコアのゲームを経験している。獲って、獲られて、を繰り返しながら、3‐3で突入した後半アディショナルタイムに、熊田直紀(現・FC東京)がハットトリックとなる決勝ゴールを叩き出し、ホームのFC東京U-18が4‐3で劇的勝利。スペクタクルな好ゲームだった。
ここ2シーズンのプレミアで対戦した3試合のうち、実に2試合のスコアが“4‐3”だったことは偶然か、はたまた必然か。歴史は巡り、繰り返される。3度目の“4‐3”を期待したくなるような、がっぷり四つの攻め合い必至。楽しみな一戦は東京ガス武蔵野苑多目的グランドで、15日の14時にキックオフを迎える。
前橋育英高校・佐藤耕太
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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