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サッカー フットサル コラム 2019年2月27日

大激戦で終わったFリーグ・プレーオフ。さらなる発展のためには、サッカーとの交流拡大を

後藤健生コラム by 後藤 健生
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Fリーグ(日本フットサルリーグ)プレーオフ決勝戦、名古屋オーシャンズ対シュライカー大阪の対決は想像以上の大接戦となり、1勝1敗・得失点も5対5とまったく互角の成績となり、規定によりリーグ戦で首位だった名古屋オーシャンズが2018-19年シーズンの王者となった。

第1戦では大阪が3対2と接戦を制して、「絶対王者」の名古屋にプレッシャーをかけたが、第2戦では名古屋が3点を奪って力を見せつけたかと思われた。だが、残り4分を切ってからパワープレーを仕掛けた大阪が2点を返し、最後までスリリングな展開となった。

名古屋オーシャンズは33戦28勝5分(無敗)という圧倒的な成績でリーグ戦を首位で終えていた。2位のシュライカー大阪とは、なんと勝点で23もの大差だったのだ。名古屋と大阪の直接対決も名古屋の3連勝に終わっている。

圧倒的な力の差かと思われたのだが、そこがプレーオフ、つまり一発勝負(厳密には「二発」だが)の怖さだ。3年前のJリーグで、リーグ戦で首位だった浦和レッズがチャンピオンシップで鹿島アントラーズに敗れて、「プレーオフ制度って何なんだ?」という疑問の声が沸き起こったが、もし、大阪が「あと1点」を奪って名古屋を倒していたとしたら、やはり「リーグ戦は、何のためにやっているんだ」と言われかねない状況だった。

一方で、プレーオフが大接戦となったことは、フットサル界全体のことを考えたら歓迎すべきことだっただろう。何しろ、Fリーグは発足以来12シーズンで11回は名古屋が優勝している。リーグ戦でも、名古屋が独走してしまい、「優勝争い」という楽しみがないのが現状なのだ(唯一、名古屋がタイトルを失った2016-17年シーズンの優勝がシュライカー大阪)。

今年のプレーオフが大接戦となった一つの原因は、リーグ戦首位のチームは準決勝がなく、試合から遠ざかった状態で戦わざるをえなかったことだ。2位の大阪は前の週にリーグ戦3位の立川・府中アスレティックFCと準決勝2試合を戦っていた。

第1戦は「11対4」という、信じられないようなスコアで大阪が勝利。第2戦はキックオフ直後から立川・府中がパワープレーに出て6対2と追い上げる激しい準決勝だった。

大阪は、そこで「やることなすこと、すべてがうまくハマる」快勝と、相手の猛攻をしのぎながらカウンターで点をとって第1戦でのリードを守るという2つの異なった試合を経験したのだ。しかも、普段のリーグ戦にはないような激しい試合だった。

あれだけ激しい戦いを繰り広げたのだから、疲労も残っていただろうが、それ以上に前週に試合のなかった名古屋に対して、試合に対する研ぎ澄まされた感覚を持って戦えた。それこそが、大阪の大善戦の原因だったように思う。

ところで、これだけの大接戦を演じたのに、名古屋ホームで行われた決勝戦の観衆は第1戦が1471人、第2戦が1974人。また、東京での準決勝も1069人、1255人にとどまっており、2000人に達した試合がなかったのだ。

Fリーグ発足以来、順調に進んできたフットサル界は、このところ頭打ち状態にあると言ってもいい。

2016年のフットサル・ワールドカップでは、日本代表がアジア予選でよもやの敗退を喫してしまったし、Fリーグも観客動員が伸びずに運営に苦しんでいる。日本サッカー協会は2020年のフットサル・ワールドカップの招致を目指したが、失敗に終わってしまった。新たな施策が求められる。

もちろん、一番大事なのは競技レベルの向上だ。たとえば、今シーズンのプレーオフの4試合のような迫力のある大接戦が見られれば、観客は自ずと増えてくるだろう。フットサルは参加するスポーツとしては広く認知されているが、残念ながら見るスポーツとしてはまだまだ小さな存在にすぎない。だが、今回のプレーオフのような試合が続いたら見ていて面白いことは間違いない。

観客動員の拡大ということを考えると、フットサルには他のスポーツにはない「資源」がある。つまり、サッカーのファン、サポーターがフットサル会場に足を運ぶようになれば、アリーナはすぐに満員になるはずだ。

ルールは違っても、同じサッカーの仲間なのだから、サッカーを知っている人が見ていれば試合を理解することは容易だ。冬のJリーグがオフの期間に試合観戦ができずにウズウズしているファンは多いはずだ。そうした人たちに働きかける方法を考えるべきだろう。

なんらかの大会を設けて、Jリーグのクラブ(選手)も参加させれば、サッカー・ファンの間にもフットサルを認知してもらうことができるのではないか。また、湘南ベルマーレのようにJリーグ・クラブがフットサル・チームを持つようになれば、両者の交流にはプラスになるだろう。

ブラジルなどでは子供のうちは11人制のサッカーとフットサルの両方をプレーすることが当たり前なのだと聞く。フットサルをプレーすることは、サッカー選手としても学ぶことが多いはずだ。

狭いコートの中で行われるフットサルではスペースのない中でのプレーが要求される。サッカーで言えば、ゴール前の混戦の中で正確なシュートを打つ技術に繋がるはずだ。また、選手間の距離が短いフットサルではパスの正確性がもとめられる。速いパスを通すには、受け手の右足、左足のどちらに付けるかまで意識しないといけないのがフットサルだ。

また5人制で、フィールドプレーヤーは4人で戦うフットサルでは、たった一つのミスが命取りになり、一人がサボったら敗戦につながるのだ。

フットサルとサッカーの交流を盛んにすることは、両者にとって得る者が大きいと思うのだが……。

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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