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今大会を見ても、青森山田の強さは群を抜いていた。
個々人の能力はもちろん、パス・スピードや攻守の切り替えなど高校レベルを超えていた。しっかりと速いパスを回して人数をかけて攻め込み、ボールを奪ってもすぐに切り替えて、敵陣でボールを回収して二次攻撃、三次攻撃を続ける。
準決勝でも守りを固めてカウンターを狙った矢板中央に対して5対0と圧勝しており、その勢いを駆って決勝でも山梨学院を圧倒するかと思われていた。
だが、延長戦を含めて110分戦って2対2の引き分けに終わり、PK戦の末、女神は山梨学院に微笑んだのだ(ちなみに、山梨学院はこの大会3度目のPK戦だった)。
決勝戦でも、内容的には間違いなく青森山田が上回っていた。
ボールを保持する時間はもちろん上回ったし、何度も相手守備陣を切り裂いて決定的なチャンスを作ることができていた。シュート数も山梨学院の7本に対して青森山田は3倍以上の24本。CKの数に至っては山梨学院がたったの1本だったのに対して、青森山田のCKは13本に達した。そして、これにDF内田陽介のロングスローまで加わるのだ。
しかし、中央をしっかりと固めた山梨学院のDFがシュートをブロックし、GKでキャプテンの熊倉匠が何度も決定機を阻止、さらにクロスバーやゴールポストに嫌われる不運もあって、青森山田の得点はわずか2点に留まった。
しかし、それでも後半には57分、63分と連続ゴールを決めて、一度は逆転に成功したのだ。大量得点はできないかもしれないが、そのままのスコアで青森山田が逃げ切るようにも思えた。なにしろ、青森山田が逆転に成功したあたりの時間帯では内容的には青森山田が圧倒していたからだ。
ところが、78分にFKから山梨学院に素早くつながれて、最後はDFとGKが絡む中でこぼれ球が生まれ、山梨学院の野田武瑠に押し込まれてしまったのだ。
青森山田側の視点で見た場合、あれだけ攻めながら3点目を決められなかった攻撃陣と、一瞬のスキを衝かれて2点を失った守備陣と、両者に課題が突き付けられた。
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