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反撃のきっかけとなった62分のI神戸の1点目は左サイドに進出した浜野が最終ラインの脇阪麗奈からのロングパスを引き出して、持ち直してから入れたクロスを守屋郁弥が頭で合わせたものだった。
浜野は後半だけのプレーで3本のシュートを放っている。これは、90分プレーした成宮唯と並んでチーム最多の数字で、彼女が後半のI神戸の攻撃を引っ張ったことを示している。
やはり、世界大会で活躍してさらにMVPの表彰を受けたことによる自信は大きかったようで、それがプレーの落ち着きに現われていたような気がする。また、ワールドカップで日本チームはさまざまな相手と対戦した。また、完勝したアメリカ戦や点の取り合いとなったフランスとの準々決勝、そしてスペインとの決勝での完敗と、さまざまな試合展開も経験したことによって、プレーの引き出しも増えたのではないか。
U−20という年代で世界を体感し、そして結果を出したことの意味は大きかったようだ。
この試合、ワールドカップ・メンバーの藤野、浜野以外にも若手が活躍したし、もちろん上の年代の選手たちもそれぞれの持ち味を発揮した。
前半、2ゴールを決めた植木理子は現在23歳。4年前のU−20女子ワールドカップで日本が初優勝した時の代表である。ベレーザの先制ゴールなどは相手DFのマークを受けながらも落ち着いてGKの足元を通して決めた難しいゴールだった。
そして、フル代表のFWとして植木のライバルとなるI神戸の田中美南は相手のマークに合って見せ場を作れなかったが、後半のアディショナルタイムには右CKに合わせて強烈なヘディングシュートを決めて見せた。
さらに、大ベテラン(35歳)で2011年のワールドカップ性はメンバーの1人でもある岩清水梓も落ち着いた守備を見せ、また前線へのフィードも非常に正確で代表クラスの実力を維持している。
2023年には年齢制限のない女子ワールドカップに挑む女子日本代表も、世界で結果を出した世代を融合させてさらに強化を進めていってほしいものである。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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