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竜虎相搏つ「新・群馬クラシコ~プレミア第2章~」は激闘必至!桐生第一高校×前橋育英高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第18節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史岡村葵
多くの方には耳馴染みのないフレーズであろう『新・群馬クラシコ』。“新”なのか、“クラシコ”なのか、という疑問は甘んじて受け入れる。まずはその理由から説明したいと思う。
そもそも群馬県の高校サッカー界は、なかなか高校選手権で全国大会に出場することができなかった。1県1校制が敷かれる前はことごとく関東大会で敗れており、初めて館林高校が全国大会の出場権を勝ち獲ったのは、1958年度に開催された第37回大会のこと。これは47都道府県の中でも7番目に遅い“初出場”だった。
その後は新島学園高校、前橋工業高校、高崎高校が代表権を獲得していく中で、1県1校制が正式に導入された1983年度に前橋商業高校が初出場を果たすと、これが群馬の高校サッカーの大きな転換点となる。前橋商業の3連覇を経て、1986年度には元日本代表の山口素弘がキャプテンを務めていた前橋育英高校が県予選で初優勝を飾り、2強時代が幕を開ける。
1983年度から2021年度までの39大会を振り返ると、群馬を制して全国大会に出場した回数は前橋商業の12回に対し、前橋育英は24回。実に『39分の36』はこの2校で占められていることになる。両者が決勝で対峙したのは全部で14度。このカードを『群馬クラシコ』と称すことに異論はないだろう。
この2強に割って入ったのが桐生第一高校だ。2000年代中盤から頭角を現し、2008年度に初めて県の決勝へ進出。この時は前橋育英に2-4で敗れたが、以降は上位進出の常連となり、鈴木武蔵を擁した2011年度の決勝では延長戦の末に前橋育英を倒し、とうとう冬の全国初出場を達成。本大会でもベスト8まで勝ち上がる躍進を見せる。
前述した2008年度以降の14大会において、決勝で前橋育英と桐生第一が激突したのは9度。内訳は前橋育英が7勝2敗と勝ち越しているものの、この2校が県内の覇権を競い合う構図が15年近く続いていることになる。そんな彼らが揃って今シーズンからプレミアリーグへと昇格したことは非常に興味深い。この経緯と、前橋商業への敬意を合わせ、『新・群馬クラシコ』という呼称を使わせてもらったというのが、今回のタイトルの理由である。
根津元輝
今シーズンの公式戦ではここまで3度の対戦があった。1度目は5月15日。関東大会の予選に当たる『県総体』では桐生第一が4-0で快勝を収めたが、この試合は双方がプレミアでの出場機会を窺う選手たちを起用した一戦だった。2度目は5月29日。プレミア第9節ではホームの前橋育英が6-1と大勝。3度目は6月19日。インターハイ予選決勝も前橋育英が4-0で勝利。勢いそのままに全国へ乗り込んだタイガー軍団は、そのまま日本一まで駆け上がることとなる。
だが、この夏を過ぎて両雄が辿った軌跡は対照的だ。前半戦では1勝2分け8敗と苦しんできた桐生第一だったが、第15節で大宮アルディージャU18に1-0で競り勝って、今季2勝目を挙げると、優勝争いを演じている横浜F・マリノスに3-3と打ち合って勝ち点1をゲット。さらにJFAアカデミー福島U-18にも2-1で勝利し、8月以降の5試合で2勝1分け2敗と勝ち点7を上積みするなど、確実にプレミアの水に慣れてきた感がある。
一方の前橋育英はインターハイ後の4試合で1分け3敗と急ブレーキ。FC東京U-18に1-1と引き分け、青森山田高校と川崎フロンターレU-18に揃って0-1で敗れて迎えた前節の横浜FCユース戦も、2本のPKを決め切れず、相手が放った90分間で唯一のシュートで失点し、まさかの3連敗。リーグ戦では8試合未勝利と、なかなか結果が付いてきていない。
今回の対戦では、勝敗のカギを握りそうな両チームの“ナンバー7”に注目したい。桐生第一の7番を背負うのは岡村葵。ここまでチームトップの7ゴールをマーク。プレミア初勝利となったホームの青森山田戦では、2点を叩き出して歓喜の主役に。横浜FCユース戦でもハットトリックを達成するなど、その得点感覚が光っている。
守備時は4-2-3-1気味、攻撃時は3-4-2-1気味の布陣で戦うチームの中で、ボランチでもシャドーでも気の利くプレーを90分間続けられる岡村の存在は、チームにとって攻守に必要不可欠。千葉の出身ながら群馬の強豪校へと進学した理由に「桐生第一で育英さんを倒したいと思ったから」と言い切るナンバー7の意地を、是非この試合でも披露してほしい。
前橋育英の“ナンバー7”は帰ってきた男、根津元輝だ。昨シーズンのチームでもメインキャストを担い、高校選手権の優秀選手にも選ばれたボランチは、今季の開幕前に負ったケガで前半戦を欠場。ようやく戦列に復帰したインターハイでも出場機会は試合終盤に限られ、チームは全国制覇したものの、少しモヤモヤした気持ちを抱えていたという。
すると、再開初戦となったFC東京U-18とのホームゲームでは直接FKを叩き込み、いきなりゴールを記録。上々のプレミアデビューを飾ったが、直近の3試合ではいずれもフル出場しながら、チームは3連敗を喫したため、まだ“プレミア初勝利”を経験していない根津は、自身の結果以上に、まずはチームの結果を何としても引き寄せたいと考えているはずだ。
共にベスト8から登場する選手権の県予選でも、組み合わせを見ると両者は決勝で対戦する可能性がある。もちろん目の前の勝利を追求する姿勢は大前提として、全国出場を懸けた“群馬ファイナル”の前哨戦という意味合いも帯びているだけに、ポジティブな材料を集めたい一戦であることは言うまでもない。
あえてこう呼びたい『新・群馬クラシコ』のプレミア第2章は激闘必至。『上州のブルードラゴン』と『上州のタイガー軍団』の対峙は、まさに竜虎相搏つ白熱の90分間が保証されている。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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