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サッカー フットサル コラム 2022年1月25日

日本代表が久保建英を先発で使うべき理由

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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笑顔でランニングする久保(写真中央)

笑顔でランニングする久保(写真中央)

カタールW杯の最終予選に久保建英が招集された。ケガによる中断を経て4カ月ぶり。当然だ。今の久保はスペインでも最も“介入決定力”がある選手の一人だからだ。

介入決定力というのは、私が今考えた造語。プレーに介入した時に、つまりボールに触った時に決定的なプレーをする能力の高さを指す。

「決定的なプレー」とは久保の場合、まずドリブル。これは何人抜く、という話ではない。久保が半身で背筋を伸ばして前を向き、ボールを持って前進するとうかつに飛び込めない。リズムチェンジやフェイントを仕掛けられかわされる恐れがあるから。

つまり、久保のドリブルは「安全なキープ」の代名詞であり、周りの選手が動いて局面を変える時間を稼ぐことができる。ドリブル自体がうまい、というより、次の技が怖くて、前進を阻めないのだ。

もちろん、これ以上の放置はやばい、となると相手DFは飛び込んで来る。で、それがファウルになって敵陣でのFKやカードをもらう。単にドリブルが凄いのではなく、間を作ることファウルをもらうことまで含めて決定的な介入なのだ。

次に、パス。種類と込められたアイディアが非常に豊富だ。

グラウンダーのスルーパルはスペースへ入った味方に向けて、巻きながら落ちて行く速いボールはファーポストに大外から入って行く味方が頭で押し込めるように、逆回転で跳ねると戻って来るボールは裏抜けして走り込んだ味方の足下に入るように、あまり足を振らずつま先で押し出す浮き球は同じ裏抜けでも静止した味方がダイレクトでプレーできるように……。

左足がメインだが右足もあるので、相手に的を絞らせず、味方に通るかどうかは別にして「出す」ことはできる。スペースがあるところでは上手くても、ゴール付近の密集では守備に引っ掛かって出せないパサーも多いから、これは大きい。

もちろん、FK、CKの介入決定力も大きい。

間接の場合は、味方の動きの種類に合わせて球質を選び、ピンポイントの制球力で、ピッタリのタイミングで合わせてくれる。直接の場合は、速く急激に落ちる軌道でGKにベストパフォーマンスを強いる。

最後に、シュートもあるが、動きながらのそれは久保のプレーの中では一番選択肢が少なく読みやすい。おそらく左足をブロックしておけば止められる。

マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェ、マジョルカと久保を見てきたが、今が一番調子が良い。チームの調子が悪くて、介入数が少なくとも、決定的な仕事ができている。チーム力とは無関係なハイ・パフォーマンスというのは、これまではほとんど見られなかった。

もっとも、介入決定力が高い代わりに、非介入(ボールが入らない時)時のパフォーマンスは低い。先週末のビジャレアル戦でも軽く左サイドを破られていたが、これは速くて強いペドラサと久保を1対1にする守備組織の方が間違っている。その時点ですでに破られているのだ。

日本代表はあまり見ていないので、今の久保を上回る選手がいるかどうかはわからない。多分いないだろう、とは想像する。あと、途中交代で入った久保のパフォーマンスは総じて低い。エンジンが掛かるのが遅いタイプなので、日本で報道されているような「ジョーカー」とか「隠し玉」的には使えないと思う。

結論、私が代表監督なら守備のケアをした上で先発で使う。介入回数が少なくとも決定的な仕事をするので交代は最後まで我慢する。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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