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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
「第109回 ツール・ド・フランス」は、アルプス山脈と中央山塊を巡る2週目を終え、ピレネーでの最終決戦を前にフランス南部にある「丘の町」カルカッソンヌで最後の休息日を迎えています。
開幕直後から王者ポガチャルの強さが光る中で迎えた最初の決戦の場アルプスで、無慈悲なユンボ大作戦が決行されました!
多くの人が「今年もポガチャルだな」と心の中で感じていたであろう状況のなか、今ツールを大きく揺るがす白熱の戦いが展開されました。
ということで、3度目の月曜日の成績と各チームの戦力分析をサッとおさらいしていきたいと思います!
まずは大きな変動の起きた第10〜15ステージのレース結果を改めて振り返ります。
◯第10ステージ結果(飛行場にフィニッシュする丘陵ステージ)
1位 CORT Magnus/EF
2位 SCHULTZ Nick/BikeExchange
3位 SÁNCHEZ Luis León/Bahrain
「アルプスでの重要な2日間を前にした休息日明けの第10ステージは、最大25名となった逃げ集団が逃げ切る展開となり、サバイバルな展開から途中何度も遅れかけていたMコルトが最後の最後に上がってきて、フィニッシュ直前でNショルツを僅差で差し切り、自身2度目となるツールのステージ優勝を掴み取りました。一方、逃げに乗ったLケムナはあと少しのところでマイヨジョーヌ獲得を逃しています」
◯第11ステージ結果(今ツール最初の超級フィニッシュステージ)
1位 VINGEGAARD Jonas/Jumbo
2位 QUINTANA Nairo/Arkéa
3位 BARDET Romain/DSM
「超級山岳グラノン峠にフィニッシュするアルプスの難関ステージ。ここまで完璧な走りを披露してきたTポガチャルを崩すべくユンボ・ヴィスマ勢がガリビエ峠で猛攻を仕掛けます。PログリッチとJヴィンゲゴーが交互にアタックをかけますが、王者Tポガチャルは崩れず、逆に"攻撃は最大の防御なり"と言わんばかり積極的に反撃にでます。しかし、この走りが影響したのか、最後のグラノン峠でJヴィンゲゴーの渾身のアタックにTポガチャルはついていけず大きく失速。そのままJヴィンゲゴーが自身初のステージ優勝を飾ると共にマイヨジョーヌを獲得しました。一方、Tポガチャルは2分51秒遅れのステージ7位と大きく崩れ、総合でも3位に順位を下げました」
◯第12ステージ結果(1986年を再現した今年のクイーンステージ)
1位 PIDCOCK Thomas/INEOS
2位 MEINTJES Louis/Intermarché
3位 FROOME Chris/Israel
「前日に続き超級山岳(ラルプデュエズ)にフィニッシュする今年のクイーンステージ。ステージ優勝争いは、9名の逃げ集団の中からラルプデュエズで抜け出した五輪MTB金メダリストのTピドコックが、追いすがるLメインチェスと、復活の走りをみせるCフルームをジリジリと引き離すクライミングをみせ、ツール初出場ながら伝説のラルプデュエズを制するという驚きの走りで見事ステージ優勝を飾りました。一方、総合争いはTポガチャルの攻撃を抑え込んだJヴィンゲゴーが危なげなくマイヨジョーヌをキープしています」
◯第13ステージ結果(逃げ屋vsスプリンターチームの平坦ステージ)
1位 PEDERSEN Mads/Trek
2位 WRIGHT Fred/Bahrain
3位 HOULE Hugo/Israel
「屈強なスピードマン7名で形成された先頭集団とスプリンターを勝たせたいチームの仁義なき追いかけっとなったアップダウンのある平坦ステージ。スプリンターチームがなんとか先頭集団を抑え込むかと思われましたが、プロトンを積極的に引いていたロット・スーダルのエースであるCユアンがコーナーで落車。これをきっかけに追走のバランスが崩れて追いかけっこの軍配は先頭集団にあがります。そして、ラスト12kmで先頭集団からMピーダスンがアタックをかけて人数を3名に絞り、最後は余裕のスプリントでツール初ステージ優勝を飾りました」
◯第14ステージ結果(ジャラベール山にフィニッシュする丘陵ステージ)
1位 MATTHEWS Michael/BikeExchange
