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サッカー フットサル コラム 2023年7月23日

女子W杯初戦で日本を導く2ゴール。スピードスター・宮澤ひなたが大舞台で最高のスタート

サッカーニュース by 松原渓
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宮澤ひなた

宮澤ひなた

チャンスは再三訪れるものの、紙一重でゴールにつながらない――。ピッチに漂い始めた重い空気を切り裂いたのは、背番号7だった。

ニュージーランド・ハミルトンのワイカトスタジアムで行われた女子ワールドカップ初戦で、日本はザンビアに5-0と快勝。MF宮澤ひなたは、先制点を含む2ゴールで勝利を引き寄せた。

43分、MF藤野あおばのクロスに、右足インサイドでぴたりと合わせてゴールネットを揺らす。この先制ゴールで大量得点への流れを作ると、62分には、FW田中美南がゴールラインギリギリで折り返したボールに合わせて日本の3点目を決めた。

ボールウォッチャーになりやすいザンビアの弱点をしっかりと抑え、積み上げてきた連係を2つのワンタッチゴールに結実させた。

「もともと緊張するタイプではないんですが、ワールドカップの舞台はまた違った感覚でした。ゴールネットが揺れた瞬間は鳥肌が立って、込み上げてくるものがありました。憧れていた舞台を楽しもう!という思いで試合に入って、チームとして勝ち切ることができて嬉しいですし、みんなが繋いでくれたゴールだと思います」

試合後、他の選手から一足遅れて取材エリアに現れた宮澤は、疲れを感じさせない爽やかな笑顔でゴールの感想を口にした。

宮澤にとって、小学5年生の時にテレビで見たなでしこジャパンのワールドカップ優勝が、夢の出発点だった。

現役高校生だった2018年になでしこジャパンの候補に初招集され、以降もコンスタントに選ばれてきたが、ワールドカップは今大会が初出場。U-20ワールドカップでともに世界一になった池田太監督の下で2021年末以降、新生チームの屋台骨になり、これまで22試合に出場して4ゴールを決めてきた。

そして、ザンビア戦で初の複数ゴールを記録。コツコツと積み上げてきたものが、大舞台で発揮された。

「4年前のワールドカップはトレーニングパートナーという形で(正式なメンバーには選ばれず)、現地に来ることができなかったですし、オリンピックもメンバーに選ばれませんでした。そこで下を向かず『次のワールドカップに出る』という気持ちで前向きに取り組んで、本当に良かったなと思います」

宮澤は噛み締めるように言って、微笑んだ。

【大舞台で踏み出した第一歩】

宮澤ひなた

先制点を含む2ゴールで勝利を引き寄せた

宮澤の武器は、スピードとドリブル。森保ジャパンの選手に例えるなら三笘薫、伊東純也のように、「個」で違いを見せる選手だ。一方、ボランチやトップ下で周りを生かすプレーもできるため、WEリーグのマイナビ仙台レディースでは2列目でゲームメイクもこなす。

ただし、世界で戦う上での武器となると、やはりそのスピードに目が向く。東京五輪のメンバー落選を機に、「スピードを使ってどう勝負していくか、もっと自分の特徴を出し続けないと見てもらえない」と感じたという。昨年末の欧州遠征でイングランド(●0-4)とスペイン(●0-1)に連敗し、単なる「速さ」だけでは通用しないことも実感。ウェイトトレーニングを増やし、意識的に筋力も増やしてスプリント力を強化してきた。

ザンビア戦で見せた躍動感あふれるプレーは、そうした鍛錬の成果でもあり、今大会でのさらなる活躍を期待させるものだった。

ザンビアには身体能力の高い選手も多かったが、流動的にポジションを変えながら、ウイングバックのMF遠藤純とともに左サイドを制圧。シンプルなワンツー、鋭く力強い抜け出し、相手の急所をえぐるようなドリブルと、多彩なプレーで観衆を沸かせた。

「こう動いたら相手が嫌そうだな、とか、自分のポジショニングで相手がどう動くかを考えてプレーするのが楽しかったです」

今大会のチームには、U-16代表の頃からの同僚や国内リーグの元チームメートが多く、時間をかけて構築されたホットラインがある。共通のコンセプトの中で選手が自由に発想し、伸び伸びとプレーできるよう導く池田監督のチーム作りも知っているからこそ、結果で応えたい思いは強い。

「やったな」

ゴール後、ベンチに飛び込んでいった宮澤に、指揮官はいつもの熱い口調で声をかけた。

ずっと目指してきた舞台で、最高のスタートを切った。だが、ここからは相手のレベルも徐々に上がっていく。

「一瞬の動き出しのスピードや、ターンしてから相手の前に入るスピードなど、国内とはまた違ったスピードの使い方、使い分けは通用するところがあると思う」と宮澤。

中3日で迎えるグループステージ第2戦のコスタリカ戦でも、相手を出し抜く駆け引きやスピードで、貪欲にゴールを狙う姿を見せてほしい。

文・写真:松原渓
松原渓

松原渓

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。

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