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【FIFA U-20ワールドカップ 日本代表インタビュー】どんな形であれ、結果という部分にこだわってやっていきたい~横浜FC・斉藤光毅~
土屋雅史コラム by 土屋 雅史常に自らが立つ今のその先を見据えてきたことは、まっすぐな視線からも十分すぎるほど理解できる。「目の前のことを1つ1つやって、それを乗り越えた先には新しい景色とか、新しい舞台が待っていると自分の中では思っているので、まずは目の前のことを1つ1つ全力でやりながら、見えてきたら獲り続けていくことを自分は考えています」。横浜から世界へ。未来を懸けた斉藤光毅の大いなる挑戦が幕を開ける。
2017年。FIFA U-17ワールドカップのメンバー入りを果たしていた斉藤は、決戦の地であるインドへと飛び立った後に、もともと抱えていた負傷が悪化したため、チームを離脱するという経験を味わった。「メッチャ悔しかったですね」。その一言に様々な心情が凝縮される。16歳の無念は察して余りある。
ただ、経験を無為に終わらせる若者ではない。目前で絶たれた世界への想いを自らのエネルギーに変える。「もともと全力でやっていたのでサッカーに対する意欲はありましたけど、よりハングリー精神が出てきたというか、もっともっと成長したいという向上心は湧いてきましたね」「世界に懸ける想いも一段と強くなりましたし、ケガが治ってからその悔しい想いもあって、もっともっと満足しなくなったというか、あの経験があって、もっともっと上を見れるようになれたかなとは思います」。繰り返される『もっともっと』。これが斉藤の携えた本質を表すキーワードであることは間違いなさそうだ。
今回はアジア予選を勝ち抜き、自ら手繰り寄せた世界大会という側面もある。「難しい試合がすべてでしたし、どこも世界の切符を勝ち獲ろうと全力で来ますし、そういうバチバチの強度の中でプレーできたことは自分にとって価値のあるものでした。自分は3点取れて、その結果は自信を持つことができましたけど、世界大会に出られるという喜びと、絶対メンバーに入らなくちゃいけないという危機感と、そういう気持ちが同時に来ましたね」。予選を戦ったからこそ、より本大会への想いも強くなった。それは彼の周囲も同様である。「今回のメンバーに選ばれて、家族も喜んでいましたね。自分と同じくらい喜んでいたと思います」。家族はもちろん、数多くの彼を信じる人たちの存在が斉藤の今を支えている。
“世界”というフレーズのイメージを問うと、意外な一面も顔を覗かせた。「日本人と全然違う価値観を持っている方々ばかりなので、人間観察というか、そういう部分でも興味は沸きますね。結構人間観察は好きなんです(笑)」。そこからのイメージも続けて語る。「人にもよりますけど、自分が見た海外の方の感じは『物怖じしない』というか、『しっかり自分を持っている』という感覚がありますね」。それはそのまま斉藤のイメージにも重なる。そのことを尋ねられ、「ピッチの上でそんなことを考えていたら良いプレーはできないので、意識するというよりは、自然とそうなっている感じだと思います」ときっぱり答える。穏やかな口調の中に潜む強気が頼もしい。
ジュニアユースから育った横浜FCへの帰属意識も強い。「自分が世界大会で活躍することによって、横浜FCというチームがもっともっと知ってもらえる、広がっていくきっかけにもなると思いますし、いろいろなものを背負ってやれるということを自分の中でしっかり持って、それに見合った活躍をしたいですし、クラブの名前に恥じないように全力でやっていきたいですね」。インタビューの前後。20歳以上も年長の南雄太や、ユースのGKコーチを務める小山健二といった“先輩”たちが、楽しそうに斉藤をイジりにやって来た。クラブの希望とも言うべき彼の活躍を、サポーターも含めた“ハマブルー”の仲間たちは温かく見守っている。
世界の舞台で為すべきことは、自分が一番よくわかっている。「結果を残したいですね。注目されるには結果を出すことが一番いいので、どんな形であれ、結果という部分にこだわってやっていきたいなと思います」。“結果”の意味を問うと、明確な答えが返ってくる。「得点です。アシストもそうですし、目に見える結果というのは大事にしたいですね。その中で犠牲心とかそういうものを持って、チームに貢献したいです」。揺るぎない信念が、済んだ瞳に宿る。
最後に聞いてみる。「自信はありますか?」。即答だった。「あります。かなりあります。メッチャ楽しみです」。ようやく辿り着いた世界への想いと、揺るぎない信念と。未来を懸けた斉藤光毅の大いなる挑戦が幕を開ける。
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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