2位 BETTIOL Alberto/EF
3位 PINOT Thibaut/Groupama
「距離は長くないもののパンチの効いた上りとなる"ジャラベール山"にフィニッシュする第14ステージ。逃げを容認された巨大な23名の逃げ集団から、残り50kmほどを残した早めのタイミングでここのところなかなか勝てていないMマシューズがアタック。後ろから追いついてきた2名と共にジャラベール山に突入し、追い上げてきたAベッティオールに一時交わされるものの、カウンターで再び先頭に立ち、実に5年ぶりとなるツールステージ優勝を飾りました。総合争いは、マイヨジョーヌを着るJヴィンゲゴーが何度も仕掛けてくる総合2位のTポガチャルをピッタリとマークしてタイム差無しでフィニッシュ。二人のタイム差は2分22秒と依然大きなままとなっています」
◯第15ステージ結果(簡単ではないスプリンター向け平坦ステージ)
1位 PHILIPSEN Jasper/Alpecin
2位 VAN AERT Wout/Jumbo
3位 PEDERSEN Mads/Trek
「酷暑が続くなかで開催された休息日前の第15ステージ。暑さで選手たちの集中力が低下しリーダーチームのユンボ勢が途中2度の落車。有能な山岳アシストで総合13位につけていたSクライスヴァイクが骨折でリタイアとなります。また、マイヨジョーヌを着るJヴィンゲゴーも落車しましたが、こちらは幸い大きな怪我なく集団に復帰しました。この日、怪我をおして走っていたPログリッチがDNSとなったので、最終週に向けてユンボの戦力低下が心配な感じです。一方、この日のステージ優勝争いは、今ツールでまだステージ優勝がないフランス勢が終盤に飛び出し、Bトマがラスト1km過ぎまで逃げる力走をみせましたが、結局集団に捕まり、最後はこれまで2位や3位が多かったJフィリップセンがようやくトップでフィニッシュラインを超え、待望のツール初ステージ優勝を飾りました」
◯第15ステージ終了時点個人総合時間順位
1位 VINGEGAARD Jonas
2位 POGAČAR Tadej 2:22
3位 THOMAS Geraint 2:43
4位 BARDET Romain 3:01
5位 YATES Adam 4:06
6位 QUINTANA Nairo 4:15
7位 MEINTJES Louis 4:24
8位 GAUDU David 4:24
9位 PIDCOCK Thomas 8:49
10位 MAS Enric 9:58
11位 VLASOV Aleksandr 10:32
12位 LUTSENKO Alexey 11:23
13位 POWLESS Neilson 18:11
14位 JUNGELS Bob 23:19
15位 MADOUAS Valentin 27:10
16位 SÁNCHEZ Luis León 27:44
17位 PINOT Thibaut 27:48
18位 KONRAD Patrick 30:52
19位 MAJKA Rafał 34:14
20位 CARUSO Damiano 44:45
◯第15ステージ終了時点ポイント賞
1位 VAN AERT Wout 378p
2位 POGAČAR Tadej 182p
3位 PHILIPSEN Jasper 176p
◯第15ステージ終了時点山岳賞
1位 GESCHKE Simon 46p
2位 MEINTJES Louis 39p
3位 POWLESS Neilson 37p
◯第15ステージ終了時点ヤングライダー賞
1位 POGAČAR Tadej
2位 PIDCOCK Thomas 6:27
3位 MCNULTY Brandon 57:43
◯第15ステージ終了時点チーム総合時間順位
1位 INEOS Grenadiers
2位 Jumbo-Visma 35:16
3位 Groupama 39:29
続きまして、チーム単位での戦力分析(第15ステージ終了時点)です。
◯UAE Team Emirates
POGAČAR Tadej 2勝 総合2位 ヤングライダー
MAJKA Rafał 総合19位
LAENGEN Vegard Stake DNS Stage8
BENNETT George DNS Stage10
◯Jumbo-Visma
VAN AERT Wout 2勝 ポイント賞
VINGEGAARD Jonas 1勝 総合1位ROGLIČ Primož DNS Stage15
