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ついに、3月15日までに予定されていたJリーグの公式戦の開催延期が決まった。
すでに開幕節では、ヴィッセル神戸のホームゲームが行われたノエビアスタジアム神戸で「応援禁止」の対応が取られ、スタジアム内に歌やチャントが流れないというじつに異様な空間が現出していた。
しかし、第1節では会場によって措置がバラバラだった。「応援禁止」はヴィッセル神戸の主催ゲームだけで他会場ではいつものように応援歌やチャントが流れていた(もっとも、他会場でもスタンドの観客の多くがマスクを着けていたので、マスクというものに馴染みのない欧米人から見たらかなり異様な光景だったろうが)。
スタジアムによって対応が異なっているのではアウェー・サポーターに“対策”を徹底することも難しいかもしれない。第1節でも、各会場での対応は共通化すべきだったのではないだろうか。
第1節では僕たち報道陣にも対応が求められた。しかし、それも試合によってまちまちだった。
たとえば、ACLでパース・グローリーとの試合があった当日の朝、主催クラブであるFC東京から報道陣向けに1通のメールが送られてきた。「記者席、記者室、インタビュールーム、ミックスゾーンなどでマスク着用のこと」という内容だった。現在も基本的にはマスクを着用していない僕も、指示に従って試合会場に行くときにはマスクを持参した(受付ではマスクを持っていない記者向けにマスクが配布されていた)。
また、Jリーグ開幕戦の湘南ベルマーレ対浦和レッズの試合会場では報道受付に消毒液が置いてあって、入口で消毒をさせられた。一方で、同じく第1節の柏レイソル対北海道コンサドーレ札幌の試合会場となった三協フロンテア柏スタジアムでは、まったく何の規制もなかった……。
やはり、Jリーグ全体としてどう対応するのか、基準は設けておくべきだったろう。
新型コロナウイルス(Covid-19)の感染は震源地の中国だけでなく、世界各地に広がっている。
ヨーロッパでも、イタリア北部のロンバルディア州やヴェネト州などで感染が拡大しており、イタリア政府の決定に従ってセリエAの試合の一部が延期される事態に至っている。日本でも東京マラソンで一般ランナーの不参加が決まったり、五輪前のプレ大会などを巡ってスポーツ界にも影響が出始めていた。
サッカー界ではAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の中国関係の試合日程が変更されていたし、その後韓国でも感染が急速に広がり、2月25日になって韓国で行われるACLのゲームが無観客で行われることが決まった。今後も日程変更の可能性はあるし、JリーグとACLの日程の再調整なども必要になるかもしれない。
さらに、3月に予定されていたU-23日本代表の強化試合の対戦相手である南アフリカ代表が来日中止の意向だという報道もあった。もしそれが事実なら日本サッカー協会は他の対戦相手をさがす必要があるが、試合開催まで1か月しか時間がないし、3月下旬の段階で新型コロナウイルスを巡る状況がどうなっているか明確ではないだけに、交渉は難しいだろう。もし試合が中止となれば、東京オリンピックを目指すU-23代表の強化スケジュールに支障をきたすこととなる。
そんな中で、Jリーグは2月26日になって3月15日までの全試合の延期を決定したのだ。
この判断が妥当かどうか……。それは難しい問題だ。
もし感染症が心配だから試合を中止するというのであれば、インフルエンザが流行する冬場には毎年すべてのイベントを中止すべきだろう。インフルエンザは新型コロナウイルスと違って、ワクチンも存在し、治療法も確立されているにもかかわらず、日本国内だけで毎年数千人の死者を出しているのだから、インフルエンザは新型コロナウイルスよりもさらに恐るべき感染症だと考えられる。
試合の延期の判断については賛否両論があるだろうが、Jリーグが主体的に、また他競技に先駆けて、さらに言えば政府からの指示を待たずに決定を下したことは高く評価していい。
政府は「開催の必要性を改めて検討していただくようにお願い」するという立場で、「現時点で政府として一律の自粛要請を行うものでは」ないというのが厚生労働省の国民向けのメッセージだった。そして、26日になってようやく、安倍晋三首相が「国内のスポーツ・文化イベントの2週間自粛」を要請する考えを示したのだ。
評価すべきは、Jリーグが政府の要請に先立って主体的に決定を下したことだ。
スポーツは政治からの独立が求められる。したがって、新型コロナウイルス対策を巡っても政府からの指示や要請を待つべきではない。政府が主催者側の裁量を認めているうちに自ら責任ある対応を決定し、それを着実に実行していくべきだろう。
そうした着実な対応をすることによって、スポーツイベントの中止(とくに政府の命令による中止)といった最悪の事態を避けることができる。
スポーツイベントについては、プロ野球の読売巨人軍がオープン戦の無観客開催を決定。大相撲も、春場所の開催を検討中だという。
今後は競技の枠を超えて他のスポーツとも連携協調していく必要もあるだろう。
たとえば、JリーグやバスケットボールのBリーグ、ラグビーのトップリーグなど、日本の人気スポーツの多くが加盟している「日本トップリーグ連携機構」という組織がある(会長は元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏で、事務局はJFAハウスに置かれている)。まさに、現在のような状況でこそ、この機構の出番なのではないか。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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