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サッカー フットサル コラム 2018年4月23日

FAカップも敗退。ハリー・ケインを擁しながら今季も無冠に終わったトッテナム。

元川悦子コラム by 元川 悦子
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イングランド・プレミアリーグで15-16シーズンに3位、16-17シーズンに2位と着実に順位を上げていたトッテナム。2014年夏から指揮を執るマウリシオ・ポチェッティーノ監督体制のチームも完成度が高まり、今季は58年ぶりのプレミア制覇も夢ではないと目されていた。

しかしプレミアの方はマンチェスター・シティの独走を許し、トッテナムは2位争いを繰り広げるので精一杯の状況になっている。 34試合終了時点では2位のマンチェスター・ユナイテッドと勝ち点6差。1試合消化の多い3位・リバプールとも3差の4位に甘んじている。リバプールは射程圏内だとしても、2位のマンチェスターUを追い落とすことは難しい。どうやら3位がマックスの順位になりそうだ。

2月25日のファイナルでマンチェスターCがアーセナルを撃破し、手にしたリーグカップの方も、4回戦でウエストハムに敗戦。早々とタイトルから遠ざかっている。 そんな彼らにとって、FAカップは唯一残された希望だった。準決勝まで勝ち上がり、4月21日に挑んだ相手はマンチェスターU。ポチェッティーノ監督は4-2-3-1の布陣で挑んだ。最前線にエースFWハリー・ケインを据え、2列目はクリスティアン・エリクセン、デレ・アリ、ソン・フンミンという決定力あるアタッカー陣が並ぶ。

ジョゼ・モウリーニョ監督率いるマンチェスターUの堅守をどうこじ開けるかが第一テーマだったが、開始早々の11分にアリが早々と先制弾を挙げることに成功する。右サイドをタテに抜け出したエリクセンのクロスに、アリがファーから一気に走り込んできて左足を一閃。非常にダイナミックな得点で、ウェンブリースタジアムも大いに沸いた。

ところが、この13分後、彼らは同点に追いつかれてしまう。左サイドでムサ・デンベレからボールを奪ったポール・ポグバの素早いクロスに逆サイドから侵入したアレクシス・サンチェスがゴール。この抜け目のなさにトッテナムはやられる格好となった。

前半を1-1で折り返した後半、勝負を決めたのはマンチェスターUだった。後半17分、ロメル・ルカクが競って落とし、左サイドでサンチェスがキープ。リターンを受けたルカクが右から上がってきたアンデル・エレーラにラストパスを送り、背番号21がゴール。この巧みな崩しにトッテナム守備陣は与えてはいけない2点目を献上してしまった。結局、この追加点が致命傷となり、トッテナムは4強で敗退。ラストタイトルの可能性もついえた。

今季のスパーズには、ここまでリーグ26得点を挙げているケインを筆頭に、12ゴールのソン・フンミン、10ゴールのエリクセン、8ゴールのアリと得点源が複数いる。リーグ通算得点も66と2位のマンチェスターUを上回っている。総失点の31という数字もビッグ6の中では上から3番目。にもかかわらず、目下4位というのは、やはり伝統と言われる「勝負弱さ」が大きいのだろう。

24歳のケインとダイアー、22歳のアリ、21歳のダビンソン・サンチェスに象徴される通り、今のスパーズの主力は20代の前半が多い。その若さは好調時には勢いや爆発力につながるのだが、重圧のかかる大舞台だとマイナスに作用しがちだ。実際、彼らはビッグ6との直接対決で分が悪く、アウェーにも弱い。確実に勝ち星が欲しい時に勝ち切れないのが、頂点まで突き抜けられない1つの要因だろう。

UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)で1次ラウンドを勝ち上がり、ラウンド16でユベントスと対戦した時も、敵地でアウェーゴール2を奪っておきながら、ホームで1-2とまさかの苦杯。8強入りの道を断たれている。この時もプレッシャーへの弱さを露呈している。UCL4強まで勝ち上がっているリバプールなどは、大味な戦いをすることが多いのに、勝ち切る力はある。そこはユルゲン・クロップとポチェッティーノ監督の手腕の差かもしれない。選手たちをどこまでも貪欲にさせるアプローチを指揮官は追求していくべきだろう。

今季は新スタジアム建設のため、長年戦ってきたホワイトハートレインでゲームができないというマイナス面もあったが、その壁はある程度、乗り越えることができた。だからこそ、来季以降はもう一段階、タフな軍団へと脱皮を図ることが肝要だ。 今季の残り試合はプレミアの4試合のみ。対戦相手は全て格下だ。ここで4連勝し、1つでも順位を上げてフィニッシュすることが先への飛躍につながる。ケインのような優れたタレントを擁するチームだからこそ、無冠のままではもったいない。彼らには「足りないものを探す旅」を続けてほしいものだ。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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