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サッカー フットサル コラム 2022年6月6日

「世界最強」相手に、積極的にトライしたい日本代表。中盤で劣勢にならなければ、得点のチャンスは生まれる

後藤健生コラム by 後藤 健生
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ネイマール

ネイマール

6月2日に行われた親善試合で、ブラジル代表は韓国相手に5-1と圧勝した。内容的にも、ブラジルの圧勝だった。

輝いていたのはやはりツートップに一角に入ったネイマール。エゴを向きだしていた若い頃のネイマールとは違って、周囲を生かすプレーぶりには風格すら感じた。

そのネイマールが前線でタクトを振るうことで、リシャルリソンの強さも生かされたし、2列目からラフィーニャやルーカス・パケタ、さらにはサイドバックのアレックス・サンドロなどが顔を出して、ブラジルは変幻自在の攻撃を展開した。

ブラジルの攻撃を防ぐには、やはりまずはネイマールを抑えることが重要だ。

ブラジル代表にはネイマールの存在を意識してボールを集めすぎてしまい、バランスを崩す傾向もあるので、ネイマールからのラインを分断できればブラジルの攻撃は混乱をきたすだろう。

伊藤洋輝

伊藤洋輝

6月シリーズに臨む日本の守備陣は酒井宏樹が招集できなかったし、冨安健洋も万全の状態ではなく「不動のライン」は組めない。しかし、板倉滉が大きく成長しており、さらに高さのある伊藤洋樹という新戦力も加わって層は間違いなく厚くなっている。もちろん、谷口彰悟も安定感を発揮しており、なんとかブラジルの攻撃陣に自由を与えないように粘り強く戦ってもらいたい。

しかし、守りに入ってしまったのでは、ブラジルの強力な攻撃を相手に90分間耐え続けることは不可能だ。重要なのは、いかにしてボールを持つ時間を増やし、自らのゴールから遠い位置で戦えるかだ。

そのためには、前線からのチェックが大切だし、勇気をもって守備ラインを高い位置に設定したい。

パラグアイ戦ではネガティブトランジションが機能し、高い位置でパラグアイ選手を複数の日本選手が囲い込んで相手の攻撃を遅らせていた。高い位置で無理にボールを奪いに行ったら、逆サイドにスペースを作ってしまう危険がある。ブラジル相手では、囲い込んでもパスをつながれてそのスペースを利用されてしまうかもしれない。だが、日本代表の将来のためにもブラジル相手にもプレッシングを試みたい。そこで、プレッシングをはがされてしまったら、次の試合でプレスのかけ方を修正すればいい。そして、それがワールドカップ本大会での強豪との戦いにつながるのだ。

また、プレッシングをかけてボールを奪った時には、そのボールをすぐに奪い返されることなくなんとか繋いで攻撃に転じたい。

韓国もせっかく孫興民(ソン・フンミン)など攻撃のタレントがいたのに、中盤で劣勢に追い込まれてしまったせいで、ボールを奪えても後方に戻してしまう場面が多かった。

中盤での戦いこそが、ゲーム全体の流れに大きく影響する。

田中碧

田中碧

苦戦を強いられたアジア最終予選で日本が盛り返せたのは遠藤航を中心にした守田英正、田中碧とのトライアングルが機能したからだ。

遠藤はパラグアイ戦でも相手との格の違いを見せつけるような圧倒的な存在感を見せたが、ブラジル相手でどこまで通用するか。中盤で劣勢に立たされなければ十分に活路は見いだせる。守田のコンディションが心配されるが、パラグアイ戦で攻守に貢献した原口元気を起用しても十分に戦えるはずだ。

MFの3人でボールを奪い、ブラジルのアンカーであるカゼミーロの脇のスペースを守田(または原口)、田中が利用して、前線に良いボールを供給できれば攻撃の形が作れるはずだ。

韓国は守備に追われて前半は攻撃の形をほとんど作れず、攻め込んだ場面はわずか3回しかなかったが、それでも黄義助(ファン・ウィジョ)がチアゴ・シウバを背にしながら反転してシュートを決めて一時は同点とすることに成功した。

後半の終盤にも、大差をつけたブラジルがメンバーを次々と入れ替えてやや守備に緩みを見せたのに乗じて、韓国が何度かチャンスを作った。

試合のスタッツを見ると全体のシュート数は25本対7本とブラジルが圧倒的だったが、韓国の7本のシュートのうちなんと6本は枠をとらえていた(ブラジルの枠内シュートは9本)。

ブラジルは首位で突破したワールドカップ南米予選では17試合で5失点と「守備の強さ」が目立ったが、韓国戦を見る限りでは「守備は安泰」とは思えなかった。ワールドカップ本大会では、ヨーロッパ勢の速さのある攻撃に苦しむのではないだろうか。

マルキーニョス

マルキーニョス

ダニ・アウベスは39歳、チアゴ・シウバが37歳、アレックス・サンドロが31歳、マルキーニョスが28歳とブラジルの守備ラインは高齢化しているのだ(ガブリエウやミリトンのような若手DFもいるが、韓国戦では出場機会がなかった)。

日本の攻撃陣が伊東純也のドリブルや古橋亨梧の飛び出し、そして浅野拓磨や前田大然のランニングを武器に、スピードでかき回せば決定機を作ることは不可能ではない。

日本代表にとって6月の4試合での最大の課題は不在となった大迫勇也に代わるワントップの人選である。

パラグアイ戦では浅野が先発して先制ゴールという結果を残したが、万能型センターフォワードである上田綺世やセルティックで2桁ゴールを決めた古橋にかかる期待も大きい。

上田綺世

上田綺世

上田は大迫と同じように前線でボールを収めることができるので、上田が機能すれば日本代表は大迫がいる時と同じような攻撃の組み立てができる。それに対して、裏に抜けるスピードが武器の古橋や浅野、前田を中央で起用するとすれば、パス出しのタイミングなどを変えていく必要があるかもしれない。上田に対する期待が大きくなる理由だ。

しかし、一方で屈強なヨーロッパや南米のDFに対しては、大迫や上田のようなタイプよりもスピードで裏のスペースに飛び出すタイプの方が相手にとって嫌な存在かもしれない。

もちろん、上田は裏へ抜けてのシュートもうまい。トップに誰が起用されるにしても、ブラジル戦では日本人選手のスピードと俊敏性を活用してゴール前で相手の裏を取る攻撃で活路を見出してもらいたいものだ。

南野拓実

南野拓実

ブラジルのゴール前での守備を混乱させることができれば、狭いスペースの中でもシュートを打つのがうまい南野拓実が決めるチャンスが生まれるし、パラグアイ戦でも決めた田中のミドルシュートが威力を発揮できるかもしれない。

ブラジルは、韓国戦では直前に合流となったチャンピオンズリーグ決勝組(レアル・マドリード、リヴァプールの選手)の多くをベンチスタートとさせた(先発起用はMFカゼミーロのみ)。GKもアリソンではなく、ウェベルトンだった。

しかし、日本戦ではすべてのメンバーを使ってフルメンバーで来る。移動の疲れも取れ、時差調整もすませたブラジル代表が韓国戦以上の戦力となることは必至だ。ワールドカップへの準備ということを考えれば、ブラジルにとっても重要な試合なのだ。

当日は雨の予報だが、国立競技場の素晴らしいピッチの上でハイレベルの試合が見られることだろう。

ブラジル代表

ブラジル代表

文:後藤健生
写真:Noriko NAGANO

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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