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サッカー フットサル コラム 2018年7月25日

サッリ新監督体制で新シーズンに挑むチェルシー。アザール、クルトワらの去就はいかに

元川悦子コラム by 元川 悦子
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アントニオ・コンテ監督体制1年目だった16-17シーズンに2シーズンぶりのイングランド・プレミアリーグ制覇を果たしたチェルシー。しかし翌17-18シーズンは5位に沈み、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場権を逃す結果に終わった。これを重く見たクラブ側が2018年ロシアワールドカップ期間中の7月14日にコンテ監督を解任。2015年夏から3シーズン、ナポリを率いていたマウリツィオ・サッリ新監督を据えて、新たなスタートを切ることになった。

新シーズンは8月11日のハダーズフィールド戦から始まるが、それに向けてチームは今、大きな問題に直面している。ロシアワールドカップで大活躍したベルギー代表のエデン・アザールとティボ・クルトワの2人に加え、ブラジル代表としてロシアに赴いたウィリアンの主力3人を揃って流出する危機に瀕しているのだ。アザールとクルトワはレアル・マドリード、ウィリアンはバルセロナ移籍が取り沙汰されている。本人たちもかなり乗り気の様子で、実現可能性は非常に高そうだ。

しかしながら、攻撃で違いを作れるアザールとウィリアン、最後の砦としてゴール前に君臨するクルトワが揃っていなくなったら、コンテ体制の遺産が失われてしまうと言っても過言ではない。新指揮官としては前任者の築いたベースを生かしながらチームを作りたいはず。そのためにも3人を残留させることは絶対条件と言っても過言ではない。イングランドの現地メディアによれば、サッリ監督は彼らが合流する今月末に直接会談を持つ意向のようだが、果たしてその結果はどうなるのか。それが再浮上を目論む今季チェルシーの重要なカギになるだろう。

昨季5位に沈んだ彼らの戦いを改めて振り返ると、総得点が62、総失点が38とビッグ6と言われるチームの中でゴール数が最も少なかった。3バックをベースにしたコンテ監督は中盤にもエンゴロ・カンテ、セスク・ファブレガス、ティエムエ・バカヨコという3ボランチを配することが多く、強固な守備組織を構築することを第一に考えていた。その成果は昨季もある程度は出ていたものの、ゴール数が少なければ勝ち点を伸ばすことはできない。チーム最多得点者が12点のアザールで、後に続くアルバロ・モラタの11点、オリヴィエ・ジルーの7点という数字を見ても明らかに物足りない。

昨季得点王に輝いたモハメド・サラー(リバプール)は32点、2位のハリー・ケイン(トッテナム)は30点で、アザール・モラタ・ジルーの合計得点を1人で叩き出している。そういう傑出した点取り屋が出現しなければ、チェルシーが再び頂点に立つのは難しい。ロシアの大舞台で輝きを放ったアザールはそれだけの可能性を秘めた選手ではある。だからこそ、新指揮官は引き留めに必死になっているのだろう。

仮にアザールが出ていくことになると、チェルシーは新たな得点源を考えなければいけなくなる。昨季途中から不振に陥り、ロシア大会でのスペイン代表入りを逃したモラタの復調はもちろんのこと、昨季途中からボルシア・ドルトムントへレンタル移籍していたミシー・バチュアイのブレイクにも大きな期待が寄せられる。

バチュアイは冬に渡ったドイツで半年間で7ゴールと気を吐いていて、再び戻ってきたプレミアでの再起に賭けているはずだ。ロシアでもロメル・ルカク(マンチェスターU)の控えに甘んじて、持ち味を出し切れなかっただけに、今季は勝負するしかない。モラタ、ジルーもいるだけに、サッリ監督が彼をどう位置づけるか不透明な部分があるが、彼ら3人をどう使いこなしていくかを含めてFW陣の起用法が1つ、気になるところだ。

アザールは単にゴールを奪えるだけでなく、ドリブルでのチャンスメークができ、チーム全体に推進力をもたらせる選手。その代役はそう簡単に見つかりそうもない。チェルシーは今季に向けてレンタルに出していた複数のMFを戻しているが、昨季オランダ1部で14ゴールを挙げたマルコ・ファン・ヒンケルは少し期待が持てるかもしれない。これまでチェルシーからACミラン、ストーク、PSVに3度レンタルされてきた苦労人だが、まだ年齢は25歳。これまでの経験値を生かして新体制で躍進できるかもしれない。指揮官が変われば、そういう意外な選手が一気に頭角を現す可能性もある。

いずれにしても、アザールやクルトワ、ウィリアンが残るか否かで今季チェルシーの動向は大きく変わるはず。8月11日の新シーズン開幕に向けて、そこをしっかりと見極めていきたいものだ。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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