人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2022年10月16日

【ハイライト動画あり】リトルなでしこが21名全員で掴んだ決勝トーナメントへの切符。躍動感あふれるプレーで強豪カナダを撃破!

サッカーニュース by 松原渓
  • Line

U-17日本女子代表

FIFA U-17女子ワールドカップ、グループステージ第2戦。初戦でタンザニアを4-0で下したリトルなでしこは、前回大会ベスト4のカナダと対戦し、4-0のスコアで快勝した。

週末の試合ということもあってか、ゴアのネルー・スタジアムには5,492名と、初戦よりも多くの観客が集まり、中には女性のファンや子供たちの姿も目立った。

スタジアム周辺では女の子たちがボールゲームに夢中になっていた

日本戦の前に行われたフランスとタンザニアの試合では、タンザニアがフランスを2-1で下し、歴史的なワールドカップ初勝利を挙げている。タンザニアは初戦と比べても粘り強さやが向上しており、フランスに先制した後はさらに勢いを増した。一つの成功体験で選手やチームが大きく成長するのは、U-17ワールドカップの魅力だろう。そして、U-17日本代表ことリトルなでしこたちも、初戦とは見違えるように伸び伸びとしたプレーで地元のサッカーファンを沸かせた。

「失敗してもいいから、チャレンジしよう」

狩野倫久監督が試合前に選手たちにかけたというその言葉が、選手たちをプレッシャーから解放し、挑戦者たちの心に火をつけたようだ。

日本はタンザニア戦から先発4名を入れ替え、試合に臨んだ。そして、この試合では立ち上がりからボールを支配し、カナダを攻守に圧倒。
初戦の前半は全体的に前がかりになり、技術や判断のミス、連係のズレなどから攻撃が詰まるシーンが見られた。しかし、この試合は選手同士が適切な距離感で淀みなくパスを回し、カナダのプレッシャーをテンポよくいなした。
その核となっていたのが、ダブルボランチのMF谷川萌々子とMF眞城美春だ。谷川は168cmの長身で展開力や推進力があり、眞城は155cmと小柄で小回りが利き、視野が広く、足元のテクニックは一級品。「相手のパワーや足の長さに負けてしまわないように、常に自分の間合いにボールを置くことを意識した」という眞城は、谷川と互いの良さを引き出し合うように動きながら良い距離感でパスを繋ぎ、攻守の歯車となった。

FIFA U-17 女子 ワールドカップ インド 2022 グループD 第2節

【ハイライト動画】日本 vs. カナダ

鮮やかなパスワークやシュートシーンに呼応するように、「ジャパン!」コールが沸き起こる。その応援を背に、初先発のFW久保田真生が試合開始から9分で起用に応えた。相手陣内で谷川、FW辻澤亜唯と3人で囲んでボールを奪うと、ワンタッチでボールをコントロールし、右足を振り抜いた。鋭くカーブしたシュートが相手GKコラリー・ラリエの伸ばした手を弾くようにしてゴールネットを揺らした。

「決まった瞬間に、みんなが喜んでくれてすごく嬉しかった」

笑顔を弾けさせた久保田に続くように、日本は次々に決定機を作り出していった。

カナダには、初戦で活躍したFWアマンダ・アレンを筆頭にスピードやドリブル、ミドルシュートなどを武器とする選手たちがいたが、「その選手たちにボールを渡さなければいないのと一緒」(狩野監督)との言葉通り、日本は積極的な守備でパスの出しどころを封じた。
前線では初先発のFW樋渡百花が得意のドリブル突破で相手のラインを後退させ、谷川の強烈なミドルシュートはタンザニア戦に続き、この試合でも輝きを放った。そして37分、DF白垣うのがペナルティエリア外から放ったシュートがカナダの選手に当たって軌道が変化し、ゴールに吸い込まれ、2-0。

後半、狩野監督は左サイドにMF松永未夢を投入。松永はタンザニア戦で突破口となったタッチの細かいドリブルで、攻撃に再びスイッチを入れた。一方、カナダも交代で入ったFWアナベル・チュクウらを中心に反撃の構えを見せるが、日本はコンパクトな守備でチャレンジ・アンド・カバーを徹底。一進一退の攻防が続いたが、52分に谷川がダメ押しのゴールを決める。左サイドの深い位置でボールを受けるとドリブルで相手をかわし、最後は3人に囲まれながら強烈なシュートを叩き込んだ。

その後、狩野監督はDF岡村來佳、FW高岡澪、MF柴田瞳とフレッシュな選手を次々に投入し、79分にはこの試合でゴールを守っていたGK鹿島彩莉に代わってGKウルフジェシカ結吏を投入。

後半アディショナルタイムには、DF大矢さくらのクロスに飛び込んだ高岡が後ろから相手に押されて倒され、PKを獲得。高岡が蹴ったキックはGK子ラリー・ラリエの手に当たってクロスバーに跳ね返されたが、自ら押し込んでゴール。終わってみれば、シュート数33本(カナダは7本)を放ち、相手を寄せ付けなかった。そして、他国の成績により、1試合を残してグループステージ突破が決まった。

初戦から中2日で課題を克服し、強豪国相手に快勝できたことは大きな収穫だ。ただ、この試合でチームが掴んだものはそれだけではない。2試合で21名全員がピッチに立ち、6選手がゴールを決めた。誰が出ても遜色ない選手層の厚さを示し、全員でグループステージ進出を勝ち取ったことは何よりも自信になるのではないだろうか。

また、2試合を通じて、「試合中にポジションやフォーメーションを柔軟に変えられる」戦術的な強さも示した。タンザニア戦は左SBの大矢と右のDF吉岡心が前後半で入れ替わった。また、タンザニア戦で右SHだった白垣と、ボランチだったMF今野真帆は、カナダ戦はそれぞれ右SBとトップ下で出場。カナダ戦の試合中、センターバックのDF中谷莉奈は交代に伴ってボランチにポジションを上げている。元々、流れの中でも流動的にポジションを変えてプレーできる選手が多いことはあるが、初の国際舞台でこれだけ自由に動けるのだから本当に驚かされる。もちろん、一朝一夕で積み上げられたものではない。

「選手がいろいろなポジションで出場したり、途中からピッチに立った時の役割もしっかりと理解して取り組んできたので、それが2試合で成果として表れ、チームとして大きく成長している実感がある」と狩野監督は言う。
それは、選手たちにとっても確かな自信となったようだ。また、スタジアムの力強い声援も、選手たちのエネルギーになっている。コロナ禍で、無観客試合を強いられてきた世代だけに、その喜びはひとしおだ。

子供たちの声援も響いていた

樋渡は「声出しがあるのは嬉しい」と言葉に実感を込め、途中出場した松永は、「一つのプレーで歓声が起こるのをベンチで見ていて、早く試合に出たいと思った」と明かした。また、先制点を決めた久保田は、「ゴールを決めた時の歓声や、試合中もジャパン!ジャパン!とずっと応援してくれる人たちがいて、これがワールドカップなんだなと実感した」と語った。

リトルなでしこは、この2試合で、自分たちのサッカーが世界に通じる自信と、更なる成長の糧を掴んだ。中2日で迎えるフランスとの対戦では、どんなサッカーを見せてくれるのか、楽しみでならない。

文・写真:松原渓

松原渓

松原渓

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