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サッカー フットサル コラム 2022年8月19日

ディレクター職に対する意識が低く、オーナーは無関心

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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開幕戦でスタジアムに足を運んだグレイザー

開幕戦に姿を見せたグレイザー兄弟

時代は変わった──。

監督がすべてを取り仕切る時代は、過去完了形といって差し支えない。選手との交渉はディレクターが務め、監督は人選こそすれ、最終的な権限は与えられていない。

しかし、チームが不振に陥った場合、責任をとるのは監督だ。アーセナルに栄華を築いたアルセーヌ・ヴェンゲル、トッテナムやサウサンプトンを率いたハリー・レドナップが、ディレクターが実権を握る現状に首を傾げるのは当然だ。

その一方で、監督とディレクターの意思疎通がスムーズなチームは補強が快適に進む。今夏のトッテナムはディレクターを務めるファビオ・パラティーチのもと、リシャーリソン、イヴ・ビスマ、イバン・ペリシッチ、ジェド・スペンスなど、アントニオ・コンテ監督が欲したタレントを次々と手に入れている。

リヴァプールは昨シーズン限りで敏腕ディレクターのマイケル・エドワーズが退団したものの、彼が交渉したモハメド・サラー、フィルジル・ファンダイク、サディオ・マネ(現バイエルン・ミュンヘン)などは大ヒットだった。後任のジュリアン・ウォードも、ダルウィン・ヌニェスという当たりくじを引いている。

マンチェスター・シティは有能なチキ・ベギスタインを擁し、セビージャはらつ腕としてつとに有名な、モンチことラモン・ロドリゲス・ベルテホを招き入れた。各クラブともディレクター職を重視し、強化に怠りはない。

さて、マンチェスター・ユナイテッドである。

今夏もなにかとかまびすしい。移籍市場では20人を超える選手との交渉が噂されている。各メディアの担当者による行きすぎた創作も見受けられるものの、ユナイテッドのディレクターは何年経っても、だれが就任しても、交渉がヘタクソだ。

エリク・テンハフ監督がフレンキー・デヨング(バルセロナ)にこだわっていたとしても、交渉に3か月近くも要した挙げ句、結局は断念した。戦力外のはずのアーロン・ワン=ビサカ、フィル・ジョーンズは売却できていない。

カゼミーロ(レアル・マドリー)の獲得が現実味を帯びてきたとはいえ、すでにデヨングとアドリアン・ラビオ(ユベントス)を取り逃がしているのだから、下駄を履くまでなにが起きるか分からない。

また、テンハフを招聘したのだから、カウンタープレスに不向きなC・ロナウド、DFラインを高く設定できないハリー・マグワイア、ヴィクトル・リンデレフなどの処遇もふまえるのが、ディレクターの務めである。

2021年3月、クラブ創設以来初のディレクターに起用されたジョン・マータフは忙しく動いている。ただ、市場の動きから推測すると、大きな権限を与えられていないのではないだろうか。なにもかもが遅すぎる。

もちろん、元凶はオーナーのグレイザーファミリーだ。「儲けさえすればそれでいい」とのスタンスは変わらず、ユナイテッドの成績に無関心だからだ。愛のないオーナーのもとでは闘う気力すら薄れる。

しかし、ディレクター職を軽視していると他クラブとの差はさらに広がる。もともと、この要職に対する意識が低く、正式に導入したのは先述したように21年3月だ。ただでさえ後れをとっていた。

時代に乗り遅れたうえに、オーナーはあのザマだ。ふざけてんじゃねえぞっ!

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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