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サッカー フットサル コラム 2021年10月19日

アモレビエタの自滅でカルタヘナ勝利も、岡崎慎司は消化不良で途中交代

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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岡崎慎司

岡崎慎司

アモレビエタ戦の岡崎慎司は今季最低の出来だったかもしれない。

64分に下げられるまでに、DFからのパスをキープしチャンス作りに貢献できたのはわずか1回。交代直前には簡単なトラップミスもあった。3トップのうち、ルベン・カストロは見事なバイシクルシュートを決めていたし、ダウダは裏への飛び出し一発で決定機を作れるスピードがあるからリードされている場面では外せない。代えるなら岡崎しかなかった。で、ルイス・ミゲル・カリオン監督はボアテングを入れ、この交代策が的中してカルタヘナは逆転に成功する。

カギはシステム変更にあった。

アモレビエタの[3−5−2]に対してカルタヘナは[3−4−3]だった。前線ではカルタヘナの数的有利、中盤ではアモレビエタの数的有利。11人対11人だからどこかで有利ができればどこかで不利ができる。[3−5−2]に[3−4−3]で臨むこと自体は何の問題はない。だが、数的有利である3トップ、特に岡崎にボールが入らなかったことで中盤の不利だけが際立つ展開になっていた。守備的MFボアテングの投入でシステムを[3−5−2]に変更し数的同数での勝負となって、それをカルタヘナが制したわけだ。

85分のオルトゥーニョ、アレックスの投入も前者がアシストし後者が決勝点を挙げたことで成功した。オルトゥーニョはこれで3アシスト、2得点。次節(19日スポルティング戦)は、岡崎に代えて長身の彼をセンターに入れて左にダウダ、右にルベン・カストロの形もあるかもしれない。

とはいえ、シュート数19対9、CK数7対2(カルタヘナの最初のCKは80分!)という内容で敗れたのはアモレビエタの自滅だった。2部で最も予算が少なく、ホームタウンの人口が1万9000人で、昨日の試合が行われたのはアスレティック・ビルバオの練習グラウンドというアモレビエタは、非常に良いチームだった。

プレースタイルはアスレティック・ビルバオやオサスナの流れを汲むもので、ロングボールを前線の大型FWに当ててキープすると、その間にチーム全体を押し上げて敵陣に殺到する。フィニッシュまでに手数を掛けず、相手にボールを奪われても激しいプレスで奪い返し、波状攻撃を仕掛ける。当初からDFラインが高いわけではないが、ロングボールをキープしている間にラインを上げて、一旦上げたらなかなか下げない。敵陣で過ごす時間が長ければ長いほど、優勢に試合を進められる。

これは北部バスク地方の伝統的なスタイルで、イギリスのキック&ラッシュの香りがするのは、古くから港町ビルバオとイギリスの間に交易があったからだとされる。

アモレビエタは圧倒的にカルタヘナを押し込んだ。3対1くらいで勝っていた内容だ。カリオン監督の采配的中とカルタヘナGKの美技、何よりも、ゴール前で寄せずにバイシクルシュートの余裕を与えてしまう個人的ミス(1点目)、マークを外してセンタリングをさせてしまう個人的ミス(2点目)によって敗れた。

スペインと言えばパスサッカーの伝統の方が有名だが、もう一つロングボール&ハイプレスという対抗勢力があり、白熱した勝負を毎週繰り広げている。技の美しさとファンタジーはないが、強さとスピードの論理的な機能美がある。ラインを上げることはリスクを負うこと。目まぐるしく攻め合う展開になりがちなので、アモレビエタのようなチームは観戦の面白さに大いに貢献している。

最後に、久保建英のケガの様子が明らかになったので記しておく。ルイス・ガルシア・プラサ監督によると、来週から軽い練習を始めてそれから復帰までに1カ月半から2カ月かかる、とのこと。予想以上に長い欠場期間になりそうだ。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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