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1人少ない状態だったこと。失点して慌てたことが原因だった。だが、そんなことくらいで動揺するというのは、およそチャンピオン・チームらしからぬ失態だった。
同時に横浜の速く大きなパスが有効だったことにも注目したい。
1点目は、左サイドで喜田拓也からのボールを受けたマルコス・ジュニオールが逆サイドに上げたロングボールに右サイドからエウベルが飛び込んだ形。そして、2点目はマルコス・ジュニオールが右に開くボールを受けたエウベルが低くて速いクロスを入れ、中央で合わせた仲川輝人が飛び込んでボレーで決めた。
2019年、15得点を決めて得点王となり、横浜のJ1優勝に貢献した仲川は一昨年、昨年と故障もあって低迷していたが、今季はセレッソ大阪との開幕戦から溌剌としたプレーを続けている(78分にも大きなカーブを描いてクロスバーの下を叩く芸術的なシュートでチームの4点目も決めた)。
58分の横浜の2点目(仲川の1点目)は、横浜が狙っている形通りのゴールだった。
高速クロスを入れて、そこに中央および逆サイドから1人または2人の選手が飛び込んでくる形だ。これは、前任のアンジェ・ポステコグルー監督時代から横浜が狙い続けているパターンで、2019年には仲川もこうした形で得点を重ねたし、昨年は前田大然がフィニッシュに関わった。
試合直前には両チームがピッチ上でウォーミングアップを行う。それを見ていると、各チームの監督が何を狙っているかが分かってくることも多い。
ウォーミングアップでは「かごの鳥」と呼ばれるボール回しの練習とシュート練習が基本的なメニューとなっている。そして、そこに各チームの哲学は凝縮されている。
この試合前のウォーミングアップを見ていて気が付いたのは「かごの鳥」の時に川崎は狭いスペースでワンタッチパスを回す練習をしていたことだ。10メートル×15メートルくらいだろうか。密集の中で実に見事にパスを回す。
そう、試合中も川崎はショートパスを多用する。もちろん、川崎も大きなパスを蹴って逆サイドのフリーの選手を使うこともある。横浜戦の先制ゴールもそれに近かったし、先制ゴール直前の29分には中盤の脇坂泰斗から右サイドの家長に大きなパスが通り、フリーの家長からのクロスを逆サイドのレアンドロ・ダミアンが決めた場面があった(オフサイドでゴールは認められず)。
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