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2021年シーズンのなでしこリーグ1部で、伊賀FCは17勝2分3敗の勝点53を記録し、2位のスフィーダ世田谷(東京都)に12ポイントもの差を付けて優勝を決めた。22試合で勝点53という数字をJ1リーグと同じ38試合に換算すると約91.5ということになる。つまり、伊賀FCの勝率は川崎フロンターレのそれ(勝点93)と同格だったのだ。
また、なでしこリーグ1部のクラブは、皇后杯では2回戦から出場したが、伊賀FCは2回戦で筑波大学を4対0で一蹴している。やはり、WEリーグ勢への挑戦者として最も相応しいのは、この伊賀FCだろう。
だから、僕は、挑戦者決定戦での伊賀を見ておきたかった。しかも、今シーズン、僕はスケジュールの都合で伊賀の試合を生で見る機会が一度もなかったのだ。「これは、行かなければなるまい」というわけで、12月11日は早朝から栃木県真岡市に向かったのである。
対戦相手は福岡J・アンクラス。なでしこリーグ2部で4位だったクラブである。
そして、結果は7対0で伊賀FCが圧勝した。たしかに、期待通りに伊賀FCは強かったのである。
いちばん目についたのは、積極的なパスの仕掛け方だった。
たとえば、パスコースが3つあったとしよう。その時に、どのパスを選択するのかということだ。安全につなぐことを優先するのか、それてもパスカットされるリスクはあっても、相手にとって最も嫌なコースを選択するのかという問題である。
“正解”があるわけでは、もちろんない。その時の状況を見て判断すべきものであり、その判断力こそがサッカー選手にとって最も重要な資質だと言ってもいい。
しかし、常に安全第一でプレーしていては、相手がミスを冒さない限りは得点は生まれない。サッカーというミスが付き物のスポーツでは、ミスを恐れることなくプレーして、逆に相手にミスを生じさせることが必要なのだ。
その点こそが、伊賀FCの選手たちの意識の高さなのだ。90分間に渡って、彼女たちは相手の最も嫌なコース、すなわち敵陣深くへの、あるいは守備ラインの裏へのパスを狙い続けたのだ。そして、もちろんパスの受け手の方も相手の嫌がる深い位置でのスペースを見逃さずに進入を続けた。
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