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ザンクトパウリ時代の宮市
7月19日、東アジアE−1選手権が開幕した。
カタール・ワールドカップの最終テストといわれ、いったいだれが日本代表を率いる森保一監督の目に留まるのか。就任4年、ギャンブルやサプライズとはほど遠い人選が続いているだけに、ワールドカップの基本メンバーはヨーロッパのクラブでプレーしている選手たちだ。
しかし、現有勢力のなかにも当落線上の者が少なからずいる。E−1を闘う選手たちにもチャンスはあるはずだ。
さて、日本代表に触れる前に、カタール大会のイレギュラーな部分をおさらいしておこう。やはり11月開催は大きな不安だ。ヨーロッパ各国のリーグは11月中旬まで開催され、1週間後にカタール大会が幕を開ける。
満足な準備なんかできっこない。通常、1か月から1か月半ほど調整してからワールドカップに臨むが、今回は異例すぎる1週間だ。とくにプレー強度の激しいプレミアリーグで闘う選手たちは、コンディションを整えるのが難しい。各国のリーグ戦で体力的なロスをどれだけ抑えられるか──が、成功のカギだ。
では、テーマを日本代表に戻そう。19日の香港戦は6-0の圧勝だった。相馬勇紀と西村拓真、町野修斗が2ゴールずつ。香港との実力差が歴然だったとはいえ、見事なゴールラッシュといって差し支えない。
もちろん、最終テストがわずか1試合で終わるはずがなく、24日の中国戦、27日の韓国戦とまだ2試合残っている。
そして、宮市亮にも期待がかかる。
何度も何度も地獄を見た。両ひざの十字靭帯を断裂し、そけい部の慢性的な痛みにも悩まされた。アーセナル→フェイエノールト→ボルトン→ウィガン→トゥウェンテ→ザンクトパウリと渡り歩いたものの、なにもできなかった。医師に引退を勧告されたこともある。
それでも宮市は決してあきらめず、昨シーズンから所属している横浜F・マリノスで本領発揮。10年ぶりに日本代表へ戻ってきた。
第七十三代横綱の照ノ富士も地獄を味わった。両ひじと両ひざ、右鎖骨に重傷を負い、糖尿病まで患った。大関から序二段まで降格したときは、髷を落とす覚悟も決めたという。
それでも、師匠の伊勢ケ濱親方やツェグメド・ドルジハンド夫人、安治川親方のサポートにも助けられ、ついに最高位まで駆け上ったのだから大したものだ。
宮市はまだ28歳。老け込む年齢ではない。むしろ、脂が乗ってくる。また、ケガに苦しんだ経験から人に寄り添う優しさが生まれ、人間として大きく大きく成長しているのではないだろうか。
宮市が得意とする左サイドには、三笘薫がいる。日本代表の切り札的存在で、所属するブライトンでもブレイク必至といわれるほどだ。森保監督が信頼する南野拓実もこのポジションで、昨シーズンまでプレーしていたリヴァプールのユルゲン・クロップ監督も、非常に高く評価している。
しかし、まだ勝負がついたわけではない。E−1とJリーグのパフォーマンス次第で、宮市が最終枠の26名に残る可能性は十分にある。
失われた10年を取り戻すべく、宮市のチャレンジが始まった。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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