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サッカー フットサル コラム 2022年7月1日

タイプの違うサイドハーフが試合を動かす!ヴィッセル神戸U-18×静岡学園高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第11節】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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蘓鉄航生

ヴィッセル神戸U-18が上昇気流に乗り始めている。第8節の清水エスパルスユース戦に勝利し、良い形で中断期間を迎えると、6月に入ってからも履正社高校と1-1で引き分け、前節はアウェイで難敵の名古屋グランパスU-18を2-0で撃破。3戦無敗と攻守の歯車が噛み合ってきている印象だ。

対する静岡学園高校は、インターハイ静岡県予選で磐田東高校相手にPK戦で競り負け、まさかの準決勝敗退。全国切符を逃す結果となった。プレミア再開後もジュビロ磐田U-18に1-2で敗れ、“磐田勢”に連敗を喫したものの、先週末の履正社高校戦では3ゴールを挙げて白星を奪取。首位のサガン鳥栖U-18とは勝点差2の3位と、十分優勝を狙える位置に付けている。

与えられるスペースも使える時間も限りなく少なくなってきている現代サッカーにおいて、よりカギを握ってくるのがサイドでの攻防。勝負できる“180度”のエリアの中で主導権を掴んだチームが、そのまま試合のペースを掌握することは往々にして起こる。そして、この一戦も個性豊かなサイドハーフたちの躍動が、そのまま勝敗に直結する可能性が高いと見る。

神戸U-18の右サイドハーフには、とにかく仕掛けまくるナンバー7が配されている。蘓鉄(そてつ)航生。シーズン序盤は流れを変えるためのジョーカー起用が多かったキレキレ系ドリブラーは、第7節のジュビロ磐田U-18戦で今シーズン初めてスタメンに抜擢されると、チームは敗れるも再三チャンスを演出。以降はレギュラーポジションを確保した感がある。同じ右でコンビを組むサイドバックのDF本間ジャスティンとの連携も上々。右サイドからの崩しは、間違いなくチームの武器になりつつある。

左サイドハーフには、昨シーズンから10番を背負う永澤海風(みかぜ)が構える。開幕から主に中央でプレーしてきたが、中盤の配置転換に伴い、第9節からは左サイドへ。ただ、もともとゴール付近で力を発揮するタイプだけに、外へ張り出すというよりも、うまく相手陣内でスペースを見つけ、ボールを引き出しながらラストパスやフィニッシュを狙うイメージ。前節の名古屋U-18戦では左サイドから思い切りの良いシュートでゴールを陥れており、このゲームでも得点に直結する働きが期待される。

寺裏剣

静岡学園の両サイドハーフはともに年代別代表経験者。高体連屈指の実力者だ。右は高橋隆大。ガンバ大阪ジュニアユースで日本一も経験している小柄なアタッカーは、「自分の中でもドリブルなら絶対行けるという自信があるので、その形に持ってきてくれれば仕事はします」と言い切る強気なメンタルを携え、左右両足を駆使した切れ味鋭いドリブルを繰り出し続ける。加えてセットプレーのキッカーも務めており、ここまでの9試合で5得点7アシストと圧倒的な数字を記録。プレミア屈指の“試合を決められる”選手ぶりを遺憾なく発揮してきた。

左は寺裏剣(てらうら・つるぎ)だ。開幕戦からの3連勝中に、4ゴールを叩き出す驚異的な決定力で序盤のチームの快進撃を牽引したドリブラーは、6月のU-18日本代表候補合宿にも招集。世代屈指のタレントが揃う中でも、臆せずに武器のドリブル突破を繰り返し、その実力の現在地を測ってきたという。同じ左で縦関係を組むサイドバックの鈴木新とは、揃って中学時代に所属していたSHIZUNAN FCでフットサル日本一も経験。異色のテクニシャンが“シズガク”にさらなる彩りを与えている。

ハッキリとした特徴を有する、『四者四様』のサイドハーフたち。打ち合いも予想されるこの90分間の主役をさらうのは、果たして誰か。興味は尽きない。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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