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サッカー フットサル コラム 2022年9月6日

チーム戦術に組み込まれた久保。ポジション獲得に向けて《すべきこと》

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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アトレティコ・マドリー戦に出場した久保建英

アトレティコ・マドリー戦に出場した久保建英

ソシエダ対アトレティコ・マドリーでいくつかのことがわかった。

1つは、サディクがイサクの穴を埋めて余りあること。

サディクは長身でかつ動ける。あのゴールシーンのようにセットプレーの攻守では脅威になる。スピードも「時間当たりに届く距離」という意味では、ある。長いかなと思うパスでも届く。足が長いから。大きなストライドで走り始めると物理的に遠くへ行かれて、大きさと重さによるパワーが加わることもあって止められない。

足下のボールへの対応も意外に器用で、反転も速い。狭いスペースでも苦労しない。ハイボールを落とせる、DFを背負ってボールをキープできるという意味ではセルロート、動いて1対1で勝負でき、足下も器用という意味ではイサックの良いとこ取り。昨季2部の得点王で今季もすでに3ゴール。得点の波に乗り続けているという意味では、イサクよりも状態は良い。

2トップのうち1人はサディクで決まりだ。

2つ目は、チョーがかなり使えること。

スペースへパスを送って走らせればマークを外し、次の相手にドリブルを仕掛けることができる。つまり、彼一人で最低でも2人を引きつけることができる。その分、誰かのマークが空くわけだ。2列目から上がって来るメリーノかブライス、特にブライスは逆サイドだからマークが手薄になる可能性が高い。

このチョーと久保がセカンドトップの座を争うことになる。2人はまったく違う選手だ。チョーは速いがスペースがないと生きない。足下へのパスは要らない。久保は狭いスペースでも生きる。ボールを足下に欲しがる。

対戦相手のラインの高さとか、展開によって使い分けるのだろうが、特徴が違うのでアルグアシル監督も采配し易いはずだ。

3つ目は、ブライスとシルバには代えが利かないこと。

ブライスはメリーノと久保を合わせたような選手だ。運動量があって中盤の強度が上げられ、かつドリブルやスルーパスやミドルシュートがある。久保では強度が上がらない。チームがボールを持っている時はいいが、相手ボール時の対応、特にボールを奪い返す力がもう一つ、いやもう二つだから。よって、もう1列上げたトップで得意なドリブルをさせた方がいい。

シルバは本当にうまい。

下がってボールをもらい間を作って周りに追い越させて絶妙のパスを出す。それができない時は、ワンタッチの出し入れで状況が変わるのを待つ。自分の最少の介入で周りを最大限に生かす。

これは久保にはできない。テクニック的にはできるのだろうが、多分、状況をそこまで深く読むことはできないと思う。というか、できるのは天才だけだ。それに、久保は介入すればするほど良い。自分を生かすタイプで周りを生かすタイプではない。周りが見えないわけではなく、周りを生かすよりも自分の得意なことをした方が攻撃のためにプラスになる。

サディクが残り、チョーとシルバが下がりバレネチェアと久保が入った。これで久保がトップ下になるのかな、と思ったら中盤が[4-4-2]のダイヤモンド型からフラットになったか(ベレネチェアが左で久保がセカンドトップ)、[4-2-3-1](ベレネチェアが左サイドで久保がトップ下)になったかして、シルバが任されていたやっかいな仕事自体がなくなった。どっちにせよ、久保がドリブルをできる状態、ボールロストしても致命傷にならない状態に周りが変化した。

「久保さん何かやってください。後はそれから考えます」というチームだったマジョルカでは見られなかった、チーム戦術に組み込まれた久保が今季は見られている。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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