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サッカー フットサル コラム 2023年2月7日

数字でみるバルセロナ 15試合負け知らずの強さの秘密

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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バルセロナvsセビージャ ジョルディ・アルバ

ジョルディ・アルバ

先週のベティス、セビージャというセビージャ市の2チームとの連続対戦で、バルセロナの強さの秘密を分析してみよう。

まず数字から。

ベティス対バルセロナ(1-2)、バルセロナ対セビージャ(3-0)の連勝で、2位レアル・マドリーとの差は8ポイント差に開いた。まだ決定的ではないが、その一歩手前という状況だ。前半戦(前節)終了時で50ポイントという勝ち点100超えのハイペースは、これまで4度あるがうち3度は優勝している。

これで15試合負け知らず。だが、2点差以上で勝ったのはラ・リーガでは11月5日の対アルメリア以来。勝利は常に最少得点差で「1-0のバルサ」なんて呼ばれていた。失点わずか7の守備力が強さの秘密なのは明らかだ。

バルセロナのDFは足が速い。
セビージャ戦では背走するシーンがなかったが、ベティス戦の前半はかなりカウンターに脅かされた。だが、3人対3人でスタートした大ピンチが4人対3人の中ピンチになり5対3の小ピンチになりというふうに守備者の数が増えていって、決定的なピンチになるのを阻止してしまう。つまり、守備の戻りが相手の攻撃参加よりも速い。

右SBクンデ、右CBアラウホ、左クリステンセン、左SBバルデ(ジョルディ・アルバ)の面々はいずれも快速だ。昔ライカールトの助監督だったテン・カーテにインタビューした際に「DF4人のうち3人の足が速ければハイラインは成立する」と言われたことがあるが今のバルセロナは4人とも速い。さらに、MFのフレンキー・デ・ヨングも快速な上に、シャビ監督の命なのだろう、ペドリやガビ、ラフィーニャもさぼらず戻って来る。

[4-3-3]で3トップにFW3人(レバンドフスキ、ラフィーニャ、デンベレ)が入っていた以前とは違い、今はFW2人+MF1人(ガビ)という構成に変わったことも守備の厚さに貢献している。ガビの守備力には定評がある。

攻撃面にも変化がある。
以前は両SBが上がり両ウインガーとのコンビで打開するパターンだったのに、今は攻撃の主体がサイドではなく中央になっている。中央突破の担い手はインサイドMFのペドリとデ・ヨング(ケシエ)。彼らが積極的に最終ラインの裏を突く。そうなると両SBには裏抜けのスペースがなくなるので彼らは後方に控えて、キープのサポートとクロスを上げることに徹し、ボールロストがあった際には真っ先にプレスに行く。

今はレバンドフスキというターゲットがゴール前にいるのでクロスのタイミングが早くなっている。かつて典型的だった両SBが深くえぐってマイナスのセンタリングを戻す、というプレーは少なくなっている。

まとめると、SBが後ろ気味のポジショニングになって、インサイドMFのフィニッシュへの貢献度が上がった。それによって、SBがプレスに参加でき、戻りも速くなった。3人FWの時よりも単体での突破力は下がったが、その分ボール支配力が上がった。中央突破が多くなった分、潜在的なカウンターのリスクは大きくなっているが、それは快速DFと懸命な戻りによって防げている。

その結果、1点差で勝てるチームが出来上がった。
負傷中のデンベレが返ってきた時にシャビは3人FWに戻すだろうか? そうすると攻撃力は上がるかもしれないが守備力は間違いなく下がる。なので、結果が出ている今の形を変えず、デンベレとラフィーニャを交互に使う、とみるがどうか。

最後に、ベティスとセビージャについて。

下位のセビージャは当然として上位のベティスのホームであっても埋められない力の差が明らかになった。その上下関係の象徴がガビとアンス・ファティだ。

ガビはベティスファンから大きなブーイングを浴びていた。実は彼はセビージャ市郊外の生まれでベティスの下部組織出身(11歳まで所属)なのだが、そのことにほとんど言及することがないので、“恩知らず”のように見られている。一方、アンス・ファティはセビージャの下部組織に一時所属(10歳までの2年間)していたが、生まれがセビージャ市ではないのでブーイングを浴びずに済んでいる。

サッカー少年とその両親にとって、バルセロナ(とレアル・マドリー)から声を掛けられて「ノー」と言うのは難しい。

力の差は育成世代にすでにあり、広がっていくのである。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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