人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2021年10月7日

【高円宮杯プレミアリーグEAST 流通経済大学付属柏高校×柏レイソルU-18レビュー】 流通経済大柏・榎本雅大監督が考える“自分らしさ”という言葉の捉え方

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
  • Line

「特に僕は本田先生の後で、やっぱり流経ってこういうチームだっていうイメージがあって、『じゃあエノになってどうするの?』というのはずっと問われていたと思うんですよね。本田先生のやり方を踏襲するのが一番の筋なのかもしれないけど、それだけでは自分らしくないし、結局その“自分らしさ”を要求するんだったら、自分がまず一番最初に自分らしくやらないとというところですよね」。いつも金言を我々メディアに与えてくれる、流通経済大柏高校の榎本雅大監督。今回は“自分らしさ”という言葉の捉え方についてのお話を伺った。

日本一を狙って福井に乗り込んだ夏のインターハイ。流通経済大柏は2回戦でプレミアリーグWESTでも上位に付ける大津高校と対峙した。大会屈指の好カードとも称された一戦は、しかし0-3と流通経済大柏の完敗。試合後に榎本監督も「大津が単純に上でした。大人と子供みたいでしたよね」と率直に現状を認めつつ、「今のままじゃダメだよということです。でも、アイツらもそれは感じていると思うし、感じない連中じゃないので、こういうのを跳ね返して成長していくことが大事かな」と言葉を続けていた。

J SPORTS 放送情報

特に今年は選手たちに自主性を求めてきたが、その効果が大会直後のミーティングで如実に出たという。「インターハイに負けても全然後ろ向きなヤツがいなかったんです。ミーティングをやって、『オマエら、感じたことを言ってみろ』と聞いたら、バーッと手が挙がったんですよね」(榎本監督)

中でも指揮官はある選手が気になっていた。インターハイ直前までは主力だったものの、全国ではケガのために登録メンバーで唯一出場機会のなかった選手が、自分で自分の“ストーリー”を作っているように見えたのだ。「僕は怒ったんですよね。『その態度はねえ』って。『悲劇のヒーローみたいな顔をしてないで、チームのためにやるべきでしょ』って、ミーティングの冒頭にオレが怒ったんです」。

高円宮杯 プレミアリーグ2021 EAST 第13節延期分 流通経済大学付属柏 vs 柏レイソルU-18

流通経済大学付属柏 清水 蒼太朗 選手インタビュー

ただ、そこからの“リカバリー”についても、榎本監督は嬉しそうに思い出す。「それで、この大会に関して感じることがある人って聞いたら、ソイツは手を挙げていましたからね。そういうのが嬉しいんです。こっちはそこで『オマエ、手を挙げるんだぞ』と思っている訳で。挙手して発言することがチームへの貢献だと僕は考えているし、『オマエ、ここで言われてシュンとして、悲劇のヒーローになってたら、もう今後はないよ』と思っていたら、早速手を挙げていましたからね」。その選手は再開したプレミアリーグでも、既にスタメンに復帰してきている。

実際に選手たちが発言できるような雰囲気を、榎本監督をはじめとしたスタッフ陣が作っているのも、また確かなこと。積極的に“自分らしさ”を出せるような環境が、今年の流通経済大柏には整いつつある。

「今は進路の話もしているけど、『何したいの?そこだよね』って。たとえばプロからオファーが来ても、『はい、プロになりました。夢が叶いました』じゃなくて、『ちゃんと考えた方がいいんじゃない?』って。『やった!Jリーガーになりました!』だけでは何もならないから、個性を出してほしいというよりは、自分らしく生きてほしいなと思うんですよね」。

さらに話はメディア対応にまで及ぶ。「記者さんたちも選手に定型文で『これ、何ページのやつだな』みたいなものばっかり出されてもね。なんかちょっと“ぽい”のを聞きたいじゃないですか。僕もそういう“ぽさ”はプレーでも出してほしいので、定型文できっちりまとめてくる選手より、やっぱり自分らしくやってくる選手になってほしいなって。そうじゃないと上で通用しないと思うし、それが最後に自分の軸になるというか、最後の拠りどころになって、『自分らしくやろう』ということが、一番結果が出るというわけじゃなくて、それが一番楽しい人生の生き方なんじゃないかなと。『まあ自分らしくやったし、いいかな』みたいな(笑)」。最後の拠りどころを例に出し、サッカーだけではなく、人生にまで言及するあたりがこの人らしい。

最後に榎本監督が口にした言葉が、何とも気になった。「その辺の“キャッチボール”がもうちょっとできてくると思うので、楽しみにしていてください」。自らも“自分らしさ”を追求する指揮官に、“自分らしさ”をハッキリと出し始めた選手たち。そして、彼らが交わすキャッチボールの進化。これを聞いてしまったら、流通経済大柏のここからも楽しみにせざるを得ない。

文 土屋雅史

J SPORTS オンデマンド番組情報

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

  • Line

関連タグ

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