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サッカー フットサル コラム 2018年10月31日

新スタジアム完成の遅れで苦しむトッテナム。マンチェスター・シティ戦は激しく、タフなゲームに・・・

後藤健生コラム by 後藤 健生
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プレミアリーグの第10節。上位対決のトッテナム・ホットスパー対マンチェスター・シティの一戦は非常に激しく、タフなゲームとなった。

ともにパスをつなぐテクニカルなチームのはずだが、この試合に限っては前線からのプレスや中盤での激しい攻防が目立つ試合だった。もちろん、そんな中でもしっかりボールを収めたり、パスをつないだりして相手守備陣を引きはがしていくテックニックは素晴らしいものがあったが……。

試合は、立ち上がりの6分にマンチェスター・シティに先制ゴールが生まれ、そして、それが決勝点となった。

GKエデルソンからのロングボールをトッテナムのDFキーラン・トリッピアが頭に当ててそらすミスがあり、拾ったラヒーム・スターリングが深い位置まで持ち込んで戻したボールを、走り込んだリヤド・マフレズが決めたものだ(トリッピアは、頭でGKにバックパスをしようとしたのかとも思えるが、頭でのバックパスにはあまりにも距離があった)。

その後は激しいプレスをかいくぐって、互いにチャンスを作りあう展開ながら、ともにシュートを決めることができず、マンチェスター・シティが勝利して首位の座を守った。90分間を通じてのシュート数はトッテナムの4本に対してマンチェスター・シティは13本。枠内シュートは1本対6本。試合内容はそれほどの差はないとしても、マンチェスター・シティが優位に進めていたのは間違いない。

それにしても、激しい試合だった。両チームで最も目立ったプレーがトッテナムでは重量級のMFムサ・シソコの強引なドリブルであり、マンチェスター・シティの方もスターリングのドリブル突破だった。

もちろん、そんな激しいプレーの中でも、プレッシングをかわし、また狭いスペースにパスを通して相手の守備を文字通り引きはがしていくテクニックは素晴らしく、それはそれで相当見ごたえのあるしあいではあったのだが、期待されたようなパス・サッカーではなかったのも事実だ。

そんな展開になった原因の一つがウェンブリー・スタジアムのピッチ・コンディションだった。

ウェンブリーでは、なんと前日にNFL、つまりアメリカン・フットボールの公式戦が行われていたのだ。

アメリカ最大の人気スポーツであるアメリカン・フットボールの最高リーグであるNFLは海外進出を目指しており、ヨーロッパ各国で試合を行っている。今シーズンもロンドンで数試合が計画されており、トッテナム対マンチェスター・シティ戦の前日にはウェンブリーでフィラデルフィア・イーグルス対ジャクソンビル・ジャガーズの試合が行われたのだ。

そもそも、本当であればトッテナムの試合は今頃は新しいホーム・スタジアムで行われているはずだった。ところが、開場が遅れてしまい、昨シーズンに引き続いてトッテナムはウェンブリーでホームゲームを行わざるを得なくなってしまっているのだ。その結果、NFLの公式戦の翌日に試合を行う羽目となり、センターサークル付近にNFL(ナショナル・フットボールリーグ)のロゴが大きく描かれたままで試合を行わざるをえなかったのだ。

アメリカン・フットボールというスポーツでは、ボールがサイドに展開しても、次のダウンは中央付近にボールを戻して再開するから、ピッチ中央の芝生があれてしまう。そして、タッチラインの外には控え選手やスタッフ数十人が待機しているから、ラインの外の芝生も荒れてしまう。

そんなピッチ・コンディションでも、さすがにプレミアリーグ上位の両チームの選手たちはさほど苦にしていないようにも見えた。テクニックのレベルが高ければ、どんなコンディションでもしっかりとプレーすることはできるのだ。ただ、ボールが跳ねるため、より慎重にボールを扱わざるを得ず、当然パスの回り方は普段よりも遅くなってしまう。また、せっかくのチャンスという場面でボールが跳ねてしまってシュートが浮いてしまうような場面も何度かあった。

やはり、高いレベルのアソシエーション・フットボールをするには、美しいピッチは不可欠だ。

さて、センターサークル付近のNFLのロゴとともに、ピッチ上には5ヤード毎のラインがくっきりと描かれていた。見た目に邪魔なラインではあったが、考えてみたら、あの5ヤード毎のラインはサッカー観戦のためにも役に立つような気がした。

たとえば、FKの場面でカベが10ヤード離れているかどうか、あのラインがあればスタンドからでもよく分かる。また、ロングシュートが決まると、よく記者席で「今のは何メートルあった?」といった言葉が飛び交うことがあるが、もし、あのアメリカン・フットボールのラインが描いてあったら、ロングシュートの距離も一目瞭然ということになる。

いずれサッカーでもあのラインを取り入れてもいいかもしれない……。

サッカーのピッチ上のラインの中ではセンターサークルの円とペナルティ・エリア外に描かれている円弧(いわゆる「三日月」)は、他のスポーツには見られない独特のラインだ。デザイン的にはとても美しい円弧なのだが、実際に役に立つのかといえば、センターサークルはキックオフの時に相手が10ヤード離れているか否かが分かるだけのこと。「三日月」も、1試合に1回あるかないかのペナルティキックの時にしか役に立たない。

そんな大して役に立たない円弧を描くよりも、あのアメリカン・フットボールの5ヤード毎のラインの方がよほど実用的に思えるわけだ。第一、芝生の上にラインを描く作業を考えても、円弧を描くより、直線を描く方がやさしいだろう。

……と、トッテナム対マンチェスター・シティの試合を見ながら、余計なことばかり考えてしまった。

とにかく、トッテナムの新スタジアムが早く使えるようになるといいのだが……。

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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