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サッカー フットサル コラム 2019年5月13日

プレミア連覇を達成したマンCの最終節。番狂わせにも期待したのではあるが……

後藤健生コラム by 後藤 健生
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プレミアリーグ第38節(最終節)では、当然、マンチェスター・シティが優勝を決めるゲームを観戦した。半分は「大番狂わせ=大逆転劇でも起こらないか」という気持ちも持ちながら、である。2位のリバプールとハイレベルなマッチレースを展開し、13連勝中のマンチェスター・シティ。対戦相手のブライトンは17位でようやく残留を決めたばかりのチームだ。勝敗の帰趨は明らかのように思える。だが、そこはサッカーという番狂わせの起こりやすい競技のことである。

なにしろ、このところ信じがたいような大逆転劇を何度も目にしていたので「また何かあるのでは?」という気にもなったのだ。しかも、なにしろブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCのホームであるアメックス・スタジアム(ファルマー・スタジアム)は、4年前の9月にラグビーのワールドカップで日本代表が南アフリカ代表に逆転勝ちした舞台となったスタジアムだ。日本人としては“逆転”のイメージが残っているわけである。

マンチェスター・シティとリバプールの勝点差はわずかに1。したがって、リバプールが勝利するとすれば、もしマンチェスター・シティが引き分けに終れば逆転成立である。プレミアリーグ17位のブライトンがマンチェスター・シティに勝利することはかなり難しいことではあろうが、ブライトンが引き分けに持ち込むことは十分に可能なことのように思える。

もちろん、マンチェスター・シティの選手たちがプレッシャーに押しつぶされるとは思えなかった。むしろ、危険なのは簡単に勝てると思って気持ちが緩んでしまうことだったのではないか。実際、試合前の現地からの映像を見ても、何かお祭り騒ぎ的な雰囲気だった。選手たち、そしてペップ・グアルディオラ監督も笑顔が見えている。

1月のアジアカップの決勝を前に、日本代表の選手たちや森保一監督の顔に笑顔が見えて、「気持ちが緩んでいるのでは?」と思ったことがあるが、実際、そのときには日本はカタールによもやの敗戦を喫している。そんなことまで思いだしてしまった。

この日は初夏の暖かい日差しが降り注いでいるが、こういうのどかすぎる気候も気持ちを緩ませてしまうもの。スタンドでも、「もう優勝はもらった」といった表情のサポーターが多く、そういう目で見ているからではあるが、僕は何か逆転劇が起こっても不思議ではない雰囲気を感じていた。

試合が始まっても、マンチェスター・シティのプレーにはやはりどこかに緩みが感じられた。9分には深い位置にいたアリレザ・ジャハンバフシュにパスが通り、DFの寄せが遅れてそのままシュートを打たせる場面がった。その後も、マンチェスター・シティが圧倒的なポゼッションで攻め込んでいるが、なかなか決定機を作れない。

中盤の底にいるイルカイ・ギュンドアンがうまくパスを散らし、ベルナルド・シウヴァやダビド・シルバなどが相手ゴール前に進入。さらに、ラヒーム・スターリングやリヤド・マフレズが深い位置に進入してパスを引き出して、マンチェスター・シティは論理的に攻めるのだが、なにしろブライトンは両サイドハーフも守備に戻り、4人のDFラインの前に5人のラインを作ってゴール前にバスを2台くらい並べてしまったのだ。そう簡単に攻め崩せるものではない。

そして、17分にはリバプールが先制したというニュースが届き、さらに27分にはなんとブライトンが先制ゴールを決めた。パスカル・グロスが蹴った左CKを、ワントップのグレン・マリーがヘディングで決めたのだ。さすがに、この瞬間にはグアルディオラ監督の顔にも不安の表情が浮かんだ。

しかし、幸いなことにマンチェスター・シティにはまだ60分以上の時間が残されていたのだ。そして、実際、わずか1分後にマンチェスター・シティは同点ゴールを決めてしまう。エメリク・ラポルトの縦パスをダビド・シルバがヒールでコースを変えてセルヒオ・アグエロにつなぎ、アグエロがGKの股を抜いて決めた見事なゴールだった。

もちろん、同点にしただけではまだ優勝は決まらないのだが、マンチェスター・シティにとって一番怖い状況は、なんとなく攻め込んでいるのに得点できずにスコアレスのまま時間だけが経過するという展開だった。早い時間にブライトンが先制ゴールを決めてくれたおかげで、試合が動き、マンチェスター・シティの選手たちもようやく目が覚めたようだった。38分には、リヤド・マフレズが切り返しからのシュートでCKを獲得。そのCKをマフレズ自身が蹴って飛び込んできたラポルトの頭にぴたりと合わせて、マンチェスター・シティがついに勝ち越した。

それでも、1点差の状態であれば、まだ何が起こるか分からなかったが、後半に入って63分にマフレズが得意の左足のシュートと見せて、DFがスライディングしたところを切り返して右足でミドルシュートを決めて、試合の勝敗と、リーグ優勝のタイトルの行方を決めた。マフレズは、最後に大きな仕事をした。

結局、多少の番狂わせの期待も持たせながらも、最後はマンチェスター・シティの強さを見せつけたという楽しい展開のゲームだった。

「大逆転劇を期待していた」などと意地悪なことを何度も書いたが、僕はマンチェスター・シティは嫌いなクラブではない。1972年の秋に、生涯で初めて海外のサッカーを生で観戦したのがマンチェスター・シティの試合(ハイブリーでのアーセナル戦)だったし、イティハド・スタジアムに移転する前のメインロードでも2部リーグにいた頃のマンチェスター・シティの試合を観戦したこともある。

ブライトンに勝ってプレミアリーグで2連覇という偉業を達成したマンチェスター・シティは、来週にはFAカップ決勝も残されており、これに優勝すればリーグカップと合わせて国内3冠となる。驚くべき強さである。

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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