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EAFF E−1選手権(東アジア選手権)が、茨城県の鹿嶋と愛知県の豊田市の2会場で開催されている。
海外組は招集できないこの大会。日本代表は国内組だけの、いわば「Jリーグ選抜」である。とくに若手中心というわけでもなく、ベテラン32歳の水沼宏太も初招集されている。初戦の香港戦は横浜F・マリノスと川崎フロンターレを中心とした「神奈川県選抜」的なチームで香港相手に6対0で圧勝した。
国内組にとっては、カタール・ワールドカップでのメンバー入りを目指すための最後のチャンスということにもなるのだが、ワールドカップ・メンバー入りは実際には非常に厳しい「狭き門」である。
森保一監督はロシア・ワールドカップ直後から4年にわたってチーム作りを進めてきた。いわゆる「ラージグループ」も完成されている。6月のキリンチャレンジカップやキリンカップで招集された26人。それに、6月には招集されなかった大迫勇也(ようやく、Jリーグで調子を上げてきた)や酒井宏樹などの常連組を加えれば、30人を超える候補が整っているのだ。これから、このグループに食い込むことは容易なことではない。
ストライカー不在という状態を考えれば、FWの場合はE−1選手権で際立った活躍をすれば、もしかしたら滑り込みでメンバーに食い込めるかもしれないが、日本代表の中盤や守備の選手層はもう十分に厚い。そして守備は組織が必要だから、MFやDFの場合はこれからメンバー入りするのは至難の業と言える。
今大会から登録枠が26人に変更になったので、4年後の大会を見据えて若手を入れることはありうるだろうが……。
「ワールドカップ」に直結するのは、むしろ女子代表(なでしこジャパン)の方だ。
E−1選手権が開幕した翌7月20日には、2023年にオーストラリアとニュージーランドで開催されるFIFA女子ワールドカップまでちょうど1年という節目を迎えた。
4か月後に迫った男子のカタール・ワールドカップに出場する男子の日本代表はすでにチーム作りも進み、メンバーもほぼ固まりつつある(だから、これからメンバー入りするのは至難の業なのだ)。
一方、女子代表の方はチーム作りの真っ最中ということになる。
なぜなら、女子代表の池田太監督は2021年の東京オリンピック終了後に就任したので、監督就任からまだ1年も経過していないのだ。
それ以降、海外遠征なども行われたものの、新型コロナウイルス感染症の影響によってチーム作りはそれほど順調に進んでいるわけでもない。そして、今年の1月から2月にかけては、ワールドカップ予選を兼ねたAFC女子アジアカップも開催され、日本はなんとかワールドカップ出場権を手にしたものの、準決勝で中国を相手にまさかのPK戦負けを喫して、優勝を逃してしまったのだ。
そして、6月の欧州遠征では格下のセルビア、フィンランドに連勝。女子代表の試合として、久しぶりに自分たちでボールを動かしてゴールを奪うというポジティブな試合を見せてくれた。
これから1年間をかけて、格上の相手に対しても対等に戦えるようにチーム力を上げていかなければならないのだ。
日本の女子代表は2011年のドイツ・ワールドカップで優勝し、2012年のロンドン・オリンピック、2015年のカナダ・ワールドカップでも決勝に進出したものの、その後はリオデジャネイロ・オリンピックはアジア予選で敗退し、2019年のワールドカップ、2021年の東京オリンピックではいずれも決勝トーナメント初戦で敗退した。
この間、2011年の成功体験を引きずって、パスをつなぐことに固執していた女子代表だが、池田監督は激しくボールを奪い、奪ったボールを早く大きく展開して攻めるというコンセプトで世界と戦おうとしている。
E−1選手権では、女子代表も男子代表と同様に海外組は招集できない。しかし、「レギュラーの大半が海外組」という男子と違って、女子の場合は代表レギュラーのほぼ半数が国内組で占められているので、E−1選手権に出場しているチームも本来の代表に近い構成なのだ。
しかも、女子の場合、東アジア勢もFIFAランキング上位を占めているので、チーム力は拮抗している。
男子の方のFIFAランキングを見ると、24位の日本と28位の韓国が突出しており、中国は78位、香港は145位と大きな差がある。海外組不在であっても、日韓両国のチーム力は中国、香港よりかなり上である。
それに対して女子の場合は、13位の日本に対して、中国が16位、韓国が18位、中国台北(台湾)が40位と力が拮抗しているのだ。
実際、日本の初戦となった韓国との試合では、競り合いで韓国にボールを奪われたり、パスミスが多かったりしたせいで、韓国にボールを握られる展開となった。シュート数でも日本の4本に対して韓国は12本と、日本の劣勢は明らかだった。
原因は日本の女子サッカーが現在シーズンオフの最中だからだ。
昨年発足した女子サッカー初のブロリーグ、WEリーグは秋春制を採用しているので現在シーズンオフの最中であり、8月20日のリーグカップでようやく開幕を迎えるところ。一方、韓国のリーグ戦(WKリーグ)はシーズン真っ盛り。フィジカル・コンディションや試合勘という意味で、日本が劣勢になるのはある意味で当然のことだったのだ。
それでも、日本はしっかりとパスをつないで右サイドを崩して33分に宮沢ひなた、65分に長野風花が決めて韓国を2対1で下した。
内容が悪くても、しっかり勝ち切ったことの意味は大きい。というのは、1月のアジアカップでは、日本は勝負弱さを露呈してしまったからだ。
この大会、韓国とはグループリーグで対戦。試合開始直後に植木理子のゴールで先制し、その後もゲームをコントロールしていたのだが、終了間際に同点ゴールを許して引き分けに終わってしまった。そして、準決勝では中国を相手に、やはり植木の2ゴールで2度も先行しながら、延長後半の最後の時間帯に失点して2対2の引き分けとなり、PK戦で敗れて決勝進出を逃したのだ。
韓国戦でも中国戦でも内容的には日本が上回っていたのに勝ちきれなかったのだ。
その意味では、E−1選手権での再戦では内容はともかく勝ち切ることが大切なテーマ。だから、内容は劣勢だった韓国戦での勝利は評価していいのである。
最初にも述べたように池田監督就任からまだ1年。メンバーもまだ確定しているわけではないし、また、池田監督の目指すコンセプトも完全には浸透していない。ようやく、6月の欧州遠征で目指すものがはっきりと見えてきた段階なのだ。
1年後のワールドカップを目指す女子日本代表にとってはE−1選手権は非常に大事なステップなのだ。しっかり勝ち切って3戦全勝での優勝を目指してもらいたい。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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