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サッカー フットサル コラム 2019年10月7日

カナダ相手に大勝のなでしこジャパン。コンビネーションなだ完成度はまだまだ

後藤健生コラム by 後藤 健生
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2020年東京オリンピックでの金メダル獲得を目指してリスタートを切った日本女子代表(なでしこジャパン)。

その最初の一歩となるカナダ代表との親善試合が行われ、日本が4対0と大勝した。前回対戦した2018年アルガルベカップでは0対2で敗れた相手だったし、また、6月の女子ワールドカップでは得点が取れずに苦しんだ記憶があるだけに、大量4点を奪っての快勝は自信を取り戻すためのきっかけとなっただろう。

だが、内容的には「まだまだこれから」と言わざるを得なかった。

今年のワールドカップでは、開幕直前まで新戦力のテストを繰り返し、大会直前までメンバーを固めることができずにラウンド16で敗退となったなでしこジャパン。この反省からか、高倉麻子監督はワールドカップ出場メンバーを中心に選手を招集した。これまでにも、長く一緒に戦ってきたメンバーだ。しかも、なでしこリーグで4連覇中の日テレ・ベレーザからは11人もの選手が招集されており、クラブでのコンビネーションも生かせるはずだ(先発11人は日テレが4人、INAC神戸が3人、浦和レッズが2人。それにリヨンの熊谷紗希が唯一の海外組)。

つまり、かなり完成度が高い状態からスタートできるのかと僕は思っていた。

だが、やはり「ワールドカップが終わって再出発」という状況だったせいか、チーム作りはいったん振出しに戻ったようだった。日本らしいパスワークはあまり見られず、あちらこちらでミスが多発した。

前半の6分に岩渕真奈が決めた先制ゴールは見事なものだった。右サイドでの菅澤優衣香とのパス交換で抜け出した中島依美がグラウンダーで入れたクロスに、完璧なタイミングで左から飛び込んできた岩渕が合わせたもので、ベテラン同士のさすがの“阿吽の呼吸”だった。

しかし、その後もボールを握って攻めてはいたものの、日本のパスは単純で、また順目のパスが多く、しかもパススピードもないため、いくらパスを回しても相手は難なく対応できてしまった。大きなチャンスと言ったら、後方からトップの菅澤、岩渕へのロングボールからのものだったり、ミドルシュートだったり、いつもの日本らしさからは遠かった。

前半途中から、スタート時にはセンターにいた岩渕を左サイドに回し、サイドにいた長谷川唯をセンターに入れ替えたが、大きな変化もなく前半が終わった。

後半に入ってからも同じような展開が続く。

63分には菅澤に代わって遠藤純が入り、岩渕がワントップに入る……。

CFの人選は、このチームの大きな課題だろう。

ワールドカップの時のCFだった横山久美は今回はメンバー入りせず、代わってなでしこリーグでの得点女王、田中美南が復帰したが、高倉監督の中で田中の序列はまだ低いようで、カナダ戦では終盤の79分からの登場となった。

先発したのは菅澤だったが、ロングボールに抜け出したチャンスがあったくらいで、なかなかトップでボールが収まらず、ターゲットとしても機能しなかった。

それに対して、岩渕は菅澤よりやや下がり気味のセンターでスタートし、前半途中から左サイドにポジションを映し、そして遠藤が入ったのと同時にワントップを務めたが、どのポジションにいてもしっかりボールを収めるテクニックがあり、対人能力も高い。やはり、これからもなでしこジャパンの攻撃は岩渕を軸に考えるしかないだろう。

苦しんだ攻撃陣の中で、一つ光明と言えるのは、相手DFの裏のスぺースを意識して、あまり細かいパスにはこだわらずに、シンプルな形でチャンスを作れたことだ。

ようやく追加点が入ったのは、遠藤が投入され、岩渕がセンターに移った直後の65分。中央で長谷川と岩渕がパス交換して長谷川がミドルシュート。これを相手GKのステファニー・ラベが弾いたところを積めていた籾木結花が強烈に叩き込んだ。

そして、72分には籾木が右サイドから上げたロングボールを絶妙のタイミングで飛び出した岩渕が抜け出して、クロスに長谷川が合わせて3点目。

その後も、81分には遠藤が中央のスペースにシンプルにパスを送り込むと長谷川が独走。最後は戻ってきた相手DFと接触して得点に至らず、長谷川自身も負傷交代を余儀なくされたが、この日のシンプルな攻撃の象徴的なシーンだった。そして、アディショナルタイムにも田中のシュートをGKが弾いたところに途中出場の小林里歌子が決めて、終盤のゴールラッシュを締めくくった。

たしかに、相手の守備ラインの裏を突く速い攻撃は、これまでのなでしこジャパンにはなかった部分で、今後の可能性を感じさせたが、逆に本来の得意な形であるコンビネーションによる崩しはできなかった。これから、CF問題も含めて解決していかなければならないところだろう。

守備面では、CBの2人(熊谷と南萌華)は手堅いプレーができており、カナダの迫力ある攻撃を跳ね返し続け、ほとんど危なげなかった。とくに、若い(20歳)CBの南は安定感抜群で、しかもボールを奪ってからのフィードも正確で、この日の最優秀選手といってもいいようなパフォーマンスを見せた。

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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