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成長著しい1年生たちが勝敗を左右する!ヴィッセル神戸U-18×ガンバ大阪ユースマッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第12節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史今富輝也(28番)
劇的勝利だった。ホームで静岡学園高校と対峙した、前節のヴィッセル神戸U-18。後半は押し込まれる時間が長い展開の中、ほとんどラストプレーだった後半アディショナルタイムのFKから、DF本間ジャスティンが決勝ゴール。1-0で競り勝って、現在は4戦無敗。好調をキープしている。
一方のガンバ大阪ユースは、開幕から6試合未勝利という苦しい状況が続いていたが、前節の名古屋グランパスU-18戦でようやく今季リーグ初白星。GK張奥林がPKをストップし、決定的なピンチが3度もクロスバーに救われるシーンもあるなど、運に恵まれた部分もあったとはいえ、勝利に対する執念をベンチメンバーも含めた全員が共有。タイムアップの瞬間、選手たちは歓喜を爆発させた。
消化試合数にバラつきはあるものの、この第12節からプレミアリーグは2巡目に突入する。この両者が1巡目で対戦した開幕戦は、エースストライカーのFW冨永虹七が2ゴールを奪い、アウェイの神戸U-18が4-0で快勝。ホームチームはいきなりの完敗を突き付けられる結果となった。
それから約3か月。お互いに新しい戦力の台頭で、少しずつメンバー構成も変化してきていることもあり、今回は成長著しい期待の1年生たちをご紹介したい。
神戸U-18でレギュラーを獲得している1年生が、来週からスタートするU-16日本代表候補合宿にも招集された今富輝也だ。前述の開幕戦でいきなりベンチ入りを果たした俊英は、3連敗で迎えた第5節のサンフレッチェ広島ユース戦でスタメンに抜擢。このゲームで勝利に貢献すると、以降は一貫して先発で起用され続けている。
当初はサイドハーフを主戦場にしていたが、ここ3試合はボランチの位置でプレー。チームも2勝1分けと結果が出ている。もともとが攻撃的な選手であり、前に飛び出していくタイミングには光るものが。加えて、守備面でも身体を張ったディフェンスをきっちり披露するなど、中盤の中央で存在感を示している。
左サイドハーフでスタートしたジュビロ磐田U-18戦では、逆サイドからのクロスに詰めて、きっちりゴールへ流し込む得点感覚も発揮。1年生とは思えない堂々としたプレーぶりも頼もしい、今後が楽しみな好素材だ。
大倉慎平
G大阪ユースはレギュラーとして考えられていた上級生の相次ぐ離脱で、1年生たちが実戦経験を積んできた。中でも直近の4試合でスタメンに指名され、着実に成長の跡を見せているのが大倉慎平。サイドハーフとボランチをこなせるクレバーな15歳である。
前所属はソレッソ熊本。U-21日本代表にも選出され、パリ五輪では主力としての活躍も期待される松岡大起(清水エスパルス)や、J1でもゴールを挙げた昨年のWEST得点王・坂本一彩(ガンバ大阪)を輩出している熊本の強豪は、今シーズンのプレミアリーグにも有望なタレントを数多く送り込んでいる。
セレッソ大阪U-18で主力を張るMF木實快斗、大津高校で出場機会を得ているFW山下景司は、まさに大倉の同級生。2歳年上にはサガン鳥栖U-18所属でルヴァンカップのピッチも経験しているMF坂井駿也や、現在は戦列を離れている神戸U-18の司令塔・MF安達秀都も。そんな環境の中から、大倉は大阪の名門クラブへと進路を取ったわけだ。
この選手も今富同様に、サイドハーフでの出場が続いていたが、前節の名古屋U-18戦では、やはり1年生のMF古河幹太(この選手も相当良い!)とドイスボランチを組み、奮戦。リーグ屈指のプレーメーカーでもある相手のキャプテン・宇水聖凌とも、互角にやり合っていた。
G大阪ユースのボランチは激戦区。開幕戦からスタメン起用されており、1年生では最もプレミアの出場時間が多いMF長田叶羽、日本サッカー界のレジェンド・遠藤保仁の長男で、ボールを持つ姿勢や瞬時のアイデアに父譲りのセンスを感じさせる2年生MF遠藤楓仁、年代別代表の経験を有し、サイドバックとボランチをこなせる3年生MF小幡季生など、実力者たちのハイレベルなポジション争いが繰り広げられている。
それでも森下仁志監督も大倉には、「慎平もだいぶわかってきましたね」と確かな評価を。ここに来て3戦無敗、念願の初勝利も経たチーム状況の中で、この1年生の価値もどんどん高まってきていることに疑いの余地はない。
神戸U-18には、こちらも年代別代表に選ばれているFW森田皇翔が控えており、第3節のセレッソ大阪U-18戦ではゴールも記録。重心の低いドリブルはプレミアでも十分に通用している。この選手も中学時代はCOSPA FCに在籍。U-15出身者ではないにもかかわらず、既にリーグ8試合で出番を得ていることからも、もともと持っている実力の一端が窺える。
1試合で突然化けることもあるのが、若い選手たちの面白いところ。あるいは今回の一戦が、のちにキャリアを振り返った時にターニングポイントとして挙げられる試合にならないとは、誰にも言い切れない。「この選手、昔から知ってたよ」という“先見の明”を遠くない未来に口にするために、両チームに散りばめられている1年生タレントの躍動に着目してみるのも、面白いのではないだろうか。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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