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サッカー フットサル コラム 2023年2月14日

国内では敵なしのレベルにあるバルセロナ、ビジャレアルに完勝

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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対人能力は尋常なレベルではないアラウホ

対人能力が尋常なレベルではないアラウホ

ビジャレアル対バルセロナ(0-1)は「1-0のバルサ」という定評通りの、しかしその名の印象とはまったく違う、「完勝」だった。

内容から言えば、バルセロナの無失点は必然であって、2点目が取れなかったのは必然とは言えない。この試合は1点差で終わっても2点差で終わっても不思議ではなかったが、いずれにせよ、バルセロナの勝利で終わるべきだった。

番狂わせが多く運も大いに関与するサッカーで「必然」とか「べき」とか使うのもおかしいのだが、やはりサッカーはたくさん攻めてたくさんシュートを打ってほとんどシュートを打たさなかったチームが勝つものだ。

バルセロナの勝利は至極当然であって、ビジャレアル側も“もう少しで勝ち点1が取れた”というふうには思っていないだろう──なんて書いたところで、セティエン監督の試合後の談話を確認したら、「引き分けが正当な結果だった」なんて言っていた!(笑)。

負けず嫌いの彼らしい。そりゃチームの長として「完敗」は認められない。士気を下げたくないし、ファンやメディアの目もある。でも、心の中では完敗だと思っているはずだし、完敗という認識で次の試合のプランニングをするはずだ。

監督セティエンではなく、評論家セティエンなら、会いに行ってビールなど飲みながら「バルセロナ強かったですね。完勝ですよ」と私が話を向けたら、「そうだな」と間違いなくうなずくはず。正しい状況認識があるからこそ正しくチームを作りができる。認識が間違っていては、問題点の検知も修正もできない。つまり、名監督になんてなれるわけがない。

「完敗」が本音、「引き分けに相応しい」が建て前。集団の長というものは監督でも上司でも同じだが、本音と建て前の使い分けができなくてはいけない。

で、完敗を前提にどうチームを立て直すか?
私ならあまり気に懸けない。今のバルセロナがスーパー過ぎるのだ。次は絶対にあんな強いチームには当たらないから、この敗戦はいったん忘れる。むしろ、前節のエルチェ戦(3-1)で敗れた反省の方が大切で、そっちに全力を注ぐ。

バルセロナの強さは先週のコラムで書いた通り。とにかく守備が強い。

中でもアラウホの対人能力は尋常なレベルではない。速くて強くて高い。W杯はケガで不在。来月、日本代表は親善試合でウルグアイ代表と対戦するから、その時にぜひ見てほしい。

プレスも強かった。同じ布陣、攻撃時[4-3-3]、守備時[4-4-2]をぶつけてきたビジャレアルはマンツーマンで当たり合い、走り合いを挑んできたが、ここでも完勝。イーブンに見えたボールは必ずバルセロナ側に転がり、相手が食い下がってセカンドボール、サードボールが生まれた時も同じだった。

フィジカルレベルにも差があった。前へ走るのと、後ろへ走るのでは体力の消耗具合が違う。プレスしてからの背走のためには急ブレーキ、急ターンという激しい動作が必要だから。

インターセプト後の攻撃の質にも差があった。
体力的に、技術的に、陣地的にバルセロナの方が上だったので有効な攻撃に転じられた。ビジャレアルのボール回復点は後ろで、散々ボールを追わされた後で疲労しており、周りの陣形も崩れていて、テクニックで劣っているため、カウンターの精度を上げられず、シュートにもなかなか辿り着けない。

国内では敵なしのレベルにあるバルセロナが、16日(現地時間)ELのマンチェスター・ユナイテッド戦でどういう試合を見せるのか楽しみだ。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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