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これは、けっして女子サッカーだけの問題ではないのだが、とくに日本の女子サッカーではパスをつなぐことにこだわることが多い。
たとえば、先日の女子日本代表(なでしこジャパン)のオランダ遠征、とくに完敗を喫したアイスランド戦などを見ていると、せっかく前線の選手が裏に抜けようとしているのにバックパスや横パスに逃げてしまう場面が数多く目についた。積極的に、裏を狙うパスを出せるのは長谷川唯だけだったといってもいい。
そうした背景もあるので、伊賀FCの選手たちの積極的なプレーに僕は感心したのである。
もちろん、伊賀FCには日本代表に招集されるような選手はいない。海外クラブで活躍している選手やWEリーグの上位チームの選手たちに比べると、技術レベルが落ちることは否めない(もし、伊賀の選手たちの技術が代表級に高かったら、2桁得点は間違いなかっただろう)。
だが、選手たちに意識付けを与えるだけで、これだけ攻撃力のあるチームが出来上がるということを、今シーズンの伊賀FCの躍進からは見て取れる。チームを指導をしてきた大嶽直人監督の手腕でもあるのだろう。
こうして、名実ともに挑戦者ナンバーワンとなった伊賀FC。4回戦では、浦和レッズレディースと対戦することになっている(12月25日、ケーズデンキスタジアム水戸)。浦和は、昨シーズンのWEリーグ発足前の最後のなでしこリーグで優勝を飾り、皇后杯では準優勝。WEリーグ初年度は、一時的に足踏み状態があって第10節終了時点で3位にいるが、優勝候補の一角にいる強豪であることに変わりはない。
WEリーグの強豪相手に伊賀FCの攻撃力がどこまで通用するのか。そして、相手の強力な攻撃をしのいで、攻撃につながることができるのか……。
まさに、なでしこリーグのトップがWEリーグの強豪中の強豪に挑む構図の4回戦。大いに注目してみたい。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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