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サッカー フットサル コラム 2022年3月18日

評価は覆すためにある。桐生第一が期すプレミア初挑戦でのビッグサプライズ 【高円宮杯プレミアリーグEAST 桐生第一高校チーム紹介】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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劇的な大逆転勝利で昇格を勝ち獲った、昨年末のプレミアリーグプレーオフ。そのピッチに立っていた選手は1人も残っていない。その実力に懐疑的な視線が注がれていることは百も承知。でも、それならそれでいい。事が起こる前の評価なんて、覆すためにある。

「たぶん周りの人から見て、弱いと思われがちかもしれないですけど、プレミアで一戦一戦勝つことによって力を証明できると思いますし、チームの名前も全国に広がっていくはずなので、勝利を一番に考えてやっていきたいです」。

チームの“2人制キャプテン”の1人に任命されたFW諏訪晃大は、そう言葉に力を込める。群馬から国内最高峰の舞台に殴り込みをかける“蒼き登り龍”。桐生第一高校の大いなる挑戦が、いよいよ幕を開ける。

「もうあの子たちのグループの強さを凄く感じて、ウチをより高めてくれたなという感謝しかないですね」。中村裕幸監督は、その時を振り返る。桐生第一としては初めて臨んだプレミアリーグプレーオフ。1回戦でインターハイ全国準優勝の米子北高校を破った彼らは、続くゲームで新潟の強豪・帝京長岡高校と対峙する。

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前半を終えてスコアは1-3。小さくないビハインドを追い掛ける展開を強いられたが、ベンチメンバーも含めた全員を3年生で構成した桐生第一は、その状態から底力を発揮。残り10分で同点まで持っていくと、試合終盤には勝ち越しゴールを記録。ドラマチックな大逆転勝利を収め、涙と歓喜のプレミア昇格を手繰り寄せた。

「映像で生中継が送られてきて、それを見ていました。先に3点を決められてヤバいかなと思ったんですけど、4点を決めて勝ってしまって、正直画面越しからでも震えましたし、みんな大騒ぎでした」。そう振り返る諏訪も含めて、新チームの選手たちはいずれもスマホの“画面”で、先輩たちが成し遂げた歴史的偉業を見つめていた。

指揮官はプレミアを戦うことで、チームへもたらされるであろう多くの効果への期待を、こう語っている。「選手たちがものすごくハイクオリティな試合を22試合できるというメリットと、やっぱりあとはライバルの前橋育英さんを倒すためにも、我々の底力やチーム内の競争を高めるためには、より良い選手がより多くいた方がいいわけで、こちらの人を選ぶ悩みは出てくるかもしれないですけど、みんなを高めるためにはそれが良いことですよね」。

もちろん意識せざるを得ないのは、奇しくも同じタイミングでプレミア初昇格を果たした、同じ群馬県に居を構える前橋育英高校。近年は県内の覇権を競い続けているだけに、彼らを倒すことは桐生第一にとって最も大きな目標であり、命題であることに疑いの余地はない。

「最近の結果から見れば育英の方が強いとみんな思うはずですけど、試合結果はいつも接戦で、内容も五分五分くらいでこっちも良いサッカーはしていたので、もうちょっとかなと思います。トーナメント以外のリーグ戦でライバルとできるということで、勝てばその後の大きなモチベーションになると思うので、プレミアでしっかり勝ってトーナメントの県予選に繋げていきたいと思います」。群馬出身で“2人制キャプテン”を諏訪とともに務めるDF石原翼の言葉にも、永遠のライバルへの想いが強く滲む。

迫りつつあるプレミアという“日常”。魂のこもった2試合を戦い抜き、最高のプレゼントを残してくれた先輩たちのためにも、自分たちが残さなくてはいけない成果も、全員で共有していることは言うまでもない。

「今まで青森山田さんのような強豪は結構遠い存在だと感じていたんですけど、もう実際に対戦することが決まっているので、ビビらずにやっていきたいですし、降格したらリーグが下がってしまうので、そこは楽しむだけではなくて、責任を持ってやりたいですね」とはチームの司令塔を託されているMF岡村葵。繋がれたバトンを、また後輩たちに繋いでいく。チームの歴史を紡ぐ上でも、そう簡単に降格するわけにはいかないはずだ。

コーチから立場が変わった1年目で、プレミアに向かうチームを率いる中村監督も、自分たちの立ち位置を客観的に把握しながら、強気なメンタルも忍ばせる。

「もうどこからどう見てもチャレンジャー以外の何物でもないので、一戦一戦死に物狂いで戦いますけど、正直勝ち点1を取りに行くためのゲームはしたくないです。去年のチームの子たちの想いも繋げたいと思いますし、ウチのサッカー部がより大きくなるためには物凄く大事な年だなという責任もありますけど、目先の結果だけにこだわるのも俺らしくないというか、子供たちのやれることを最大限に発揮させながら、結果が出たらいいなというところで、試行錯誤しながらやっていきます」。

見据えるのは、とにかく上だけ。桐生第一高校サッカー部が新たに築き上げていく歴史は、2022年から堂々とスタートする。

文 土屋雅史

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土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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