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サッカー フットサル コラム 2023年2月10日

最高にチャーミングなリヴァプールを創ったのはクロップだ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ユルゲン・クロップ監督

ユルゲン・クロップ監督

「ここから出ていくつもりはないし、だれかに出て行けともいわれていない。ただし、変化は必要だ」

ユルゲン・クロップ監督の発言である。今シーズン、彼が率いるリヴァプールは周囲の期待に応えていない。負傷者の続出、主力の不振、勤続疲労など、不振の理由は少なからず考えられる。

フィルジル・ファン・ダイク、ディオゴ・ジョタ、ジョエル・マティプ、チアゴ・アルカンタラ、ルイス・ディアスなど、クロップが信頼を寄せていた主力が次々と負傷に倒れた。

とくにファン・ダイクは精彩がなく、寄せが甘かったり、あっさり抜かれたり、2シーズンほど前までの凄み、安定感を完全に失ったようにも感じられる。

バイエルン・ミュンヘンに移籍したサディオ・マネの後釜として、ダルウィン・ヌニェスは攻撃陣の中核を担うはずだった。スピード、テクニック、フィジカルともに申し分なく、マンチェスター・シティのアーリング・ハーランと得点王を争うのでは、と前評判高かった。

しかし、2月5日現在5ゴール。ハーランは25ゴール。チャンスは訪れるものの、ヌニェスはシュートミスが多すぎる。

さて、もっとも懸念すべきは勤続疲労だ。クロップみずから「ヘヴィメタル・フットボール」と名づけたように、彼のスタイルはリズムが激しい。当然、肉体は消耗し、先述した負傷者続出の要因に挙げられている。しかも主力が高齢化。こうして、ひとつのサイクルが終焉を迎えた。

クロップが語ったように、変化は必要だ。肉体的な上積みが難しい選手に非情の決断を下すときがやって来た。ナビ・ケイタは今シーズン限りで退団する公算が大きい、ジェイムズ・ミルナーとアレックス・オクスレイド=チェンバレン、マティプあたりも契約期間とコンディションを踏まえると、新チームに残れるのか微妙なところだ。

また、夏の移籍市場では積極的に仕掛けなければならない。相思相愛といわれるジュード・ベリンガム(ドルトムント)、イングランド屈指のMFデクラン・ライス(ウェストハム)、カタール・ワールドカップ後のハイパフォーマンスでメガクラブのターゲットになった三笘薫(ブライトン)など、ヘヴィメタル・フットボールに適したタレントを是が非でも獲得したいところだ。

そして、再建をクロップに託すことだ。現状がドルトムントの監督を務めていた2014-15シーズンに酷似しているとはいえ、最高にチャーミングなリヴァプールを創ったのはほかならぬクロップである。この、類稀なる情熱家を解任した場合、後任を見つけられるのだろうか。

マウリシオ・ポチェッティーノ(前パリ・サンジェルマン監督)はすぐれた指揮官だが、クロップのようには熱くない。

財政面の不正疑惑が浮上したマンチェスター・シティからジョゼップ・グアルディオラが退団しても、道義上、リヴァプールの監督には就任しない。

トーマス・トゥヘル(前チェルシー監督)は行く先々で軋轢を引き起こす。

一部のメディアが後任候補に挙げるレヴァークーゼンのシャビ・アロンソ、セルティックのアンジェ・ポステコグルーは、まだメガクラブを扱える器ではない。

あるとあらゆる組織に過渡期が訪れる。常勝チャンピオンも存在しない。浮き沈みと新陳代謝を繰り返しながら、だれもがテッペンをめざしていく。

就任後8年でチャンピンズリーグとプレミアリーグを制したクロップには、勝利のノウハウが骨の髄まで染みこんでいる。監督を代える必要は1ミリもない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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