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サッカー フットサル コラム 2022年3月17日

『5度目の正直』で掴んだ夢舞台。前橋育英は念願のプレミアで躍進を誓う 【高円宮杯プレミアリーグEAST 前橋育英高校チーム紹介】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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「もう本当にホッとしたというのが本音ですよね」。チームを率いてちょうど40年目を迎える山田耕介監督は、そう笑いながら広島での歓喜を振り返る。昨年12月。プレミアリーグプレーオフに臨んだ前橋育英高校は、1回戦で仙台育英高校相手に4-0と快勝を収めると、続く2回戦でもV・ファーレン長崎U-18を2-0で撃破。プレミアへと昇格する権利をもぎ取った。

「広島にはあまり行きたくないといつも思っていました(笑)。もちろん広島が悪いわけではなくて、自分としてはという話で、『何で埼玉とかでやらないのかな?』って」と山田監督が話すのには、理由がある。前橋育英にとって、プレーオフ進出は実に今回で5度目。2013年、2014年、2015年、2017年と4度に渡って、広島の地で涙を呑んできた。

とりわけ2013年と2017年はプリンスリーグ関東王者に輝き、確かな自信を持って挑んだが、どちらもPK戦で敗退。後者はその直後の高校選手権で日本一になったチームだけに、大きな期待を寄せられていたものの、ジュビロ磐田U-18の軍門に降る。その経緯が指揮官の言葉に繋がっていたというわけだ。

「スタッフが1回目から4回目までのプレーオフを、ハイライトみたいな感じにしたモチベーションビデオを作ってくれたので、それを見た時にみんな『痺れた』と言っていましたね」と明かしたのは2年生ボランチのMF根津元輝。先輩たちが何度も味わってきた悔しさも結集させて、ようやく悲願を達成することに成功した。

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今年のチームにも、多くのタレントが揃っている。ドイスボランチは間違いなく高体連屈指。“飛び級”で日本高校選抜に選出されている根津と、こちらはU-17日本高校選抜の主軸を担うMF徳永涼の2人は、既にJリーグの練習参加も経験し、チームに小さくない刺激をもたらしている。

さらにアタッカー陣では、U-17日本代表候補合宿にも招集されたMF小池直矢や、高校選手権でも3回戦の鹿島学園高校戦で2ゴールを奪い、一躍脚光を浴びたFW高足善も注目株。3月に開催されたプーマカップでも左利きのDF山内恭輔、テクニックに優れるMF大久保帆人が存在感を見せており、多くの選手が主役の座を虎視眈々と狙っている。

今シーズンのプレミアリーグEASTの大きなトピックスの1つが、前橋育英と桐生第一という群馬の2チームが、同じタイミングで初昇格を果たしたこと。山田監督はこのことがもたらす影響を、こう口にする。

「群馬県にとってはものすごくプラスになることだと思います。いろいろな方に来ていただいて、学ぶ機会があるわけですし、そういう面では地元のマスコミさんにももっともっと宣伝してもらって、という話しはしてますけど(笑)、盛り上げたいですよね。桐生第一と前橋育英が切磋琢磨することによって、群馬県の他の高校も我々をなんとか倒そうと思ってもらえるように、群馬県全体に影響を与えるようなチームにしていきたいと思います」。

彼らがプレミアのステージで戦うことは、群馬県の小中学生にとって大きな刺激になることも、また確かなことだ。青森山田高校が、川崎フロンターレU-18が、群馬の地で黄色と黒のユニフォームを纏った“憧れのお兄さん”たちと試合をする。158センチの小柄な身体に闘志と得点感覚を詰め込んでいる高足は、「自分は櫻井コーチからも『試合を見て、何かを感じてもらえる選手になれ』と言われているので、小さな子供たちに『自分のように小さくてもできるんだぞ』ということは見せたいと思っています」ときっぱり。そういう意味でも今シーズンのプレミアは、指揮官も語った通り、群馬県のサッカー界全体にとって大きな意義のある大会だと言えそうだ。

対戦してみたいチームを問われた山田監督は、笑顔で国内最高峰の舞台に想いを馳せる。「やっぱり強度の部分やフィジカル的なことを考えると、青森山田さんや流経さんは素晴らしいと思いますし、レイソルみたいなポゼッションをする相手にはどう戦うのかも考える必要がありますし、やっぱり全部楽しみですよ(笑)。ユースレベルでは最高峰の大会なので、チーム自身も選手個人も成長や進化ができれば一番いいかなと。全力を尽くして頑張りたいと思います」。

5月7日にはアースケア敷島サッカー・ラグビー場で、プレミアリーグの“縦積み”開催が予定されている。1試合目が前橋育英と青森山田。2試合目が桐生第一と大宮アルディージャU-18。特に1試合目は、日本一を経験している国内屈指の強豪対決が実現する。

「育英はテレビで見ていた存在で、そんなテレビの向こうの存在に今は自分がなれているので、子供たちにも『育英って凄いな』と思われるようなサッカーをしていきたいです」(山内)。その頃にはコロナ禍が今より落ち着きを見せ、敷島のスタンドに群馬県のサッカー少年少女が大挙して詰め掛ける光景を、是非期待したい。

文 土屋雅史

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土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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