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マーカス・ラシュフォードは適応できるのか
【1】ライン間でのプレー
【2】中間ポジション
【3】スペースメイク
【4】不用意なボールロストは厳禁
【5】前に急がずチャンスを待て
【6】サイドチェンジは頻繁に
【7】後方からの抜け出し
マンチェスター・ユナイテッドのエリク・テン・ハグ新監督は、上記の7項目を新シーズンの基本戦略に設定する。アヤックスを率いていた5年間で磨きをかけた、得意のパターンである。
マーカス・ラシュフォードは適応できるだろうか。ボールコントロールが雑で、前に急ぎ、中間ポジションやライン間でプレーする工夫を見た記憶がほとんどない。
スコット・マクトミネイも不用意なボールロストが多い。ディオゴ・ダロトとフレッジ、エリック・バイリー、フィル・ジョーンズもボール扱いはアバウトだ。アーロン・ワンビサカは後方から抜け出す意識に欠ける。
また、アントニー・マルシャルはピッチ上でウォーキングを繰り返し、ヴィクトル・リンデレフは遅すぎる。ハリー・マグワイアはもっと遅い。
さらに、テン・ハグは後方からの丁寧なビルドアップを好むため、フィードの精度が低いダビド・デヘアより、ディーン・ヘンダーソンの方が適任だ。
そしてネマニャ・マティッチは今シーズン限りで退団し、ポール・ポグバはサポーターに別れも告げず去っていく。
ユナイテッド完全刷新!
この際、一度 “真っ裸” になり、すべて着替えた方がいい。リヴァプールのような強豪にだけではなく、ブライトンやワトフォードにも大量失点して負けるようなクラブであることを、ユナイテッドに関わるすべての者が肝に据えるべきだ。
当然、一朝一夕にして玉座に帰還できるはずがなく、しばらくの間は野でさまよう。エリート階級から滑り落ち、もはや平民だ。今夏の補強もままならず、サポーターが歓喜するようなビッグネームは絶対にやって来ない。
個人的には、ブライトンのマルク・ククレジャを獲れないものか、と考えていた。野心にあふれ、闘争本能豊かで、クラブのために全身全霊を注ぐDFは、喉から手が出るほど欲しい人材だ。しかし彼は、マンチェスター・シティと交渉している。これが現実。
テン・ハグも厳しい夏を覚悟しているようで、現有勢力の整理と若手のレベルアップに主眼を重き、再建に着手するとの情報が大勢を占めてきた。創造力にあふれ、エネルギッシュなスタイルを志向する新監督が、マグワイアやリンデレフに満足するだろうか。
「5~6人の大物が必要だ」
OBのギャリー・ネヴィルは古巣にムチを入れるが、この男は現実から目を背けている。チャンピオンズリーグの出場権を持たないユナイテッドに、だれが好き好んで移籍するのだろうか。
サー・アレックス・ファーガソンが退任して9年、ユナイテッドは一敗地にまみれ、ついに瓦解した。あとは立ち直るしかない。
もはやビッグ4でも6でもない。優勝したマンチェスター・シティとは35ポイント差、最終盤まで四冠チャレンジを続けたリヴァプールとは34ポイント差、4位のトッテナムとも15ポイントもの開きがある。
一介のクラブとして、泥だらけになる覚悟はあるか!
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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