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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
12月15日に東京・目黒の自転車総合ビルに於いて、東京五輪日本ナショナルチーム監督の浅田顕氏が代表を務める「シクリズム・ジャポン」より、新プロジェクト「ロード・トゥ・ラヴニール」の詳細が発表されました。
本プロジェクトの詳細は、すでに多くのサイクルメディアなどで報じられておりますので、ここでは栗村の主観による本プロジェクトの「まとめ(1分でわかる"ロード・トゥ・ラヴニール")」をお伝えしてみたいと思います。
「プロジェクトの概要(栗村なりに噛み砕いてみました)」
◯メインターゲットは日本人選手の発掘・育成で、最終的に育てた選手をUCIワールドチームへ送り込むことが目的(一過性ではなく継続的なシステムの構築)
◯本プロジェクト内ではツール・ド・フランス出場を目指すトップチームの運営は含まれていない(本プロジェクト構築後に別途プロチーム結成準備へ)
◯本プロジェクトは3つの重要規則(①世界標準のパスウェイ、②7つの活動の専門化と連鎖化、③正しい評価でステップアップ)を守りながら2028年以降のプロ契約選手輩出が目標
◯2028年以降も本プロジェクトを日本の発掘&育成のベースプロジェクトとして継続的に稼働させていく
◯プロジェクト名の「ラヴニール」は「U23版ツール・ド・フランスのツール・ド・ラヴニール」を指しており、「このレースで活躍=プロ契約の確率がかなり高まる=日本の野球界に例えると甲子園と同様」というメッセージ性が含まれている
◯本プロジェクトが目指す「プロ契約」とは「UCIワールドチーム及びUCIプロチーム」が対象(UCIコンチネンタルチームはプロとして定義していない)
◯現在、日本国内で定まっていない「①世界標準のパスウェイ(どうやったら真っ当な道筋でプロ選手になれるのか)」をメディアを通じて周知していく
◯同様に世界標準の評価基準も周知していく(どんな選手が強いと評価されて逆にどんな選手が評価に値しないのかを共有)
まずは栗村なりに概要をまとめてみました。
そしてここでは敢えて具体的な「手段」については触れないことにしました。
なぜなら具体的な手段についてはこれから各分野の専門家を巻き込みながら試行錯誤しつつ構築していきたいと発言されていたからです(具体的な手段を書くと主要メッセージがボヤけるので)。
改めて簡潔な言葉で表現するならば、本プロジェクトは「既存の海外UCIワールドチームに"表玄関"から入団できる真の日本人プロ選手の発掘&育成とその具体的な方法の構築&周知」を行う取り組みといった感じです。
私自身、日本のロードレース界を「総論賛成(ツール・ド・フランスを目指すことは賛成)・各論反対(そのやり方じゃ無理だろとお互いが主張し合う)」の負のスパイラルが長らく渦巻いている状態と表現してきました。
浅田代表が目指すやり方というのは、「真っ向勝負」「曲がったことが嫌い」「近道も許容せず」といった理想論がベースになっています(すみません言い切りました)。
但し、なにが「標準」なのかすらわかっていない日本のロードレース界に、まずは「真っ向勝負」がなんたるかを知らしめ、それをベースに既存のレースやチームなどをアジャストしていき、ここぞというところで「近道」などの手段を一発ぶち込むやり方を全体共有するべきなのではと強く感じている次第です。
浅田代表のプランが完全無欠のパーフェクトパッケージだと主張するつもりはありませんが、しかし、日本のロードレース界が「真のスタート地点に立つ」ための重要な道標であることは間違いないとも思っています。
いま一番大切なことは、皆がひとつにまとまり、そして、なにが標準なのかを認識することです。