KRUIJSWIJK Steven DNF Stage15
◯INEOS Grenadiers
THOMAS Geraint 総合3位
PIDCOCK Thomas 1勝 総合9位
YATES Adam 総合5位
◯AG2R Citroën Team
JUNGELS Bob 1勝 総合14位BOUCHARD Geoffrey DNS Stage8
O'CONNOR Ben DNS Stage10
NAESEN Oliver DNF Stage 11
◯BORA - hansgrohe
VLASOV Aleksandr 総合11位
KÄMNA Lennard
KONRAD Patrick 総合18位
VAN POPPEL Danny
◯Quick-Step Alpha Vinyl Team
JAKOBSEN Fabio 1勝
LAMPAERT Yves 1勝ASGREEN Kasper DNS Stage9
MØRKØV Michael OTL Stage15
◯Movistar Team
MAS Enric 総合10位
JORGENSON Matteo
◯Cofidis
GESCHKE Simon 山岳賞
THOMAS BenjaminMARTIN Guillaume DNS Stage9LAFAY Victor DNF Stage13
◯Bahrain - Victorious
CARUSO Damiano 総合20位
MOHORIČ Matej
SÁNCHEZ Luis León 総合16位
TEUNS Dylan
WRIGHT FredHAIG Jack DNF Stage5
◯Groupama - FDJ
GAUDU David 総合8位
KÜNG Stefan
MADOUAS Valentin 総合15位
PINOT Thibaut 総合17位
◯Alpecin-Deceuninck
PHILIPSEN Jasper 1勝GOGL Michael DNF Stage5
VAN DER POEL Mathieu DNF Stage11
◯Team DSM
BARDET Romain 総合4位
DAINESE AlbertoVERMAERKE Kevin DNF Stage8
◯Intermarché - Wanty - Gobert Matériaux
KRISTOFF Alexander
MEINTJES Louis 総合7位
VAN DER HOORN Taco
◯Astana Qazaqstan Team
LUTSENKO Alexey 総合12位MOSCON Gianni DNF Stage8
◯EF Education-EasyPost
URÁN Rigoberto
BETTIOL Alberto
BISSEGGER Stefan
POWLESS Neilson 総合13位GUERREIRO Ruben DNS Stage9
CORT Magnus 1勝 DNS Stage15
◯Team Arkéa Samsic
QUINTANA Nairo 総合6位
HOFSTETTER HugoBARGUIL Warren DNS Stage13
◯Lotto Soudal
EWAN Caleb
WELLENS Tim
◯Trek - Segafredo
PEDERSEN Mads 1勝
CICCONE Giulio
MOLLEMA Bauke
SIMMONS Quinn
STUYVEN JasperKIRSCH Alex DNF Stage6
◯TotalEnergies
SAGAN Peter
LATOUR Pierre
TURGIS AnthonyOSS Daniel DNS Stage6
VUILLERMOZ Alexis DNS Stage10
◯Israel - Premier Tech
FROOME Chris
CLARKE Simon 1勝
FUGLSANG Jakob
WOODS Michael
◯Team BikeExchange - Jayco
MATTHEWS Michael 1勝
GROENEWEGEN Dylan 1勝DURBRIDGE Luke DNS Stage10
CLARKE Simon DNS Stage15
◯B&B Hotels - KTM
BONNAMOUR Franck
ROLLAND Pierre